木の根が地中深くに伸びているからこその文化だ。一朝一夕でできあがるものではない。宇都宮は今シーズンのB1で唯一、3Pシュートの試投数が全シュート数の半数を超えたチームだ。その成功率は52.7%に及ぶ。
3Pが大きな武器であることは他チームにとっても明白だ。完全にオープンになった選手がシュートを放つことが不思議なほど頻繁に見られる。
これは、宇都宮の選手たちが味方やボールの動きが「習慣的に」身についていて、ほとんど頭で考えることもなく体が動かすことができ、ひいてはマークのつかない状態でシュートを打てる場所に身を置くことができるからではないか。

シュートする鵤誠司‐永塚和志撮影
20年が育てた宇都宮ブレックスの文化
再びEASLでのコロネルHCの発言を引用する。Bリーグ代表のチームは前年まで2年連続でEASLの頂点に立っていた。それゆえ、連覇を期待されるが、という問いに対してのものだ。
「この集団は高い期待に慣れていると思います。ブレックスは今シーズンを含めた近年、良いクラブになったわけではありません。ほとんど20年間をかけてとても良いクラブとなったのです」。
「今いる多くの選手たちがその20年間の一部としてプレーをしてきました。そして、高い期待を受け、さらに期待に応えてもきました」。

ゴール下からシュートを放つ小川‐永塚和志撮影
CS最有力候補として臨む理由と揺るがぬ現在地
宇都宮ブレックスが高い期待に慣れている理由
宇都宮ブレックスは3年連続での地区優勝を果たし、チャンピオンシップ(CS)に入る。全体では西地区優勝の長崎ヴェルカに次ぐ第2シードとなった。
だが、昨シーズンを含む最多の3度のリーグ制覇を成し遂げている経験豊富なチーム。それゆえ、8つのプレーオフ進出チームの中で最後にトロフィーを掲げる最有力候補だと見られている。
「私は(3連覇の)最初の年にはいませんでしたが。」と前置きをしながら、コロネル氏は成し遂げたことのすばらしさを評した。
ニュージーランド出身の指導者は昨シーズン、アシスタントコーチとして宇都宮に加わった。HCだったケビン・ブラスウェル氏の死去後はHC代行に。そして、今シーズンはHCとなった。
「ブレックスの持つ精神構造と私たちがロスターに抱える選手たちの質によるものだと思います」。

コーチ、代行を経てHCとなったコロネル氏‐永塚和志撮影
慢心なき姿勢が示す、王者としての条件
他のチームはしばしば宇都宮を引き合いに出しつつ、文化という土台を築きあげたいと言う。そしてそのためには時間がかかることも当然、承知している。
宇都宮にはすでに互いの考えや動きを理解した経験豊富な選手たちが揃う。もちろん、いかなる選手も年齢を重ね、やがては肉体は斜陽へと向かう。永遠はない。
ただ、少なくとも今は、その経験の差を他のチームが埋めるのはほとんど不可能であるよう思える。

チームの象徴・田臥勇太‐永塚和志撮影
他チームからしてやっかいなのが、それほどの強さを持つ宇都宮におおよそ慢心のようなものが感じられないところだ。
上述の名古屋D戦。宇都宮は30-11と大きく差をつけて第1クォーターを終えるなど、最高の出だしだった。にもかかわらずコロネルHCは、自軍が良いプレーができなくなり相手が反撃してくるかもしれないと「神経質だった」と振り返った。
「名古屋のようなすばらしいチームは戦い続けることを止めません。そして、彼らはとても危険なチームです。彼らはいつも反撃をする方法を求めていますし、実際、今日の試合ではそうなりました。幸い、私たちはいくつかいいプレーをしたことで追いつかせることはしませんでしたが」。
習慣によって身についた試合運びと、相手をけっして過小評価しない精神性。
CSが開幕する。ホームの日環アリーナ栃木でクォーターファイナルを戦う宇都宮は、名古屋Dと対峙する。その盤石に思える強さで、宇都宮が2018-19以来のBリーグ連覇を狙う。

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