シルバーウィークの後半はもっとも混み合う時期にあたり、駐車場もロープウェイも待ち時間が発生します。混雑を避けたいなら、平日か早朝を選ぶのが賢明でしょう。なお、その年の気温によって見頃は前後します。公式サイトやビジターセンターが発信する紅葉情報で、直前の色づき具合を確認してからお出かけください。
旭岳登山に挑戦する場合の目安

姿見の池から先は、散策路ではなく本格的な登山道に変わります。ロープウェイで標高を稼げるぶん取り付きやすい山ではありますが、装備も心構えも散策とはまったく別物です。
所要時間、道の険しさ、周回コースの選択肢、そして出発前に整えておくべきことを順に確認しましょう。
姿見駅から山頂までは往復およそ5時間かかる
姿見駅の標高は約1,590m、旭岳の山頂は2,291mですから、標高差はおよそ700mです。一般的なコースタイムは登り2時間30分前後、下り2時間前後で、休憩を含めると往復5時間ほどを見込んでおくとよいでしょう。
ここで気をつけたいのが、ロープウェイの運行時間との兼ね合いです。下りの最終便に間に合わなければ、山麓まで歩いて下りることになります。朝いちばんの便で上がり、遅くとも14時までには下山を開始する行程が現実的でしょう。
登山シーズンは6月下旬から10月初旬までと短く、それ以外の時期は雪に閉ざされます。夏山であっても山頂付近の気温は10度を下回ることが多く、風が吹けば体感温度はさらに下がります。麓の陽気とはまるで別の世界だと考えておいてください。
九合目から上は火山礫の急斜面になる
姿見の池を過ぎると、道は一変します。木道は姿を消し、火山礫の敷き詰められた斜面をひたすら登っていく行程です。粒の細かい礫は靴底が滑りやすく、登山靴でなければ足を取られてしまいます。スニーカーでの入山は避けてください。
八合目を過ぎたあたりから傾斜はさらにきつくなり、九合目付近には「ニセ金庫岩」と「金庫岩」という2つの目印が現れます。よく似た立方体の岩で、かつては下山時に見間違えてルートを外れ、遭難する事故が相次ぎました。
現在は誤進入を防ぐロープが張られていますが、ガスがかかると視界が効かなくなるため油断は禁物です。山頂は広くなだらかで、晴れていればトムラウシ山や十勝岳連峰まで見渡せます。この眺望が、急登を耐えたご褒美になるでしょう。
裾合平と中岳温泉は中級者向けのコースになる
体力に自信のある方には、山頂から先へ進む周回コースという選択肢もあります。旭岳から間宮岳を経て中岳温泉に下り、裾合平を回って姿見駅へ戻るルートで、距離はおよそ12km、所要時間は7時間前後です。
このコースの目玉が、沢のなかに湧く野天の中岳温泉です。整備された浴場ではなく、川床を掘っただけの素朴な湯だまりで、足を浸せば長い行程の疲れがほぐれていきます。裾合平ではチングルマの大群落が広がり、季節によっては一面が白い花や綿毛で覆われます。
ただし、山頂から裏旭へ下る斜面は礫が細かく、滑りやすい区間です。エスケープルートも限られるため、天候が崩れそうな日は無理をせず山頂の往復にとどめる判断が求められます。
登山届の提出と装備の準備が前提になる
旭岳に登る際は、登山届の提出が欠かせません。大雪山系は入り組んだ稜線が続き、いったん道を外れると発見までに時間を要します。オンラインの登山届システムか、登山口に設置された用紙で必ず届け出てください。旭岳ビジターセンターでは、当日の登山道の状況やヒグマの目撃情報も確認できます。
装備は、登山靴、レインウェア、防寒着、手袋、行動食と水を基本とします。山中に売店や水場はなく、トイレも姿見の池の携帯トイレブースから先にはありません。携帯トイレは事前に用意し、使用後は必ず持ち帰りましょう。
携帯電話の電波が届かない場所も多いため、地図アプリはオフラインで使える状態にしておくと安心です。ビジターセンターでは、遭難時に位置を知らせる会員制の捜索サービス端末もレンタルできます。
冬の旭岳で楽しめること

雪に閉ざされる冬も、旭岳ロープウェイは動き続けています。むしろこの季節にしか見られない光景があり、世界中から愛好家が集まってくるほどです。雪質の特徴から、滑走コースの構成、道具の借り方まで、冬に訪れるなら知っておきたいことをまとめました。
冬は日本最高級と称されるパウダースノーが積もる
旭岳の雪は、水分をほとんど含まない乾いたパウダースノーです。内陸性の厳しい冷え込みが雪の結晶をそのまま保つため、踏み込むと足がすっと沈み込むような独特の感触があります。この雪質を求めて、海外からも滑走目的の来訪者が絶えません。
冷え込みは相当なもので、1月から2月にかけては氷点下30度を下回る日もあります。麓の東川町が氷点下10度前後でも、姿見駅周辺はそれよりはるかに低い世界です。市街地の防寒着では歯が立たないため、目出し帽やゴーグルまで含めた完全装備で臨んでください。













