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波乱の準々決勝

「勝ててよかった」

試合後に神戸弘陵学園の石原康司監督が、ホッとした表情でこの一言を発した。

24日に行われた 第30回記念全国高等学校女子硬式野球選手権大会  の準々決勝。日本一を目指す神戸弘陵学園は、苦しい時間が長い試合となった。相手は石原監督が当初予想していた福知山成美を破り、勢いがある滋賀短期大学附属(以下、滋賀短大附属)。

この試合に勝てば、春の選抜大会と成績が並ぶという大事な一戦。しかし「油断していたわけではないが、隙があったと思う」と振り返るほど苦戦を強いられた。 

暑さ30度を超える会場で準々決勝に臨んだ神戸弘陵学園-神戸弘陵学園提供

初回に先制点を許す

試合は開始早々に動いた。1回表、滋賀短大附属は1番・川上愛未が四球で出塁。すると、続く2番・大西柚奈の送りバントで先発・山戸優菜の送球が逸れて連続出塁を許した。このミスから3番・柳生楓恋と4番・大東結の連続安打で1点を先制。

この時点でまだ無死と滋賀短大附属のチャンスが続く中、徐々にエンジンが掛かり始めた山戸投手。ここから三者連続三振を奪うと、味方の援護を待った。

先発の山戸投手と浅水捕手-神戸弘陵学園提供

1回裏には1番・福田稟が右前安打で出塁すると、3番・西垣美来も四球を選んでチャンスメイク。すると早くも滋賀短大附属は投手を花村雛希に交代。神戸弘陵学園に対して、1点が命取りになると警戒した佐藤彰哉監督。しかしこの策は見事的中。神戸弘陵学園を術中にはめることとなった。

4番・島本そなを凡打で抑えた花村投手。ここから神戸弘陵学園は打線に苦しむ展開に進んでいった。

滋賀短期大学附属が追加点

3回表、一塁線を破る安打と、4番の野手の間を突くセーフティバントで追加点のチャンスを作った滋賀短期大学附属。すると焦りが見え始めた神戸弘陵学園バッテリー。2死二、三塁からパスボールで後ろに逸らすと、その間に2点目が入り序盤で2-0とリードを許した。

初戦の勝利を振り返る石原監督-Journal-ONE撮影

石原監督も選手たちに声をかけ続けた-Journal-ONE撮影

石原監督も「とにかく焦らない。まずは1点ずつ取ろう」と、攻撃を見直すように声をかける。それでも思うように試合が運べない神戸弘陵学園に緊張が走った。

4回表、滋賀短大附属に左中間を破る二塁打を打たれると、ここで神戸弘陵学園の石原康司が動いた。投手交代を告げると、前日に先発した濱嶋葵がマウンドへ。「本当はこの二人の間に、違う投手を挟みたかった」と試合後に教えてくれたが、これ以上の失点はできないと濱嶋に託した場面だった。

濱嶋と浅水梨来の息の合った2年生バッテリー。そんな2人がこのピンチを三振と、盗塁阻止で乗り切ると、直後の4回裏に来た流れを掴んだのは浅水だった。

2年生バッテリーの活躍で流れを呼び寄せる-神戸弘陵学園提供

神戸弘陵学園の反撃が始まる

先頭の石井望愛による安打から始まると、5番・浅水が左前に鋭く弾き返して得点。待望の1点を入れると、チームも活気を取り戻した。さらに5回には三塁手・河井絢音の好守がチームを救う。まず先頭打者を自らの悪送球で出塁させてしまった河井。

1死三塁になると、4番・大東が放った三ゴロを華麗に捌いて捕球。目の前にいた走者にタッチをすると、そのまま流れるように一塁へ送球した。これ以上の失点はできない神戸弘陵学園だったが、この併殺で無失点。「3点目を取られなかったのが大きかった」と石原監督も石井のプレーを褒めた。

そして、ここから神戸弘陵学園の反撃が始まる。

5回裏に相手のミスで同点に追いつくと、1番・福田の左前安打から再びチャンスを作った。そして2番・石井と3番・西垣の連続適時打で勝ち越しに成功し4-2。

石井の適時打から打線が繋がる-神戸弘陵学園提供

さらに6回裏には、代打・末吉知花が中前適時打を放って2点を追加。試合後に「この2点がなかったら、しんどかった」と話した石原監督の期待にしっかりと応えた末吉。チームを勝利にグッと近づける活躍で、濱嶋を援護した。

アクセス
つかさスタジアムいちじま球場
  • 東海道新幹線 京都駅 - 特急はしだて(80分)- 福知山駅 - JR福知山線 - 丹波竹田駅‐徒歩20分
この記事に関連する人物
石原康司

神戸弘陵学園女子硬式野球部の創部監督として、高校三冠や全日本選手権優勝など数多くの全国タイトルを獲得し、女子高校野球界を代表する指導者。男子硬式野球部時代には甲子園出場5度の実績を持ち、技術・戦術に加え人間形成を重視した育成方針で多くの選手を輩出。女子野球の普及と競技力向上に大きく貢献している。

山戸 優菜

神戸弘陵高校 女子硬式野球部 2026年主将
背番号 21
ポジション 投手
投打 右/左
背番号:21
出身:広島県
経歴:平良小学校ソフトボール育成会-安佐ボーイズー神戸弘陵高校
始めたきっかけ:野球をしていた兄を見に行っていたのがきっかけ。小学生の時はソフトボール。中学生からボーイズに入り硬式野球を始め、神戸弘陵高校で初めての女子チーム。
マインドセット:クラシック音楽を聴きながら、瞑想で仲間や応援してくれてる人を思い出し、やる気スイッチを入れている。

濱嶋 葵

神戸弘陵高校 女子硬式野球部
背番号 89
ポジション 投手
投打 右/右
出身 東京都
小学生の時に女子初となる読売ジャイアンツジュニアチームに選出。当時から小学生女子とは思えない投球で、注目を集めてきた。小学6年生の時に、女子野球大会の決勝戦が初めて阪神甲子園球場で行われたのを見て、憧れの先輩と同じ神戸弘陵高校への進学を決めた。3月の選抜大会には運命の準決勝に先発出場。惜しくも試合には敗れたが、石原監督も「夏の強みとなった」というほどの期待が寄せられている。

島本 そな

神戸弘陵高校 女子硬式野球部
背番号 31
ポジション 外野手
投打 右/左
出身地 兵庫県
地元兵庫県出身の選手で、中学生時代に練習試合を行うことで神戸弘陵高校に入学を決める。得意な打撃を磨き、チームの主軸選手に成長。春の選抜大会でも結果を残し、夏の大会でも活躍が期待されている。打席前はリラックスするために、歌を歌うという大物ぶり。左打者とは思えぬ力強さとバットコントロールで神戸弘陵高校を勝利に導く。

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