苦闘と再起のストーリー
吉金亜希子が再びつかんだチャンス
開幕スタメンを勝ち取った吉金だが、なかなか思うような結果が出せない打席が続いた。その結果、開幕から数試合経った伊予銀行ヴェールズのスターティングラインナップから吉金の名前が消える。
期待とプレッシャーが交錯する中で結果が出ない苦しさは、想像以上のものだったといえる。
チームが思うような試合展開とならない中、それと比例するように結果が出ない吉金。一時は、再びベンチを温める存在となっていった。
しかし、それでも吉金の気持ちは折れなかった。チームの勝利のため、自分ができることにフォーカスし続けた結果、再びそのチャンスを手に入れる。
試合に出られない時間も決して無駄にはせず、準備を続ける姿勢こそが再起への原動力となった。

守備でもベンチでも誰よりも声を出してチームを鼓舞する‐Journal-ONE撮影
流れを変えた一打と手応え
それは、5月22日の東海理化戦だった。2₋4のビハインドで迎えた最終回の2死一、二塁という痺れる場面。吉金は代打として打席に送られた。
0₋1とした2球目、「積極的にバットを振る」と決めていた吉金が放った打球は、ショートの横をライナーで破る今季3本目の安打。その結果、1点を返した伊予銀行ヴェールズは、ここから怒濤の反撃を見せた。
大きな局面で結果を残したこの一打は、単なるヒット以上の価値を持つ。自身の立場を再び引き寄せる、象徴的な一打となった。
この後、続く吉本琴慈、庄村瑠衣が落ち着いて四球を選び同点に。チームにモメンタムをもたらす貴重な適時打を放ち、存在感を見せつけた。
流れを呼び込む一打。その役割を見事に果たしたことで、チーム全体の士気も高まった。
「代打という難しい打席でしたが、ボールへの対応力に手応えを掴んだ打席となった。」と吉金は振り返る。元々、小柄ながらも身体能力の高い選手。その特徴を活かすべく、今ではバットをやや短く持ち打席に入る。
こうした細かな工夫と状況判断が融合し、結果へと結びついた打席だった。

リラックスして球を待つフォームに‐Journal-ONE撮影
チームを支える存在へ 中堅としての役割
吉金亜希子のチームを支える覚悟と影響力
チームはまだ発展途上であり、だからこそ一戦一戦にかける意識は強い。
これまで、チームでは若手として積極的に声を出し、マスコット的存在としてかわいがられてきた吉金。3年前にJournal-ONEが、JR四国、伊予銀行と始めた四国交流キャンペーン“四国を元気に!”では、レポーターとしても活躍した。
フィールド外でもチームや地域を盛り上げてきた経験。これは、吉金の人間的な魅力があるからに他ならない。
それから数年が経過し、伊予銀行ヴェールズも選手の若返りが進んだ。今では中堅選手として、チームをけん引する立場となってきている。
若手とベテランの橋渡し役としての存在感も増し、チームの中核へと成長している吉金だ。

3年前、観光列車をレポートした吉金(右は本間紀帆)-Journal-ONE撮影
信頼を勝ち取った結果とこれから
それでも吉金は、「チームが勝つために、やることは変らない。」と笑顔を見せる。人懐っこい性格で先輩にも後輩にも好かれる吉金。
その変わらぬスタンスこそが、チーム内で愛され続ける理由でもある。
交流戦の第1節を終え、吉金のバットは益々上昇気配。打率も3割を超えてきた。こうして、数字としても結果を残ることで、評価はさらに高まっていくだろう。
「調子の良い選手を積極的に使って行く。」と宣言する、石村寛監督にとっても、心強い存在となっている吉金。ようやく華開いた苦労人が見せる今後のプレーに注目だ。

吉金の好調は上位での得点力アップに繋がる‐Journal-ONE撮影
これまでの積み重ねが結実しつつある吉金亜希子。今、そのプレーはチームに新たな可能性をもたらしている。














