京都工学院ラグビー部を指導する内田啓介の日常
そんな内田先生が昨年4月、母校に赴任したとき、まず大変だったのは「生活に慣れること」だった。
1年目は担任のクラスを持つことはなかったが、保健や体育などの授業を週17コマ担当。もちろんユニット練習している朝と放課後は、ラグビーのコーチもしている。そのため、朝6時に起きて、家に戻るのは21時くらいになるという。
ただ、それでも念願の先生、そして高校生のコーチとして指導する時間は有意義なものだった。「ラグビーから入っていく教育と、教育から入っていくラグビーがあります。どっちにしても結局、入りは(取り組む)姿勢(が大事)だと思います。そういう意味での教育は楽しい」と内田先生。

FL田中琉翔主将-斉藤健仁撮影
選手に寄り添う指導と厚い信頼
現役時代からOBとして指導していた内田先生。今でも大島監督や他のコーチと一緒になってアタック、ディフェンスといった戦術面、スキルなどを指導している。現役を引退して2年あまりしか経っていない。そのため、自らプレーして模範を示すときもあるという。
キャプテンのタックラーFL(フランカー)田中琉翔(3年)は、内田先生についてこう話す。
「内田先生はBK(バックス)コーチですが、全体も見ていただいています。やっぱり、誰よりもラグビーのことをわかっている。そして、みんなのことを理解してくれ、一番身近なラグビーの存在」。
また、内田先生と同じ大型SHの副キャプテンの市田愛知(3年)も語気を強めてこう話す。
「自分の経験とかを全部話してくれます。SHのスキルだけでなく、チーム全体をまとめてくれる先生です。来てくださって感謝しています。この1年でSHとして成長できた。内田先生のパスは僕より上手い。レベルが違う」。

内田啓介先生と同じSHの市田愛知 副将-斉藤健仁撮影
教員・指導者として成長する内田啓介の現在地
コーチになって1年あまり。内田先生が最近、大変だと感じていることを聞いた。
すると、内田先生は「こちらが意図を持って、しっかり目的を明確にして教える。また、やり続けたりしていくと選手が伸びていく姿が見て取れます。」と前置きした。
続けて、「説明の仕方、落とし込みの仕方1つでいろいろ変わると思います。加えて、言葉の伝え方や、どこまで答えを言うのか、言わないのか。こういったことが高校生にとっては結構大事です。あまり言い過ぎてしまうと、自分で考えることをやめてしまう子もいます。しかし、はっきり伝えないとわからない子もいるので……。そこのバランスが難しいですね。」と率直に話した。
「ラグビー部の指導だけでなく、一般の生徒と授業することで先生に戻ります。また、それが癒やしになったりします。内田先生はこの1年、いろんな研修を受けています。こうした、学校の教員としての成長がラグビーの指導者としての成長につながっていくと思う」。
教員、ラグビーの指導者の先輩でもある大島監督。こう話して、今後の後輩の成長に期待を寄せた。

大島監督(右)と内田コーチ-斉藤健仁撮影
京都工学院ラグビー部の今季目標 「信は力なり」で花園へ
山口総監督が直接指導する時代から、「信は力なり」をスローガンに掲げる京都工学院。今シーズンの目標は、昨年度の予選決勝で敗れた京都成章を下す。その結果、花園出場を果たし、5度目の日本一となることだ。

京都工学院のスローガン「信は力なり」の前で戦況を見つめる内田啓介コーチ-斉藤健仁撮影
この4月には内田先生と高校の同期で、元横浜キヤノンイーグルスのFLだった嶋田直人先生も教員として赴任。これにより、コーチ陣の層も増した。大島監督は「そういう意味では、京都市のバックアップもいただきながら、公立高校の代表として日本一を目指してやっています。」と言う。
加えて、内田先生も「今年のチームはエネルギー、情熱がある。それを使いながら伸びていけば、楽しいチームになると思います。」と先を見据えた。
「我ら紅(あか)を纏いて 信は力なり いざゆこう たくましく 滾る勇気と 共に」
『ゆず』の岩沢厚治さんから提供された部歌「紅歌」の歌詞にこの一節がある。この歌詞のように、今シーズンの花園では、伝統の紅のジャージーで旋風を巻き起こしたい。

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