取材を終えて、田井さんと別れた後のことを、少し書き加えておきたい。
館内をぐるりと案内していただいた後、最後に立ち寄ったのがオフィシャルショップだ。正直に言う。ここで私は、完全に財布の紐が緩んだ。
飼育員にしか、思いつかない。
「オウサマペンギン三変化ぬいぐるみ」——卵からヒナ、そして親鳥へ
海遊館のオフィシャルショップは、去年の年末にリニューアルしたばかり。ここで売られているのは、ほぼすべてがオリジナル商品だ。よそでは買えない、海遊館でしか手に入らないものばかりが並んでいる。
なかでも目を引いたのが、「オウサマペンギン三変化ぬいぐるみ」だ。卵、ヒナ、親鳥——成長の三段階をそれぞれのぬいぐるみで表現した、なんとも憎らしい発想の一品である。
「飼育員と商品担当が協力して作ってるんですよ」
と田井さんが教えてくれた。そりゃそうだろうと思う。ペンギンの成長をこんな風に商品化しようと思いつくのは、毎日ヒナの育ちを見守っている人間以外にいない。
海遊館オリジナルグッズ「オウサマペンギン三変化ぬいぐるみ」。
田井さんが手に取って見せてくれたのは、ペンギンの成長過程を卵・ヒナ・親鳥の3段階で
表現したユニークなぬいぐるみだった。—Journal-ONE撮影
生殖器の有無まで——ジンベエザメぬいぐるみのこだわり
もう一つ、見逃せないのがジンベエザメのぬいぐるみだ。オスとメスのバージョンがそれぞれあって、その違いがまた細かい。オスには腹ビレの付け根に生殖器が2本あり、メスにはない——そこまで再現してあるのだ。エラ穴もちゃんとついている。
「絶対わからないですからね、そこは」と田井さんが笑っていたが、わかる人にはわかる。そしてわかった瞬間、妙にうれしくなる。それがまた、この商品の罪なところだ。
海遊館オリジナルのジンベエザメぬいぐるみ。
見た目の可愛らしさだけでなく、オスとメスの違いや
エラ穴まで再現する細かなこだわりが詰まっている。—Journal-ONE撮影
架空の商品企画室——ショップのコンセプトについて
部屋のコンセプトも面白い。架空の「商品企画室(仮)」というコンセプトで作られていて、実際の飼育現場で使われているバケツや、魚を運ぶための四角いキャスター付きの台(「ダンベ」と呼ぶらしい)、そしてジンベエザメの給餌で使った本物の柄杓まで展示してある。水族館のバックヤードが、そのままショップに転がり込んできたような、不思議な空間だ。
海遊館オフィシャルショップのコンセプトは架空の「商品企画室(仮)」。
実際の飼育現場で使われていた道具や備品が展示され、水族館のバックヤードに
迷い込んだような空間が広がっている。—Journal-ONE撮影
ジンベエソフトを、海の前で。
水色と白のストライプ——海外客にも大人気の定番
ドリンクスタンド「SEA SAW」の外観。©海遊館
出口改札を抜けた無料ゾーンにあるのが、気軽にフードやドリンクを楽しめるドリンクスタンド「SEA SAW」。ここで田井さんが強くすすめてくれたのが「ジンベエソフト」だ。
水色と白のストライプ模様——まさにジンベエザメの体色をそのまま再現した、見た目から楽しいソフトクリームである。
「これ、海外の方にも大人気なんですよ。写真撮ってる方がたくさんいらっしゃいます」
なるほど、確かにこれは撮りたくなる。
ジンベエザメの体色をイメージした「ジンベエソフト」。
水色と白のストライプが目を引き、思わず写真を撮りたくなる
海遊館の人気スイーツだ。©海遊館
おすすめの食べ方——広場のオブジェを眺めながら
せっかくなら、エントランス前の広場に出て、海を眺めながら食べるのがおすすめだ。広場には波をテーマにしたオブジェが点在していて、タコやペンギン、シュモクザメやアザラシが気持ちよさそうに泳いでいる。日陰もある。港の風が、背中をゆっくりと押してくる。
ジンベエソフトを片手に、大観覧車を見上げながら、しばらくぼんやりするのがいい。たくさん歩いて、たくさん見て、体を動かした後の冷たいソフトクリームは、格別だ。これもまた、海遊館の「ちゃんとした楽しみ方」の一つだと思う。
夕方に来るという選択肢。
夜8時まで営業——都市型水族館ならではの強み
田井さんが最後にこっそり教えてくれたことがある。
「夜8時まで営業してますから、夕方から来るのもええですよ。日が落ちると、広場のオブジェがライトアップされて、またきれいですから」
都市型の水族館ならではの強みだという。一般的な水族館が5時や6時に閉まるなか、海遊館は夜まで営業している。冬なら5時ごろからイルミネーションが映えはじめ、夜の時間もたっぷり楽しめる。
日が落ちた海遊館前の広場。
ライトアップされたオブジェが、昼間とは違う海の世界を醸し出していた。—Journal-ONE撮影
夕方からのモデルコース
夕方に来て、館内をゆっくり見て、閉館近くに外へ出て、ライトアップされた広場でジンベエソフトを食べて、天保山マーケットプレースのフードコートで夜景を眺めながら夕食を——そんな一日の締め方も、なかなか悪くない。なお、入館は日時指定券制(事前購入で並ばずに入場可能)なので、お出かけ前に公式サイトでの予約を忘れずに。













