「生徒たちの希望に応え、毎日15分ほど個々の課題に向き合う時間をつくっています。」と下坂監督。照明設備がないからこそ、限られた光の中で自分の弱点と向き合う姿は、どこか原点に立ち返るようでもある。
一方で、そんなチームの現在地を杉本仁主将もこう語る。
「チャレンジマッチでは高知商業に2-4、本戦でも新田高校に延長タイブレークで惜敗しました。どちらも“あと一押し”が足りなかった。細かいプレーや打撃力の強化が課題です。」
甲子園を経験した18人と、新たに加わった7人。こうして、25人が同じグラウンドで汗を流す光景は、初出場校が次のステージへ進むための静かな覚悟を照らしていた。

全学年で外野の守備連携に励む選手たち‐Journal-ONE撮影
地域に支えられ、地域へ還す──高知農業高校野球部のこれから
高知農業高校の野球部グラウンドは、外野が天然芝で覆われている。恵まれた設備に見える。しかし、その背景には周囲の田畑への配慮があった。
「グラウンドの土が舞い、隣のビニールハウスに掛かってしまうんです。だから外野を天然芝にしています。」と下坂監督が天然芝の経緯を語る。そして、この芝を丹念に手入れしているのは学校の用務員さんだとも教えてくれた。
「周りの皆さんのお力があって、私たちは野球ができている。その感謝を胸に甲子園でも全力を尽くしました。夏に向けても地域の期待に応えたい。」と言葉に力がこもる。

周囲を田畑で囲まれた野球グラウンド‐Journal-ONE撮影
その一方で、グラウンドは生活道路に面し、散歩中の住民が足を止める姿も多い。「いつも一生懸命練習している子たちが、甲子園であんなプレーを見せてくれた。本当に感動した。」とご年配の方は目を細めた。仕事帰りに駆けつけたOBの長山祥大さん、佐々木陸也さんも「後輩たちは本当にすごい。」「OBとして鼻が高い。」と誇らしげだ。
このように、学校関係者、OB、地域住民に愛される高知農業高校野球部。センバツで見えた“足りなかったもの”を埋め、感謝の思いを夏の甲子園で還したい。そのために、25人の部員は今日も泥にまみれながら夏へ向かって歩みを進めている。














