総本家 釣鐘屋


総本家 釣鐘屋 の特徴・魅力
総本家 釣鐘屋 の特徴
明治33年(1900年)、大阪・天王寺区の四天王寺西門、石鳥居のほど近くに産声を上げた総本家釣鐘屋。創業の動機は、なかなか胸が熱くなる話だ。当時、四天王寺の貫主が聖徳太子の偉業を奉讃する「頌徳鑵楼(しょうとくしょうろう)」——通称「釣鐘堂」——の建立を発表した。つまり、世界最大の梵鐘鋳造という一大プロジェクトだ。5年弱の歳月と巨額の費用を投じて完成した大梵鐘は、全長約7.8m、周囲約16m、口径約4.8m、重量なんと約157t。1903年(明治36年)に奉納されたこの「頌徳鐘」は、その重量ゆえ地響きが激しく、「鳴らずの鐘」とも呼ばれたという。
門前町の商人たちはこぞって奮い立ち、「寺と一緒にこの大事業を盛り上げよう」と動き出した。釣鐘屋の初代もその一人だ。そこで、大梵鐘の形を模した「釣鐘まんじゅう」を生み出し、四天王寺西門の鳥居横で売り始めたのが、この店の始まりである。
その後、創業の地である鳥居横から現在地(大阪市天王寺区大道1-5-2)へと移転した。理由はふたつある。より多くの人に届けるためと、職人がゆとりをもって手造りできる広さの確保だ。しかし、販売は今も四天王寺西門前の本店のみ。百貨店や催事への出店は行わず、この店に足を運んだ者だけが手にできる一点買いのスタイルを、五代目は今も貫いている。
職人と天気の、百年来の対話
機械化が進む菓子業界にあって、当店は創業当初の手焼きスタイルを変えない。その日の気温と湿度を読み、職人が焼き方を調整する。むしろ、それが当店だけの味を生む理由だと五代目は言う。さらに、保存料を一切使わないことも創業来の信条。「生産数はごく僅か」と公言してはばからない姿勢は、清々しいほど一貫している。
総本家 釣鐘屋 の魅力
看板は「釣鐘まんじゅう」だ。北海道産小豆を炊き上げた自家製こし餡を、しっとりとしたカステラ生地で包んで手焼きする。上品な甘みと柔らかな口どけが持ち味で、「明治、大正、昭和、平成と、時代を超えて年齢を問わず愛される味」とは五代目の言葉だ。令和になっても新しい顧客が訪れ続けている事実が、その言葉の重みを裏づける。
とはいえ、評価は口コミだけにとどまらない。大阪マリオット都ホテルのプラチナエリート会員向けウェルカムスイーツに採用されており、国内外の旅人が最初に口にする大阪の味として選ばれている。「おいしさもボーダレスになりました」という五代目の言葉に、静かな誇りがにじむ。
三つの銘菓——それぞれの個性
「釣鐘まんじゅう」のほかに、「釣鐘カステラ」と「釣鐘玉子せんべい」が三本柱をなす。釣鐘カステラは熟成させた「寝かせ生地」でふんわりと焼き上げた一口サイズの菓子で、柔らかな食感が人気だ。一方、釣鐘玉子せんべいはサクッとした歯ざわりと甘さが洋風で、まんじゅうとは異なる表情を見せる。つまり、同じ釣鐘の形から生まれた三種が、それぞれに異なる食感と味わいを持つのだ。
加えて、四天王寺境内の茶室「和松庵」では、拝観の合間に釣鐘まんじゅうをいただくこともできる。歴史ある日本庭園を眺めながら銘菓に舌鼓を打つ体験は、この店ならではの贅沢だ。
総本家 釣鐘屋 へのアクセス
所在地は大阪府大阪市天王寺区大道1-5-2。最寄り駅は地下鉄谷町線・四天王寺前夕陽ヶ丘駅で、徒歩約5分だ。また、JR・地下鉄の天王寺駅からも徒歩約8分ほどの距離にある。つまり、大阪市内からのアクセスは至便だ。四天王寺の西門を目指せば自然とたどり着く立地なので、参拝の行き帰りに立ち寄るのが自然な動線となっている。
総本家 釣鐘屋 の施設概要
四天王寺の石鳥居を背に佇む店舗は、派手さとは無縁だ。しかし、その佇まいのなかに百年余の歴史が静かに積み重なっている。職人が手焼きで仕上げるため生産量は限られており、売り切れや四天王寺の行事に伴う早期閉店もある。なお、商品の販売は四天王寺西門前の本店のみで、百貨店やオンラインでは購入できない。
主な銘菓ラインナップ
釣鐘まんじゅう(北海道産小豆使用)、釣鐘カステラ(柔らか食感・人気)、釣鐘玉子せんべい(サクッと甘い洋風)の三種が揃う。釣鐘まんじゅうは6個から30個まで複数の入数があり、化粧箱仕様(一部有料)でのギフト対応も可能だ。ただし、保存料不使用のため、開封後はなるべく早めにいただくのが礼儀というものだ。
料金目安
釣鐘まんじゅうは1個あたり162円(税込)から。6個入・10個入・15個入はサービス箱対応で手軽に購入でき、20個入・30個入は化粧箱入りのみとなる。つまり、大阪土産としてのコストパフォーマンスも申し分ない。
総本家 釣鐘屋 のその他詳細情報
釣鐘まんじゅうが宿す歴史——誕生・栄光・消滅・そして転生
釣鐘まんじゅうのモチーフとなった大梵鐘「頌徳鐘」には、波乱に満ちた生涯がある。重量約157t、全長約7.8mという空前絶後の規模で鋳造されたが、その重さゆえに満足に鳴り響かず、「鳴らずの鐘」と呼ばれた。栄光と皮肉が同居する、なんとも大阪らしい逸話だ。
しかし、その顛末はさらに胸に刺さる。昭和17年(1942年)、大梵鐘は戦時物資として供出されることになった。同年11月25日、撞納め式が執り行われ、そののち解体された。戦後、梵鐘を失った頌徳鑵楼は奇しくも戦火を免れた。そして遺族の願意により、国のために身を捧げた戦没英霊を祀る「英霊堂」として現在に至る。
鐘は消えた。しかし釣鐘まんじゅうは残った。その小さな菓子の中に、明治の熱気と戦時の悲劇と戦後の祈りが、ひっそりと畳み込まれている。だからこそ、口にするたびに何かを感じるとしたら、それはあながち気のせいではないかもしれない。
境内で味わう、もうひとつの選択肢
四天王寺境内には、釣鐘まんじゅうを味わえる拠点が二か所ある。ひとつは境内参拝者向けの休憩所(拝観時間8:30〜16:30、10〜3月は16:00まで)。もうひとつは本坊東側の日本庭園内にある茶室「和松庵」(10:00〜16:00、受付15:30まで、拝観料:大人300円・大学生以下200円)だ。つまり、参拝体験と食文化をひとつの流れで楽しめる、いわば"門前文化の現代版"がここにある。
「四天王寺御用達」という看板の重み
「四天王寺参りのお土産といったら、釣鐘屋の釣鐘まんじゅう」と地元の人々に長年選ばれてきた歴史がある。加えて、大阪マリオット都ホテルのウェルカムスイーツ採用という実績も伴う。したがって、この菓子が持つ品質と文化的背景は、単なるご当地土産の文脈をとうに超えている。
利用案内
営業時間・販売について
平日は9:00〜18:00、日曜・祝日は9:00〜17:00の営業。定休日は不定休で、四天王寺の行事日や売り切れの際は早期閉店となる場合がある。そのため、訪問前にWebサイトまたは電話(TEL: 06-6771-0044)で確認を。なお、販売は四天王寺西門前の本店のみで、百貨店・オンラインでの取り扱いはない。
注意事項
保存料を一切使用していないため、購入後は早めの消費を推奨する。賞味期限は釣鐘まんじゅうが製造より45日間(常温保存)。手みやげとして持ち歩く際も、素朴さゆえの「鮮度感」を大切にしてほしい。
総本家 釣鐘屋 の近隣スポット情報
徒歩圏内には、聖徳太子が建立した日本最古の宮寺・四天王寺(大阪市天王寺区四天王寺1-11-18)が鎮座する。伽藍の中心伽藍や石舞台、極楽浄土の池など、境内の見どころは多岐にわたる。また、毎月21日と22日には骨董市も開かれており、釣鐘まんじゅうを手に境内を歩けば、参拝と食の記憶がひとつに重なる。
さらに、天王寺公園のエントランスエリア「てんしば」には産直市場があり、地元の食材や銘菓が集まる。大阪市立美術館、天王寺動物園、あべのハルカスも徒歩圏内だ。歴史・自然・現代都市が凝縮されたこのエリアは、一日かけてじっくり歩く価値がある。
四天王寺前夕陽ヶ丘の名は「夕陽岡」に由来し、かつて大阪湾に沈む夕日が美しく見えたと伝わる。日暮れ時にこの界隈を歩けば、都市の喧騒の中にある歴史の重層性を、ふいに体で感じることができるはずだ。
スポット情報
- 住所〒543-0052 大阪府大阪市天王寺区大道1-5-2
- TEL06-6771-0044
- アクセス
① 東京都(東京駅)- 新幹線 約4時間30分(東海道新幹線「のぞみ」、岡山駅乗換)- 丸亀駅 - タクシー約10分/または、丸亀駅 - バス約10分(丸亀市コミュニティバス「万象園入口」下車)- 徒歩約3分
② 大阪府(大阪駅)- 新幹線 約1時間45分(山陽新幹線「のぞみ」、岡山駅乗換)- 丸亀駅 - タクシー約10分/または、丸亀駅 - バス約10分(丸亀市コミュニティバス「万象園入口」下車)- 徒歩約3分
③ 愛知県(名古屋駅)- 新幹線 約3時間(東海道新幹線「のぞみ」、岡山駅乗換)- 丸亀駅 - タクシー約10分/または、丸亀駅 - バス約10分(丸亀市コミュニティバス「万象園入口」下車)- 徒歩約3分
④ 福岡県(博多駅)- 新幹線 約2時間45分(山陽新幹線「のぞみ」、岡山駅乗換)- 丸亀駅 - タクシー約10分/または、丸亀駅 - バス約10分(丸亀市コミュニティバス「万象園入口」下車)- 徒歩約3分
⑤ 広島県(広島駅)- 新幹線 約1時間30分(山陽新幹線、岡山駅乗換)- 丸亀駅 - タクシー約10分/または、丸亀駅 - バス約10分(丸亀市コミュニティバス「万象園入口」下車)- 徒歩約3分
- その他【営業時間】平日 9:00~18:00 / 日・祝 9:00~17:00(※売切次第終了) 【休館日】不定休 【その他】なし(近隣コインパーキング利用)

- 取材・文:
- Journal ONE( 編集部 )















