光の庭——日没後の天保山広場
夜に命を得る、海遊館の壁画
日が沈むのを待った。
暮れ色が濃くなるにつれ、海遊館の外壁に設置された巨大なジンベエザメのオブジェが、ゆっくりと光の中に浮かびあがってきた。昼間はオブジェに過ぎなかったそれが、夜の帳とともに命を得たように輝きはじめる。
気温は二十一度まで下がり、湿度が上がって空気がしっとりとしてきた。翌朝には雨になるかもしれない。そんな夜の港の気配の中で、広場に点在するオブジェも、一つ、また一つと光を纏い始める。タコ、ペンギン、シュモクザメ、アザラシ——みな気持ちよさそうに海の中を泳いでいるようだ。昼間でも十分に楽しめる場所だが、夜はまた別の顔を持っている。
夜の港広場でライトアップされる海洋生物オブジェ群と大観覧車—Journal-ONE撮影
天保山大観覧車——夜空に描く、ゴンドラ60台の弧
振り返れば、天保山マーケットプレースの向こうに、天保山大観覧車が輝いていた。六十台のゴンドラが夜空にゆっくりと弧を描く。乗り込む機会はなかったが、ここがプライベートの旅なら、迷わず列に並んでいただろう。
夜の天保山大観覧車がピンクに輝く様子。
60台のゴンドラが夜空に弧を描いている—Journal-ONE撮影
夜の天保山広場|見どころ情報
海遊館は夜8時まで営業。日没後は外壁のジンベエザメや広場のオブジェがライトアップされ、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しめる。夏は夜でも港の風が心地よく、家族連れやカップルにもおすすめの時間帯だ。
港町の胃袋——天保山の夕食どき
国際色豊かな、港のフードコート
夕食を求めて立ち寄った天保山マーケットプレース。
海遊館の隣に広がるこの施設には、食事や買い物を楽しむ人々が集まっていた。—Journal-ONE撮影
天保山を歩き回り、夕暮れの大阪港を眺め、大観覧車の灯りに見惚れているうちに、正直なところすっかりお腹が空いていた。喉もからからだ。満ち足りた気持ちの裏側で、体は正直に「食べたい」と訴えている。迷わず、天保山マーケットプレースの中央に広がるフードコートへと足を向けた。
テーブルには様々な言語が飛び交い、家族連れ、カップル、ひとり旅の外国人——みなそれぞれに皿を前にして、思い思いの夜を過ごしていた。海遊館を擁する天保山エリアが、今や国際的な観光地として成熟していることを、この雑然とした食卓の風景が静かに物語っていた。
大阪港を望むフードコート。ここには世界各地から訪れた人々が集い、
それぞれの旅の時間を過ごしている。@海遊館
翌朝——海遊館の前に立つ
開館前の静寂と、田井さんの出迎え
翌朝、ホテルを出て徒歩五分。
朝の空気は湿り気を帯びていた。気温は二十一度ほどだが、梅雨の湿度がじっとりと肌にまとわりつく。歩くうちに背中がうっすら熱を持ってくる。曇り空の下、波止場の前では港の風が絶えず背後から吹き、それがほどよく体を冷ましてくれた。
開館前の海遊館は、まだ静けさに包まれていた。
ここから約二時間半にわたる取材の時間が始まる。—Journal-ONE撮影
海遊館の外観は、朝の光の中でまた異なる表情を見せていた。エントランスへ続くゆるやかなスロープ、観覧車との並びが作り出す独特のシルエット。開館前の静寂の中に立つと、これから始まる取材への期待が、じわりと高まってくる。
広報チームマネージャーの田井さんが、エントランスで出迎えてくださった。
「ようこそいらっしゃいました」
大阪弁の柔らかなイントネーションが、朝の緊張をほぐしてくれるようだった。この日から約二時間半、私は「海」の内側へと案内される。
海遊館|基本情報
所在地:大阪市港区海岸通1-1-10/大阪港〈海遊館前〉駅(地下鉄中央線)から徒歩約5分。開館時間は10:00〜20:00(最終入館19:00 ※変動あり)。入館は日時指定券制のため、公式サイトでの事前予約がおすすめ。
——この続きは、第2部にて。
ジンベエザメ「海くん」と「遊ちゃん」が待つ、5400トンの水槽へ。













