佐久長聖は、今春の全国高校女子硬式野球選抜大会覇者。創部4年目の初優勝で、一躍全国の注目を集める存在となった。
しかし、春の王者となった今も選手たちは自らを挑戦者と位置付ける。
第30回全国高等学校女子硬式野球選手権大会の予選トーナメント3回戦。関西の強豪・京都外大西との一戦で、佐久長聖は再び持ち前の粘り強さを発揮した。
既に佐久長聖の代名詞とも言える”終盤の逆転劇”。この日も佐久長聖は春の王者らしい勝負強さを見せてベスト16進出を決めた。

勝利の瞬間抱き合って喜ぶ佐久長聖のクローザー 浦川(左)-Journal-ONE撮影
佐久長聖が春に証明した「逆境の強さ」
今春の第27回全国高等学校女子硬式野球選抜大会で初優勝を果たした佐久長聖。その頂点までの道のりは決して平坦ではなかった。
準決勝の神戸弘陵学園戦では、点を与えては追い付く接戦を繰り広げた。その結果、終盤6回に勝ち越して逆転勝利。続く履正社との決勝戦でも、1点ビハインドで迎えた最終回に集中打で3点を奪い逆転勝ちを収めた。
こうして、関西の名門校を相手に土壇場で勝負強さを発揮した佐久長聖。その粘り強さは、一躍全国区の存在となった。その春から4か月。追う立場だった佐久長聖は、今度は追われる立場として夏を迎える。
初戦では前橋市立を相手に主導権を握りながらも中盤に1点差まで迫られる苦戦。それでも勝負どころで踏ん張り3回戦へ駒を進めた。
そしてベスト16進出を懸けた相手は京都外大西。再び関西の強豪と対峙する佐久長聖に大きな注目が集まった。

連投で力投する京都外大西のエース・加藤-Journal-ONE撮影
佐久長聖のエース・中澤亜子が試練の序盤
試合は佐久長聖にとって想定外の立ち上がりとなった。
変則フォームから打者の間合いを狂わせる投球を持ち味とするエースの中澤亜子。しかし京都外大西打線は、その球筋を冷静に見極める。
初回、連続四死球でチャンスを得ると、4番・馬場桃花の適時二塁打で2点を先制。さらに2回には下位打線が連打でつなぎ追加点を奪った。

佐久長聖のエース・中澤-Journal-ONE撮影
中澤への信頼は揺るがず
中澤は2回途中、走者を背負った場面で降板。しかし、それでも野々垣武志監督の信頼は変わらない。
「中澤は、センバツでも全試合先発して勝利に貢献してくれている」。
センバツ優勝校のエースとして研究されていると感じるかとの問いにはこう続けた。
「そうですね。それは今日の試合でも感じています。しかし、継投が主体のうちにおいて中澤の役割は大きい。1イニングでも投げてくれることで、チームや投手陣に与える影響はとても大きいのです」。
研究されてもなお、佐久長聖に欠かせない存在であることをあらためて示した。

中澤に絶対的信頼を寄せる野々垣監督-Journal-ONE撮影
佐久長聖が終盤に見せた王者の底力
1-4で迎えた6回、佐久長聖は小池優衣の適時打で反撃を開始した。センバツ優勝の立役者でもある小池があげた反撃の狼煙。
この1点が、京都外大西に傾いた流れを止めた。その結果、最終回の大逆転劇の布石となった。
1年生・園田莉央が流れを呼び込む
2点を追う7回。野々垣監督は先頭打者に1年生・園田莉央を代打で送り出す。
その期待に応えた園田は二塁打を放ち、塁上で満面の笑みを見せた。その姿が、佐久長聖ベンチが忘れかけていた”終盤の粘り”を呼び込んだ。
「園田は流れを持ってきてくれる選手です。あの場面で期待通りの打撃を見せてくれました」。
指揮官の言葉通り、その一打が流れを変えた。

佐久長聖の1年生・園田が逆転の口火を切る-Journal-ONE撮影
佐久長聖自慢の中軸で試合をひっくり返す
山端瑠菜の適時打で1点差に迫ると、なおも好機で打席には阿部里音。ここまで無安打だった主砲が放った打球は同点打となり、試合を振り出しへ戻した。
さらに2死二、三塁で鈴木杏奈が中前へ勝ち越し打。二塁走者の阿部も生還し、この回一挙4得点で逆転した。














