
バウターの投球スタイルに魅入る-JDリーグ提供
結局、スコアレスのまま延長へもつれ込んだ熱戦は、デンソーが8回裏に4番”中溝優生”の左中間を破る適時打でサヨナラ勝ち。投げては、バウターが1人で8回を投げ切り無失点の完封勝利。天晴れである。試合後は、両チームの選手が整列し、スタンドに一礼。いやー、良い戦いを見させてもらいました。
応援団に引き寄せられ日立の応援をする
次の第3試合開始まで30分以上あるので、再び生ビールを求め外へ。球場の外でビール片手に何をするともなく佇んでいると、帰り支度を終えたデンソーとNECの選手たちが出てくる。
選手たちはざっくばらんにファンと接しており、その距離感はかなり近い。完封勝利のバウターは、近くで見ると、身長181センチの私とほぼ同じ背の高さで、周りの日本人選手と比べても図抜けて大きい。でも、笑顔でファンと接しており、かなり良い人そうなオーラを出している。世の定説(?)として、大柄な人は心が優しいのである。
なお、JDリーグ第9節終了時点で、バウターは防御率1.15で東地区3位、勝利数7で同1位タイ、そして奪三振72で同2位につけており、目下、東地区では投手三冠が狙えそうな唯一の選手となっている。いわば、MLBにおける”タリク・スクーバル”のような選手であり、期せずしてそんな投手の完封劇が見られたのは、すこぶるラッキーであった。デンソーのバウター、要注目である。
さて、第3試合のためスタジアムに戻ると、何やら日立の陣取る一塁側スタンドが賑々しい。ぱっと見、その一帯だけで200人以上は悠にいそうな、かなりの人出で、応援団が出張っており、ラッパ隊による生演奏も聞こえる。いかにも楽しげなので、第3試合はとりあえず一塁側で観戦することに。気分は、鬼の宴に吸い寄せられたこぶ取り爺さんである。

せり出したファウルグラウンドはベンチの選手が良く見える‐平床大輔撮影
それに、最近買い換えた我が家の冷蔵庫は日立製なので、そのよしみもある。というわけで、スタンド後方の席に腰掛けて辺りを見回すと、見るからに日立の関係者という雰囲気の人々が和気藹々としており、そこには大企業の人海戦術が展開しているのであった。
実際、応援団の人に確認したところ、少なくとも応援団の方々は基本的に日立の社員さんたちであることが判明。応援団の方々、代休はもらえるのだろうか?私もかつて会社員だったことがあるので、変なところが気になってしまう。
試合が始まると、先攻の日立が1番”藤森捺未“の先頭打者ホーマーでいきなり先制。一塁側スタンド、大いに沸く。私も当たりくじを引いた気分。完封サヨナラ勝利の直後に、先制打者本塁打である。

日立先頭打者・藤森捺美の本塁打で試合の幕が開いた‐JDリーグ提供
ふと、三塁側スタンドを見遣ると、あちらは人数を数えられそうなほど閑散としている。本来であれば、判官贔屓的観点からも、あちら側に与するべきなのだろうけれど、すまん太陽誘電、こちとら日立の冷蔵庫を買ったばかりなのです。
結局、日立は初回に一挙4得点の猛攻。当然のことながら、スタンドは大盛り上がり。そして、応援団が演奏するのは、お馴染みのCMソング「この木なんの木、気になる木」。やっぱ、そう来るよね、と思わざるを得ないが、日立の人々が球場で奏でる「この木なんの木」を聞けて、ちょっと得した気分になる。
選手とファンが交流する素敵な光景を目にする
その後、試合は太陽誘電が持ち直し、中盤にかけてスコアボードには「0」が並ぶ。私としては、なんとも劣勢の三塁側スタンドが気になるので、5回表から三塁側スタンド前方の席に移動する。ささやかな助太刀である。すると、5回裏に太陽誘電の反撃が始まる。

太陽誘電・中村瑠衣が反撃の口火を切る本塁打-JDリーグ提供
この回先頭の7番”中村瑠衣”がソロ弾を放って反撃の狼煙を上げると、二死走者なしから1番”小松優月“にもソロホーマーが出たのである。もしやすると、私にはホームランを呼び込む何らかのパワーがあるのか?そんな調子の良いことを考えていると、6回表に日立の藤森が、私の不在をものともせず、この日2本目のホームランで太陽誘電を突き放す。
