國學院大学 が全国の舞台でも見せる“新・國學院”の総合力。ベスト4進出までの軌跡を追い、優勝候補の準決勝へ向けた鍵を描き出す。
大学野球選手権ベスト4が出揃う──“聖地”神宮で決まる春の頂点
大会の全体像と今年の勢力図
第75回全日本大学野球選手権は、ついにベスト4が決定した。例年、この大会は“春の日本一”を決める舞台として注目を集めるが、今年は特に実力校が順当に勝ち上がったことで、より一層の緊張感が漂っている。さらに、週末には“大学野球の聖地”として知られる神宮球場で決勝が行われるため、球場の空気そのものが選手たちの背中を押すような特別な雰囲気を生み出している。
今年のベスト4には、昨年の優勝校である東北福祉大学をはじめ、戦前から優勝候補に挙げられていた大学が名を連ねた。つまり、実力と実績を兼ね備えた“本命校”が順当に勝ち上がった形だ。
國學院大学 など“本命校”が順当に勝ち上がる
その一角に名を刻んだのが國學院大学である。強豪がひしめく東都大学野球連盟の春季リーグ戦を制し、5年ぶり2回目の大学選手権出場を決めた。
東都は“戦国東都”と呼ばれるほど実力が拮抗しており、1つの勝ち点がシーズンの流れを大きく左右する。したがって、そこで優勝を果たした國學院大学の存在感は、全国の舞台でも際立っていた。

國學院大学を引っ張る主将・赤堀-Journal-ONE撮影
國學院大学 が東都を制するまで──“新・國學院”誕生の背景
激戦の東都で積み上げた勝ち点
國學院大学の優勝は、決して平坦な道のりではなかった。まずは、初戦の中央大学1回戦で10失点を喫して落としたものの、その後連勝で勝ち点を奪う。続く、立正大学、東洋大学、亜細亜大学との対戦を何れも2勝1敗。接戦を制して勝ち点を積み重ねた。
こうした“落としても立て直す力”こそ、今季の國學院大学を象徴するポイントである。特に東都では、1敗がそのまま連敗につながるケースも多い。しかし、國學院大学は敗戦の翌試合で必ず修正し、勝ち点を確実に積み上げた。
これは、選手個々の技術だけでなく、チーム全体のメンタル面の成熟を示すものでもある。
青山学院大学との最終節が示した“勝ち切る力”
そして、最終節ではリーグ6連覇中の王者・青山学院大学との決戦。1回戦を延長10回タイブレークの末に勝利を掴んだ國學院大学。続く2回戦も、序盤の投手戦を凌ぎ、5回にビッグイニングを作った。その結果、青山学院大学を破り、勝ち点5の完全優勝を果たした。
青学大の“6連覇”という重圧を跳ね返した勝利は、國學院大学が“新・國學院”として生まれ変わった象徴的な瞬間だったと言える。

國學院大学の迫力ある応援も全国で披露-Journal-ONE撮影
國學院大学 の武器──21本塁打の破壊力と多彩な投手陣
突出した長打力が生まれた理由
戦国・東都を制した國學院大学の特色は、何と言ってもシーズン最多本塁打記録を21本に塗り替えた圧倒的な長打力だ。好投手を擁する大学が集まる東都大学では、これまでの最多記録は17本だった。それを大きく上回る21本塁打。どれだけ突出した記録であるかが分かるだろう。
さらに、単に“飛ばす”だけではなく、選球眼の良さと好球必打の徹底が長打力を支えている。つまり、無駄なスイングを減らし、狙い球を確実に仕留める打撃哲学がチーム全体に浸透しているのだ。また、打線全体が同じ方向性を共有しているため、相手投手にとっては“どこからでも長打が出る”という恐怖感を与える。こうした統一された打撃意識は、シーズンを通して相手バッテリーを苦しめ続けた。

パンチ力のある花田も選球眼が良い-Journal-ONE撮影
藤本が支えた横浜商科大戦の主導権争い
しかし、國學院大学の強さは打線だけではない。投手陣もまた、今大会で存在感を示している。特に、今大会9イニング12奪三振無失点と好調の藤本士生(3年・土浦日大高)は、チームの大黒柱として安定感抜群の投球を続けている。
東京ドームでの2回戦から登場した國學院大学は、1回戦を勝ち上がった横浜商科大学(神奈川大学野球連盟)に対し、主導権を取りきれない展開が続いた。毎回走者を出しながらもあと一本が出ず、嫌な流れが漂ったが、先発の藤本がそれを断ち切った。
初回、MAX149km/hの直球で上位打線を3者三振に仕留めると、続く2回も2つの三振。さらに、四球で出した走者を巧みなけん制で刺すなど、技術の高さも際立った。緩急やコースの出し入れも冴え、相手に的を絞らせない投球が続いた。













