
2022年、大学選手権初出場果たした東洋大学-斉藤健仁撮影
多国籍チームを一つにする工夫とコミュニケーション
もう1つ、東洋大学ラグビー部の特徴としては、ラグビー日本代表のように国際色豊かで、多様性があることが挙げられるだろう。昨シーズンは10を超える国や地域にルーツを持つ選手が在籍していたが、今シーズンは9ヶ国(日本、トンガ、アメリカ、ブラジル、ニュージーランド、オーストラリア、ナイジェリア、ジャマイカ、クック諸島)だという。
国際色、多様性豊かなチームになったのは、福永監督が特別に意図した訳ではない。「たまたま」だったという。
もちろん、留学生の中には強化のために福永監督が直接声を掛けた選手もいる。しかし、監督の理念や目指す方向性、また川越キャンパスの学部に所属すれば大学、寮、グラウンドと敷地内で過ごすことができる恵まれた環境などに惹かれた学生が集まった結果だという。
但し、チームが1つになるために、寮生活では日本人と外国出身の選手を必ず同部屋にしている。加えて、食事の際も外国出身の選手が固まらないように心かげている。
また、ピッチ内外で、日本人でも外国出身選手でも理解しやすいように、「ネイビー(2回連続でプレーに関わるダブルエフォートのこと)」など様々なキーワードを作っているという。

得点ボードは28-27。昨年の関東リーグ戦で東海大学に敗れた点数を表示-斉藤健仁撮影
多様な文化と言葉を超えて築く結束力
東洋大学ラグビー部の特徴は、多言語環境
入学したばかりのNO8(ナンバーエイト)ロケティ・ブルースネオル(1年/目黒学院高校卒)は「いろいろな国のカルチャーを知ることができて楽しいです。同期はみんな仲良しです。外国人がいる中でも、日本人と日本語でコミュニケーションを取っています。」と笑顔を見せた。現在、ロケティはキャプテンのCTB(センター)浅尾至音(4年/城東高校卒)と同部屋だ。
また、選手の中にはバイリンガルも多く、トリリンガルの選手もいる。大東文化大学、三洋電機で活躍した故・ワテソニさんを父に持つ、副将のFLナモア・ファタフェヒ(4年/桐生第一高校卒)。彼は「日本語が一番得意で、次にトンガ語で、英語もできます。」と話す。
そして、「内容によっては日本語の理解が難しかったりする場合は、トンガ人にトンガ語で伝えたり、英語が母語の選手には通訳することもあります。」と、外国出身選手に積極的にコミュニケーションを取ることで、一体感醸成に一役買っている。

今季、加入した1年生のロケティ-斉藤健仁撮影
キャプテンと指導陣が育む多様性を強みに変える文化
多様性のあるチームを引っ張ることに苦労はあるのか?とキャプテンの浅尾に聞いた。
すると、「いろいろな文化、宗教の選手がいて、そういう部分では違いはあります。しかし、全員、人が良くて礼儀正しい。そして、『勝ちたい』と芯にあるものが、みんな一緒なのでまとまりがあります。」と語気を強めた。
その他にも、福永監督はOBや選手でバーベキューをやるなど、チームビルディングも年に2回ほど実施する。選手全員が本を読んで感想を書き、意見を発表し合う勉強会も月1回、行っている。
「今シーズンは全員日本語を理解できる。ですから、ミーティングなどを英語で訳す必要がなくなりました(苦笑)。9カ国の出自を持つ選手たちがお互いに理解し、尊敬し合う。そして、これまでにないチームへと成長し、ファンのみなさまに喜んでいただける成果につなげていきたいです」。

リーダー陣、左からナモア副将、浅尾主将、日髙寮長-斉藤健仁撮影
先輩たちが築いた文化と誇りを継いで頂点を目指す
東洋大学ラグビー部を変えた悔しさ
今シーズンで東洋大学を率いて9年目となる福永監督。なかでも、「今でも忘れられない」出来事がある。
それは22年ぶりに2部リーグで全勝優勝した2020年シーズンのこと。コロナ禍の影響でシーズン後、1部との入替戦が実施されなかったのだ。それを寮で福永監督が選手に伝えたとき、全員が号泣したという。
その悔しさをスタッフ、選手たちは忘れなかった。翌シーズンには見事に入替戦で中央大学を下す。こうして、29年ぶりに1部に昇格を果たした。

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