リフティング対決で見えた“岡野雅行らしさ”
会見終盤にはリフティング対決が行われた。サッカー初心者の水上。高校時代に徳島県代表として選手権に出場した経験を持つ池田。そして、この映画の主人公である岡野の3人による対決だ。
すると意外な結果が待っていた。なんと岡野本人が最下位。記録はわずか8回だった。
「俺、ほんとにボール全然触ってないからね」。
そう言いながら笑う姿に、会場も大きな笑いに包まれた。日本をワールドカップへ導いた男なのに。それでもどこか憎めない。だから多くの人に愛される。
だから30年たった今も岡野雅行という人物が語り継がれる。その人柄こそが、この映画最大の魅力なのかもしれない。

リフティング勝負で最下位となった岡野-Journal-ONE撮影
ジョホールバルの歓喜から三笘薫の時代へ キャストが映し出す日本サッカー30年
注目キャストが続々発表 キングカズの長男や三笘薫の兄も出演
今回の制作発表会見では、主人公・岡野雅行を取り巻くキャスト陣も発表された。
岡野の高校時代の仲間・西村敏郎役には、“キングカズ”こと三浦知良の長男・三浦獠太。ライバル校のエース・藤島茂生役には、日本代表MF三笘薫の実兄としても知られる結木滉星が起用された。
さらに、お笑いコンビ「ナインティナイン」の矢部浩之がスカウト役で出演することも明らかになった。劇中には岡田武史元日本代表監督も登場する予定だ。
日本サッカー30年の歩みを感じさせるキャスティング
映画が描くのは、1997年11月16日の「ジョホールバルの歓喜」へと続く10年間の物語だ。その時代を語るうえで欠かせない存在の一人が三浦知良である。
日本サッカーが初めてワールドカップ出場を目指していた時代を象徴するスター選手の長男が出演することには、どこか特別な意味を感じさせる。
一方で、現在の日本サッカーを世界レベルへ押し上げている三笘薫の実兄・結木滉星の参加は、ジョホールバルを知らない若い世代との接点にもなる。日本サッカーが世界への扉を開こうとしていた時代と、世界で戦うことが当たり前になった現在。その30年の歩みを、一つの作品の中で感じられるキャスティングとも言えそうだ。
また、長年にわたりサッカー番組や日本代表取材を通じてサッカー文化を伝えてきた矢部浩之の出演も興味深い。選手や指導者だけではなく、ファンやメディアを含めて築かれてきた日本サッカーの歴史が、この作品の背景にはある。
岡野雅行という一人の選手の人生を描く『アンダードッグ』。しかし今回発表されたキャストの顔ぶれを見ると、この映画が映し出そうとしているのは個人の成功物語だけではないようにも感じられる。
ジョホールバルの歓喜から30年。日本サッカーが歩んできた歴史と、その時代ごとの記憶を知る人々をつなぐ作品としても注目を集めそうだ。

岡田監督のキャストも似ている-『アンダードッグ-日本初のW杯出場を決めたポンコツ男-』製作委員会
ジョホールバルを知らない世代へ
2027年は、ジョホールバルの歓喜から30年。今の中高生の多くは、その試合を知らない。そもそも日本がワールドカップに出られなかった時代があったことも知らないかもしれない。
岡野は会見でこんな願いを口にした。
「サッカーに興味がなかった人にも、昔はワールドカップに出られなかったんだと知ってもらえたらうれしい」。
2050年ワールドカップ優勝を目標に掲げる日本サッカー。その原点には、夢から最も遠い場所にいた一人の少年がいた。
『アンダードッグ』は、日本サッカー史を変えたゴールの物語ではない。夢を信じ続けた人間の物語である。













