フィットネス強化が生んだ粘り
だが後半、1月から「自分たちの限界値を超える」ことを目標にしているナナイロプリズム福岡。
フィットネスを鍛えるために、400m×3本などボールを持たない練習にも注力してきた。その結果が、粘り強いタックルとなり試合の流れを変えていく。追加点を許さなかったナナイロプリズム福岡に、チャンスが訪れた。
女子ラグビー界のレジェンドが見せた土壇場での輝き
中村知春が同点トライを演出
すると後半3分、フィジー代表のレアピ・ウルニサウが左大外で個人技を見せてトライ(5-12)。
さらに終了間際に、全員でボールをつないでいく。そして、最後はGM兼選手であり、元サクラセブンズのキャプテン・中村知春へ。
「狙っていた」という裏のスペースにキックした中村知春。そのまま自らトライゾーンに転がるボールをギリギリで押さえてトライ。
永田花菜のゴールも決まって、土壇場で12-12の同点に追いたナナイロプリズム福岡。その結果、勝負の行方は延長戦へもつれ込んだ。

中村知春のトライで延長線にもつれ込んだ決勝‐斉藤健仁撮影
ゴールデンスコア方式の延長戦へ
延長戦は5分、先に得点を挙げた方が勝利となるゴールデンスコア方式。ナナイロプリズム福岡は、疲れが見えてきた相手の攻撃をシャットアウトしてペースを掴んだ。
延長最初の5分のホーンが鳴る中、ナナイロプリズム福岡が仕掛けた。
相手ボールのスクラムでキャプテンの大橋聖香(久留米大学4年)、7人制だけでなく15人制代表でも活躍した弘津悠、そして中村の3人が押し込む。その結果、相手の反則を誘った。
中村は「やっぱり、ながとさんは穴がないので、スクラムで押し切ろう、取り切ろうと思っていた。」と振り返った。

スクラムで反則を誘ったナナイロプリズム‐斉藤健仁撮影
中村知春のサヨナラトライで悲願達成
残り5mでのラストプレー。
中村は反則地点でボールを受け取ると、地面に置いてタップしてリスタート。自ら相手のディフェンスの間に力強くゲインし、ねじ込んでトライ。17-12で逆転勝利を挙げた。
2019年、福岡の女子ラグビー選手の受け皿として久留米の地で産声を上げた。そして、2023年から今大会に本格参戦。3回も決勝で涙を呑んでいたクラブチームのナナイロプリズム福岡。それがうれしい初優勝を飾った瞬間だった。

中村知春(ナナイロプリズム)のサヨナラトライ‐斉藤健仁撮影
中村知春がMVP受賞「初優勝まで長かった」
栃木大会のMVPには後半最後に個人技でトライ。さらにスクラムで相手の反則を誘い、サヨナラトライ。優勝を決めて、喜びを爆発させた大ベテラン、38歳の中村が文句なしで選出された。
他のチーム時代に優勝経験はある。しかし、ナナイロプリズム福岡では初優勝だ。しかもMVP獲得に満面の笑顔を見せていた中村は、「今朝、神社にお参りにいったので、ラグビーの神様がトライを取らせてくれた。最後は気持ちで勝ち切った。初優勝まで長かった。」と安堵の表情を見せていた。
続けてサクラセブンズのレジェンドは、「日本女子7人制ラグビーの成熟度が、この2、3年加速度的に上がってる。ですから、追いつけるかな、というところが正直なところだった。」と心境を語った。
また、「(クラブチームの)ナナイロは他のチームと比べて、お金に関してもいろいろな制限がある。そんな中でも一生懸命頑張ってくれた選手たちが、ここまで成長してくれた。本当に選手たちに感謝したい。また、良いライバルがいることにも感謝。それぞれが違う色で、強くなって日本の女子ラグビーの幅が広がっている。」と話した。

優勝して喜ぶナナイロプリズム‐斉藤健仁撮影
目指すはグランドファイナル制覇
キャプテン大橋聖香が語る初タイトルへの思い
「ここ(優勝)からがスタートライン。」という言葉を強調していたキャプテンの大橋。
「タイトルを取ったことがないチームに入って、一緒に初タイトルを取りたいという気持ちだった。そして、初タイトルが取れて、キャプテンとしてグランドに立てたことがうれしい。」とコメント。
さらに、「常にチャレンジャーという気持ちで戦っていた。アタックでもディフェンスでも、つながり続けることにフォーカスしてきた。自分たちに力があると、チームを信じることができた。」と胸を張った。

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