佐久長聖の真価は、名門校との接戦を勝ち切る勝負強さにある。秋、そして春の大会では、数々の栄冠を手にしてきた神戸弘陵学園と激しい戦いを繰り広げた。神戸弘陵の重厚な打線と試合運びに対し、佐久長聖は終盤まで粘り強く食らいつき勝利した。名門を二度破った経験は、チームに確かな自信と“勝ち方”を刻み込んだ。
特長ある左右豊富な投手陣が、要所で相手打線を抑えきる。打線も小技と長打を織り交ぜながら相手の隙を逃さない。加えて、選抜優勝の経験を経て、選手たちの成長スピードはさらに加速しているはずだ。
順当に勝ち進めば、甲子園をかけた準決勝で三度神戸弘陵学園と対戦する。名門と新興勢力が三度激突する舞台が「甲子園を懸けた準決勝」という事実。これは、女子高校野球の新時代を象徴するドラマそのものだ。春・秋に続き、夏も佐久長聖が名門を越えるのか――全国が固唾をのんで見守ることになる。

3アウトの瞬間マウンドで喜ぶ佐久長聖ナイン‐Journal-ONE撮影
大学女子硬式野球 進化を続ける競技レベル
高校卒業後も野球を続ける選手たちが日本一を争う舞台。それが第16回全日本大学女子硬式野球選手権大会だ。8月31日に開幕するこの大会には、全国各地から大学女子硬式野球部が集結し、年々存在感を増している。
大学女子野球は、技術面・戦術面ともに高校野球とは一線を画すレベルだ。侍ジャパン女子代表候補が多数在籍している。その結果、投手の球速や変化球の質、打者のスイングスピード、守備の連携力など、あらゆる要素が高度化している。
加えて、大学女子硬式野球も近年、チーム数・競技人口ともに増加傾向にあり、全国的な広がりを見せている。地方大学の台頭も顕著で、地域ごとに特色あるチームが育ち始めている。高校女子硬式野球の発展が大学カテゴリーにも波及。その結果、競技全体が底上げされている点が大きな特徴だ。
投手の継投策、状況に応じた打撃戦略、守備シフトの活用など。大学ならではの“考える野球”も随所に見られる。女子野球の未来を担う舞台として、競技レベルの進化を体感できる大会となっている。
高校から大学へ――女子野球は確実にステップアップし、競技としての厚みを増している。大学選手権は、その進化を象徴する夏の大舞台だ。
大会概要
- 大会名:第16回全日本大学女子硬式野球選手権大会
- 期間:2026年8月31日(月)~9月5日(土)
- 会場:和歌山県田辺市・御坊市・上富田町・串本町
- 決勝:調整中

春の全国を制した仙台大-Journal-ONE撮影
明治大学
Journal-ONEが継続取材を続けている明治大学。大学女子硬式野球の新しい可能性を体現する存在だ。
創部5年目を迎え、ようやくチームとして十分な人数が揃い、競技としての本格的な成長期に入った。加えて、今春には高知大会へ初めてエントリーし、全国の舞台へ挑戦する第一歩を踏み出した。チームの転換点として夏の大会での奮闘にも期待がかかる。
明治大学の特徴は、大学公認クラブとして活動している点にある。硬式野球の経験者だけでなく、「硬式野球に触れてみたい。」という未経験者や初心者も多く所属。女子硬式野球の裾野拡大に直結する“受け皿”として機能している。高校まで硬式野球の環境がなかった選手が、大学で初めて本格的な硬式野球に挑戦できる場。そんな明治大学の存在は非常に貴重だ。
さらに、明治大学は“大学野球のルーツ”とも言える東京六大学の中で唯一の女子硬式野球チーム。それゆえ、その注目度は群を抜いて高い。伝統ある大学スポーツ文化の中に女子硬式野球が芽生えた。これは、競技の社会的認知度向上にも大きく寄与している。六大学ブランドの影響力は強く、女子野球の新しいファン層を呼び込む力にもなるだろう。
チームは、和歌山大学硬式野球部との交流などで、着実に力を蓄えてきた。強豪大学と比較すればまだ発展途上。しかし、女子野球の未来を支える“新しいモデルケース”として、明治大学は大きな存在感を放ち始めている。

高知大会で初の公式戦に臨んだ明大女子野球クラブ‐Journal-ONE撮影
IPU・環太平洋大学
大学女子野球界を長年リードし続けてきた絶対的強豪がIPU・環太平洋大学だ。全国トップクラスの戦力を誇り、日本代表選手を多数輩出する“女子大学野球の中心軸”とも言える存在である。技術、戦術、フィジカル、メンタルのすべてが高い次元で融合した完成度の高いチーム。当然、今大会でも優勝候補に挙げられている。













