散った、とは最終結果を指してのものだ。だが試合の前半はまさかそのような点差で終わるなどとはよもや思われなかった。実際、アルバルクは前半を54-50とリードして折り返している。出だしでは15点の差をつける場面もあった。
桃園のインサイド支配とA東京の課題
ところが後半は、桃園が守り方を変え、かつ攻守での強度を高めてきたことで流れを一気に持っていき、アルバルクはそれに飲み込まれた。
反撃をしたくとも、糸口が見つからなかった。帰化選手でチームの核中の核であるライアン・ロシターを故障で欠いたことも痛かった。対して桃園にはウィリアム・アルティーノという帰化枠のビッグマンがいた。
サイズで明確な差があり、リバウンドとペイント内を支配された。桃園はペイント内から70もの得点を重ね、オフェンスリバウンドを22、もぎ取るなどでセカンドチャンスから21得点した。
「相手のペイント内を守るディフェンスに対して前半はしっかりとキックアウトパスをして、ノーマークのスポットアップ(シュート)が打てていたシチュエーションが後半はまったくなかったので、自分たちが自滅した試合だったと思います」
アルバルクのベテラン、安藤周人はこう語った。
国際試合で露呈した“質の差”と順応力
彼は試合の前半で15点差をつけた時に「試合を決めきれなかった」ことを敗因の一つとした。バスケットボールの試合はほんの1つのほころびが展開を変えてしまうなどとしばしば言われる。
後半の桃園はプレーを決めるたびに勇気と自信を増していったように感じられたが、安藤は彼らにそれをさせる余地を与えてしまったことを悔やんだ。
Bリーグ勢がFinalsの6つの枠の半分を、ベスト4のうちの3つを占めたことについてはすでに触れた。その事実は、確かに日本の強さを示すものかもしれない。
ただ、準決勝を終えて桃園がアルバルクを叩きのめした。ロシターの不在は痛かったにせよ、彼がいてもこの結果を覆せたのかどうかはわからない。
EASLで感じた“違い”とA東京の学び
安藤は試合の後半の桃園の猛攻について振り返る。彼らが自分たちが優位であるインサイドを意識しながら「ワンピックでレイアップまで持って」いっていたと。
ピックとはいわば衝立だ。バスケットボールでは味方を衝立として攻める隙を作る作業が常に行われる。しかし、アルバルクなどは1度の攻めでピックを何度も絡めながらシュートへ持っていくことが多い。
ところが桃園は「ワンピック」、つまり衝立を1枚使っただけでどんどんとリングへ向かっていたというのだ。
安藤はそのことを「Bリーグではなかなかない狙い方をされた」と話した。アルバルクディフェンスも桃園に「難しいショットは打たせていました。ですが、そこを国際試合だとしっかりと決めきってくる。そういうところにはBリーグとのレベルの差というものを感じます。」と続けた。
3位決定戦の見どころ
「Bリーグならばタフショットを打たせればOKという部分は多かったと思います。それでも、決められたというのはディフェンスの質をもっともっと上げないといけない。ガードのところもそうですけど、ビッグマンの2対1の守り方もしっかりと考え直さないといけないなと思います。」(安藤)
安藤のいう「レベルの差」とは文字通りの意味もある、しかし、それよりも、「国をまたいだ相手を戦う時のバスケットボールの質の差異」などと置き換えて理解すべきだろう。
いずれにせよ今回、アルバルクは初めてEASL Finalsに進出した。対して相手の桃園は昨年のこの大会にも出場し準優勝に終わるなど、一日の長がある。
日本勢が強しといっても、いざ頂点を狙うという段。そこにおいては、慣れないルールや慣れない相手と対峙する。試合の中でこれらに対応ができる順応能力が肝要になるのだ。そして、その重要性はこのアルバルクと桃園の試合が改めて示したことになる。
もっとも、EASL3位決定戦に回ったアルバルクが対峙するのは同じ日本の琉球となった。互いに手ぶらでは帰ることはできないという意思を示している。
ジャック・クーリーと帰化枠のアレックス・カークのいる琉球もインサイドが強い。桃園のインサイドの攻撃に苦しんだアルバルクがどう対応するか。琉球のインサイドが機能するか否かが一つの見どころだろう。
決勝戦の見どころ
EASL決勝戦は、ともに準々決勝から勝ち上がってきた、宇都宮と桃園が当たることとなった。まったくといいっていいほど毛色の異なる2チーム。一体、どのような試合を見せてくれるのか興味深い。
3位決定戦も決勝戦も22日、準決勝と同じスタジオシティ・イベントセンターで行われる。
写真撮影-永塚和志

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