石原康司監督が、無冠世代と挑む最後の夏
石原康司監督は、女子高校野球界の名門・神戸弘陵学園を創部以来率いている。その指導は、日本一を目指すチームづくりだけではない。部員たちの将来に重要な、人間形成も両立させてきた指導者だ。

女子硬式野球部の名将・石原監督-Journal-ONE撮影
女子高校野球界の頂点を追い続ける神戸弘陵学園
女子高校野球には、一世代の成長を示す3つの全国タイトルがある。
新チーム最初の日本一を争う全国高等学校女子硬式野球ユース大会。冬の鍛錬の成果を試す全国高等学校女子硬式野球選抜大会。そして、3年生の集大成となる全国高等学校女子硬式野球選手権大会である。
2014年の創部以来、神戸弘陵学園は女子高校野球界屈指の強豪として歴史を刻んできた。
創部3年目となる2016年にはユース大会と選手権大会で初優勝を達成。その後もユース大会5回、選抜大会5回、選手権大会4回の優勝を誇る。加えて、2024年にはクラブ、大学を含めたすべての女子硬式野球の頂点を決める全日本女子硬式野球選手権大会での優勝も果たした。神戸弘陵学園はまさに、女子高校野球界を代表する名門校としてその地位を確立している。

全国屈指の強さを支える素振り練習-Journal-ONE撮影
「無冠世代」が挑む集大成の夏
しかし、今夏最後の大会に挑む3年生たちは、まだ全国タイトルを手にしていない。
新チーム最初の全国舞台となったユース大会はまさかの初戦敗退。そして巻き返しを誓った春の全国高等学校女子硬式野球選抜大会。東京ドームで開催される決勝進出に王手をかけながら、準決勝で逆転負けを喫した。
神戸弘陵学園の歴史を振り返っても珍しい“無冠世代”。だからこそ、最後の夏に懸ける思いは誰よりも強い。
石原康司監督率いる、女子高校野球界の名門・神戸弘陵学園。その強さの秘密について話を聞いた。

センバツ準決勝で敗れた表彰式での選手たち‐Journal-ONE撮影
「全てに日本一基準」で挑む捲土重来
石原康司監督と選手たちは、選抜大会敗戦後に改めて見つめ直したものがある。それが神戸弘陵学園の部訓である「全てに日本一基準」だ。
技術や戦術だけではない。日々の生活や練習への取り組み、仲間との接し方まで、日本一のチームにふさわしい基準で行動することを求める神戸弘陵学園の原点である。
しかし、今夏最後の大会に挑む3年生たちは、高校日本一を経験していない。それでも石原監督は、その敗戦を悲観的には捉えていなかった。
「ユース大会もセンバツ大会も1点差の敗戦でした。あと一本ヒットが出ていれば、あと一つピンチを切り抜けていれば結果は変わっていたと思います」。
一見すると無冠という結果だけが目に映る。しかし、その内容は悲観するものではなく、日本一と紙一重の差だった。だからこそ、選手たちは敗戦から目を背けることなく、自らの課題と向き合った。
石原監督は「3年生を中心に本当に成長している。」と手応えを口にする。その成長の先にあるのが、最後の夏の頂点だ。
そして、全国制覇に必要な最大のポイントを問うと、石原監督は迷うことなくこう断言した。
「3年生の底力です」。

最後の夏にかける3年生たち‐Journal-ONE撮影
エース・山戸優菜と4番・島本そあの成長
その象徴の一人が3年生エース・山戸優菜だ。
センバツ大会では故障の影響もあり、本来のパフォーマンスを発揮できなかった。しかし現在は回復が進み、神戸弘陵学園が課題としていた投手力にも一つの目途が立ちつつあるという。
打線では4番・島本そあの成長が著しい。自分が打たなければ勝てない。自分が打点を挙げれば優勝が近づく。そんな責任感が強まったことで、勝負どころでの集中力と勝負強さは明らかに向上した。石原監督もその成長を高く評価している。
もっとも、指揮官は現状に満足しているわけではない。むしろ、夏の選手権開幕までの時間を使い、最後の最後までチーム強化の手を緩めるつもりはないという。
投手陣では、センバツ大会で獅子奮迅の活躍を見せた2年生・濱島葵のさらなる成長に期待を寄せる。
そして、「1年生を含め、最後の最後まで調子の良い投手を見極めていく。」と語る。そのため、毎週末の対外試合を通じて最適な投手陣の編成を模索し続けている。















