ドロップを駆使して力投する細川珠季（町田スパークラーズ）-Journal-ONE撮影
さらに、2死二、三塁と一打同点のチャンスを作った大学選抜。しかし、ドロップを駆使した細川投手の緩急自在の投球にあと一本が出ず無得点で攻撃を終えた。
大学選抜は4回、唯一1年生で選ばれた柴田優衣投手（#11 1年・明治大学）をマウンドへ送る。その柴田投手が先頭打者を115km/hのアウトロー直球で見逃し三振に取ると、「速いね」「まだ1年生だって」とスタンドからはざわめきが起こる。
1年生ながら今大会最速を記録した柴田優衣（明治大）-Journal-ONE撮影
しかし、クラブ選抜は続く青柳真菜選手（#9 東京アンビシャス）が左前安打を放ち出塁。力んだ柴田投手から死球を得て1死一、二塁と追加点のチャンスを広げる。しかし、柴田投手はこの日MAXとなる116km/hの直球を軸にクラブ選抜を抑え込み、味方の反撃を待った。
両チームの意地がぶつかる終盤
なかなか得点の機会を作れなかった大学選抜だが、守備からリズムを掴んだ6回にようやく反撃に転じる。
二塁打を放ち塁上で喜ぶ森嶋希奈里（皇學館大）-Journal-ONE撮影
この回先頭の森嶋希奈里選手（#1 4年・皇學館大学）が右翼線への二塁打を放ち反撃開始。さらに、四球を絡めて2死ながら満塁とチャンスを広げると、梅田莉子選手（#47 4年・日本体育大学）が押出しの死球を獲得してついに1点を返した。
大学選抜唯一の打点を挙げた梅田莉子（日体大）-Journal-ONE撮影
意気上がる大学選抜は、その裏のマウンドにキャプテンを務める前中志穂投手（#10 4年・武庫川女子大学）をマウンドへ。前中投手は流れを渡すまいと、最速113lm/hの直球を武器に二者連続三振を奪うなど、三者凡退に抑えて最終回の逆転に望みを繋いだ。
大学選抜の前中志穂主将（武庫川女子大）が最終回を3人で抑えた-Journal-ONE撮影
しかし、クラブ選抜も最終回のマウンドに細川珠季投手を再び送り勝利への執念を見せる。先ほどまで完璧な投球を見せていた細川投手は、得意のドロップを軸に大学選抜を三者凡退に切って取り試合終了。2-1と1点差で逃げ切ったクラブ選抜がオールスターゲーム4連勝を飾ると共に、続くジャパンカップへボルテージを上げてくれた両チームに、スタンドからは大きな拍手が送られていた。
ピンチでマウンドに集まる森高監督とクラブ選抜内野陣-Journal-ONE撮影
刺激を受けた初出場の明治大学
「とても良い経験になった。チーム全体が常に声を出して雰囲気を作っていたのは参考にしたい」と笑顔で振り返る。明治大学女子硬式野球クラブから選出された小室遥沙選手（#8 2年・明大付八王子高）だ。
創部4年目を迎えた明治大学女子硬式野球クラブは今夏、全日本女子軟式野球選手権で初の公式戦に臨み、見事ベスト8に進出。その大会で活躍した小室選手も、初めてとなる大学選抜選出となり、強豪校の選手たちと交流する機会を得た。
2年生ながら5番に座った小室遥沙（明治大）-Journal-ONE撮影
無難に左翼守備をこなした小室選手だったが、第1打席では技巧派左腕の変化球に翻弄されて三振。「左対左の変化球は初めての体験だった」と、外に逃げる変化球に苦労した小室選手。「打撃も守備ももっと練習してレベルを上げていかないと」と、さらなる飛躍を誓っていた。
「今日はボールが抜ける感覚が強く、変化球が全くダメだった…それでも低めに投げた直球が通用したのは自信になった」と、同じ明治大学女子硬式野球クラブから選出された柴田投手も貴重な経験を振り返る。
