神戸サンダース。その名前が全国大会の舞台で初めてアナウンスされた瞬間は、単なる一クラブチームの初出場ではなかった。
兵庫県初の女子硬式野球クラブチームとして、「女子野球を続けたい女性たちの居場所をつくる」という理念のもと活動を続けてきたチームが、ついに全国の舞台へたどり着いたのだ。
中学生から大学生、そして家庭を支えながらプレーするママさん選手までが集まり、日本女子野球界を代表する強豪・埼玉西武ライオンズレディースとの歴史的一戦に挑んだ。
試合は4回コールド負けに終わったが、その中には数字だけでは語れない価値が数多く詰まっていた。全国大会初安打、初打点、初得点。そして強豪打線を相手に無失点イニングを作った経験。
敗戦の中で得た学びこそ、神戸サンダースというチームの未来を形づくる大きな財産となった。

晴れやかにスタンドに挨拶する神戸サンダースの選手たち-Journal-ONE撮影
神戸サンダースが築いた全国への道
明確なビジョンを持った兵庫初のクラブ
神戸サンダースは兵庫県初の女子硬式野球クラブチームとして誕生した。その設立には、代表を務める清水徹郎監督の強い思いがあった。
女子野球は近年大きな発展を遂げているが、高校卒業後や大学卒業後に競技を継続できる環境はまだ十分とは言えない。野球が好きで続けたい気持ちがあっても、所属先が見つからず競技を断念する選手は少なくない。そんな現状を変えたいという思いから立ち上げられたのが神戸サンダースだった。
チームには高校生から社会人、そしてママさん選手まで幅広い年代の選手が集まっている。同じ野球を愛する者同士ではあっても、それぞれ置かれた環境や人生経験は大きく異なる。
しかし共通しているのは、「野球を続けたい」という純粋な思いだった。練習環境も決して恵まれているとは言えない。それでも時間をやりくりしながら練習に参加する選手たちは、勝利以上に野球を続けられることへの喜びを持って活動してきた。
今回の全国大会出場は、その積み重ねが結実した結果でもある。
単なる競技成績だけではない。「女子野球のすそ野を広げたい」という理念に共感した選手たちが全国の舞台に挑戦した。その事実そのものが、神戸サンダースというクラブの存在価値を証明していた。

円陣で選手たちに指示を出す清水監督-Journal-ONE撮影
神戸サンダースが挑んだ全日本クラブ選手権
全日本クラブ女子硬式野球選手権大会は、全国各地で活動する女子硬式野球クラブチームが集結する国内有数の大会である。各地域で活動するクラブチームが競い合い、女子野球界の発展を支える舞台として重要な役割を担ってきた。
神戸サンダースにとって、この全国大会出場はクラブ史上初めての快挙だった。選手の多くも全国大会を経験するのは初めてであり、遠征そのものが人生初という選手も少なくなかった。それだけに試合前の緊張は想像以上だったはずだ。しかしチームを包んでいた空気は、不安よりも期待の方が大きかった。
全国にはどのような選手たちがいるのか。自分たちの実力はどこまで通用するのか。そして、女子野球の最前線ではどのようなプレーが繰り広げられているのか。そのすべてを肌で感じられる機会が待っていたからだ。
クラブチームにとって全国大会は勝敗だけを競う場ではない。全国レベルの野球に触れ、自分たちの立ち位置を確認し、新たな目標を見つける場でもある。神戸サンダースにとって初の全国大会は、まさに未来へ向けた大きな学びの舞台だった。

神戸サンダースは埼玉西武ライオンズレディースに一歩も引かない戦いを演じた-Journal-ONE撮影
神戸サンダースが迎えた夢の対戦相手
抽選会で沸いた埼玉西武ライオンズレディース戦
全国大会の組み合わせ抽選で神戸サンダースの初戦の相手として引き当てたのは、NPB公認の女子硬式野球チームである埼玉西武ライオンズレディースだった。
その結果を知った選手たちは、「素晴らしい対戦相手を引き当てた。」と清水監督を褒めたそうだ。普通なら優勝候補との対戦は避けたいところ。しかし、神戸サンダースの選手たちにとってはそうではなかった。
埼玉西武ライオンズレディースは女子野球界屈指の強豪であり、侍ジャパン女子代表選手を擁する名門チームである。そのため、通常であれば練習試合を組むことさえ難しい。関西で活動する神戸サンダースにとっては、相手チームのプレーを間近で見る機会すらほとんどなかった。


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- 取材・文:
- 編集部-矢澤( 日本 )













