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6月21日 女子日本代表公開練習での宮澤夕貴-永塚和志撮影
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宮澤夕貴は、病気公表を経て新たな覚悟を胸に女子日本代表として歩み続けている。

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宮澤夕貴 公表された病気と心身の揺らぎ

宮澤夕貴 病気発覚までの経緯

6月21日に日本バスケットボール協会は、9月のFIBA女子ワールドカップへ向けて強化を進める女子日本代表チームのメディア向けの公開練習を東京・ナショナルトレーニングセンターで行った。

練習後のメディア対応で、宮澤夕貴は近づいてきた記者の面々を見て当然、「そのこと」について聞かれることは覚悟していただろう。そして実際、彼らは「そのこと」について問うてきた。

しかし、質問を受ける彼女の口調や表情は穏やかだった。波の状態に置き換えるなら、凪いでいたように見えた。

打ち明けたくとも打ち明けられないという歯痒さから解放されたことが、そんな様子に見て取れた。

6月1日。33度目の誕生日を翌日に控えた宮澤はインスタグラムのポストで、自身が甲状腺ホルモンが過剰に分泌される免疫疾患である「バセドウ病」に罹患していたことを明らかにした。

1月の皇后杯での宮澤夕貴-永塚和志撮影

1月の皇后杯での宮澤夕貴-永塚和志撮影

症状が競技に与えた影響

2025-26のWリーグシーズンに入って心身が不安定な感覚があったという宮澤。「微熱が続いたり、尋常じゃないくらい疲れたり。ご飯を沢山食べてもなかなか体重が増えなかったり、体に力が入らなかったり」という状態であった。そして、昨年12月に病院での検査を受けたところその診断を下されたとのことだった。

1月上旬の皇后杯(全日本バスケットボール選手権大会)の時だった。記者から体格が幾分細くなったように見えたことについて減量をしたのかとの質問を受けた宮澤は、「言えないんですけど、いろいろ理由があって。」とそれを否定した。

少しばかり勘を働かせれば、彼女の体になにかしらの問題が生じていることを察することができた。SNSでバセドウ病のことを彼女が打ち明けた時には、やはり「そうだったか」となったはずだ。

その時には言えなかった自身の体のことをもはや隠す必要がなくなった。それにより、宮澤は煩悶を吹っ切ることができたのだろう。

自身が日本を代表するような選手であるということを認識しつつ、同じく病気などを抱える人たちに向けてそれでも頑張っていけるのだという前向きなメッセージを送りたいと、宮澤は話した。

「(病気になったことによる肉体の)弱さも自分では認めながら、前に進みたいという気持ちがあったので公表しようと思いました。でも一番は、同じ病気で戦っている人たちが前向きになれたらという気持ちでした。」

宮澤夕貴 3月のプレーオフでシュートを決めた宮澤-Journal-ONE撮影

3月のプレーオフでシュートを決めた宮澤-Journal-ONE撮影

病気公表がもたらした心境の変化

とはいえ、対外的には穏やかさを示していても、まったく不安を抱えずにいられるはずはあるまい。宮澤は日本でもトップ級のバスケットボール選手。これからワールドカップという世界大会で日本を牽引する役割の一端を担うのだ。

現在は薬を処方しながら病気と付き合いつつプレーをしているという。5月に横浜で行われたラトビアとの2試合の強化試合の初戦では、薬の処方を止めていたために出来が「良くなかった」とのこと。それでも、処方を再開してから甲状腺ホルモンの数値は安定しているという。

6月21日の公開練習で汗を流す宮澤夕貴-永塚和志撮影

6月21日の公開練習で汗を流す宮澤夕貴-永塚和志撮影

身長183cmのパワーフォワードである宮澤。機動力が高く、3Pシュートを得意とする万能な選手だ。その一方で、インサイドも担いリバウンドや相手の大柄な選手とマッチアップする場面も少くない。

体重が減ってしまったことなどでインサイドでのプレーに影響はないのか。そう尋ねられると彼女は、体調には波があり「数値が高い時はきつい」と話す。しかし、それが正常値のあたりであれば「力は入る」と支障がないことを強調した。

「シーズンの後半も安定しているほうでした。11月くらいかな一番、きつかったのは。それでもパフォーマンスは維持していていて。これ以上、悪化しなければ普通に『いつも通りの宮澤夕貴』としてやれるのかなと思います」。

宮澤はこう語った。今以上に悪化することがあれば難しくなるとも付け加えはした。しかし、その字面ほど彼女の口調に悲壮感は漂っていなかった。

■記者プロフィール
永塚 和志
フリーランススポーツライター。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、FIBA W杯や米NCAAトーナメントを取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

「X」アカウント https://x.com/kaznagatsuka
アクセス
味の素ナショナルトレーニングセンター
  • 東海道新幹線 東京駅 - 上野東京ライン(17分)- 赤羽駅 - 国際興業バス(7分)- HPSC陸上門バス停留所 - 徒歩3分
Journal-ONE記者の永塚和志氏
取材・文:
永塚 和志( 日本 )
この記事に関連する人物
宮澤夕貴

1993年生まれ、神奈川県横浜市出身。183cmのパワーフォワードとして高い機動力と正確な3Pシュートを武器に、Wリーグと女子日本代表で長年中心的役割を担う。東京オリンピック銀メダル獲得にも貢献し、現在は代表キャプテンとしてチームを牽引する存在。インサイドとアウトサイドを自在にこなす万能性が高く評価されている。2026年には甲状腺ホルモンが過剰に分泌される自己免疫疾患「バセドウ病」を公表し、治療と競技を両立しながらプレーを続けている。

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