いまわたしたちが目にしている社殿の多くは、このときに造られた姿を受け継いでいます。
1999年に世界遺産へ登録され平成の大修理で輝きを取り戻した
日光東照宮を含む「日光の社寺」は、1999年(平成11年)にユネスコの世界文化遺産へ登録されました。二社一寺の建造物と、それらを取り巻く自然が一体となった景観が高く評価されています。
長い年月のなかで社殿の漆や彩色は少しずつ傷んでいくため、近年は「平成の大修理」と呼ばれる保存修理が続けられてきました。なかでも国宝・陽明門は、2013年から約4年をかけた工事を経て、2017年に40年ぶりとなる鮮やかな姿でよみがえっています。
参拝する際は、修理によって守り継がれてきた色彩にも、ぜひ注目してみてください。
日光東照宮の見どころ

日光東照宮の魅力は、なんといっても境内に点在する精緻な彫刻と豪華な社殿にあります。誰もが知る陽明門や三猿、眠り猫から、音の不思議を体験できる鳴龍、家康公が眠る奥宮まで、見逃せないスポットがそろっています。
表門から順にめぐる流れで、それぞれの見どころを紹介します。
陽明門は一日中見ても飽きない「日暮の門」と呼ばれている
日光東照宮を象徴する存在が、国宝に指定された陽明門です。聖人や子どもの遊び、霊獣など500以上もの彫刻がびっしりとほどこされ、その美しさは一日中眺めていても飽きないことから「日暮の門」とも呼ばれています。
金色や極彩色で彩られた門は、2017年に約40年ぶりの大修理を終え、建造当時の鮮やかさを取り戻しました。細部まで作り込まれた彫刻の一つひとつに、当時の職人の技と想いが込められています。
門をくぐる前に立ち止まり、ぜひ全体をゆっくり見上げてみてください。
三猿は「見ざる・言わざる・聞かざる」で生き方を説いている
表門をくぐって左手にあるのが、神馬をつなぐ厩である神厩舎です。この長押の上には猿の彫刻が8面にわたって並び、全部で16匹の猿が人間の一生になぞらえて描かれています。
有名な「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿は、そのうちの幼年期を表した一場面にあたります。幼いうちは悪いものを見聞きせず、よいものだけを受け入れて育つように、という教えが込められています。
母子の猿から始まり、青年期や結婚、妊娠へと続く物語になっているので、三猿だけでなく8面すべてを順に追ってみるのもおすすめです。
眠り猫は奥宮へ向かう東回廊の入口の上で眠っている
眠り猫は、奥宮へと続く東回廊の入口、坂下門の手前にある小さな彫刻です。見落としそうなほど小ぶりですが、左甚五郎の作と伝えられる人気の名作で、牡丹の花に囲まれて気持ちよさそうにうたた寝をしています。
実はこの猫の裏側には、雀の彫刻があります。本来なら猫に狙われるはずの雀が、すぐ裏で無事に遊んでいる様子から、敵対するものどうしが安らかに共存できる平和な世を願ったものだといわれています。
ちなみに眠り猫は本当に眠っているのではなく、いつでも飛びかかれるよう薄目を開けている、という解釈もあります。見る角度を変えながら、その表情をじっくり確かめてみてください。
鳴龍は手を叩くと天井が共鳴して龍の鳴き声のように響く
本地堂(薬師堂)の天井に描かれているのが、鳴龍と呼ばれる巨大な龍の絵です。この龍の真下で手を打つと、天井と床が共鳴して鈴を転がしたような音が響き、まるで龍が鳴いているように聞こえます。
不思議なことに、龍の頭から外れた場所で手を叩いても、同じようには響きません。堂内では係の方が手を打って実演してくれるので、その独特の余韻をその場で体感できます。
音の響きは写真に残せない見どころなので、訪れたらぜひ自分の耳で確かめてみましょう。
奥宮は長い石段を上った先に家康公の墓所がある
眠り猫の先にある坂下門をくぐると、奥宮へと続く石段が待っています。その数はおよそ207段あり、杉木立に囲まれた石段を上っていくと、参拝者の数もぐっと減って厳かな空気に包まれます。
上りきった先にあるのが、徳川家康公が眠る奥宮です。ここには家康公の墓所とされる御宝塔が静かにたたずみ、東照宮のなかでもとくに神聖な場所とされています。
上り下りに少し体力は要りますが、ここまで足を運んでこそ味わえる静けさがあります。歩きやすい靴で訪れるのがおすすめです。
日光東照宮へのアクセス方法

日光東照宮へは、電車・バス・車のいずれでもアクセスできます。東京方面からは電車と路線バスを乗り継ぐ行き方が便利で、車の場合は高速道路のインターから近い距離にあります。
それぞれの所要時間や乗り継ぎのポイントを、出発地ごとに分けて見ていきましょう。
電車なら浅草から東武特急で約1時間50分で着く
東京方面から電車で向かうなら、最寄りはJR日光駅と東武日光駅の2つで、駅同士は隣接しています。浅草から東武鉄道の特急けごんを使うと、東武日光駅まで乗り換えなしの約1時間50分です。












