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大学女子野球の日本一を決める

8月31日から和歌山県南西部で開催された「第16回全日本大学女子硬式野球選手権大会」。大学女子野球の頂点を決めるこの大会に、東京六大学で唯一の存在として明治大学女子硬式野球クラブが出場した。
 
大会史上最多となる21大学が集結した今大会。明治大学にとって全国の舞台は、今回で2度目となる。

全21校が揃った日本一を決める大学女子野球選手権大会ージャーナルワン撮影

初戦で見せた大反撃

8月31日に行われた初戦の相手は新潟医療福祉大学。今年5月に開催された「第12回全日本大学女子硬式野球春季大会」の予選リーグで、19-0で大敗を喫した天敵だ。
 
そんな試合で先発マウンドを託されたのは2年生の柴田 優衣投手。肩に痛みを抱える厳しいコンディションの中、コントロールを重視したコースを丁寧につく立ち上がりを目指した。しかし、相手の容赦ない攻勢により初回に2点を先行されてしまう。

緩い球と速球を交えた配球で初回は三者凡退に抑えた柴田投手‐ジャーナルワン撮影

 
それでも、チームの反撃の狼煙は2回表に上がった。
 
2死から相手のミスで走者を出すと、後続が驚異の粘りを見せて連続死球を選び、満塁の大チャンスを作り出す。ここで打席に立った9番・森泉 杏心選手がプレッシャーを跳ね返し、二塁手の頭上を越える鮮やかな一撃を放ち1点を返した。さらに1番・柴田選手が自らのバットで2打点を叩き出し、一挙逆転に成功する。
 
全国の舞台で鮮やかなリードを奪ってみせた明治大学。この一打は、チームが重ねてきた成長の証であり、選手たちの大きな自信へとつながった。その後、相手の猛攻に遭い試合には敗れたものの、コールド負けという結果の裏には、最後まで諦めずに声を掛け合い続けた選手たちの力強い姿があった。春の大敗から確実に前へ進んでいることを印象付ける一戦となった。

森泉 杏心選手の安打からチームの勢いを完全に掴んだ-ジャーナルワン撮影

歴史を切り拓いてきたパイオニアとの対峙

翌9月1日、敗者同士の対戦となった2戦目の相手は尚美学園大学。同校は2006年4月、元プロ野球選手の新谷博氏を初代監督に迎えて創部。女子野球界において深い歴史を持つ名門だ。日本初の大学女子硬式野球部として発足し、当時、高校卒業とともに硬式野球を諦めざるを得なかった選手たちへ「学問と野球を両立できる環境」を提供。日本の女子野球の未来を切り拓いてきたパイオニアである。
 
その創設理念は、現代の明治大学にも脈々と受け継がれている。
 
「文武両道を目指す学生のために、野球を理由に夢を断たせたくない」
 
東京六大学唯一のチームとして新たな道を築く明治大学もまた、同じ志を胸に活動を続けている。

和歌山で挑む2戦目

この日の先発マウンドには小倉 愛乃投手が上がった。前日登板した柴田投手は肩の不調を考慮し、レフトの守備に。これまで登板機会の少なかった小倉投手。藤﨑 匠生監督は「こういう真剣勝負という機会だからこそ投げてもらい、チームとしても良い経験になった」と期待を込めて送り出した。

小倉 愛乃投手も尚美学園大学打線に力強く投げ込んでいく-ジャーナルワン撮影

 
しかし試合は、初回から尚美学園大学の強力打線に呑まれる展開となる。2死から右越えの適時三塁打で2点を奪われると、連打と失策が重なりこの回一挙6失点。
 
攻撃陣も、前日は2回に満塁からの連続適時打で3点を奪う意地を見せていた。しかし、この日は尚美学園の投手陣の前に3回まで無安打と沈黙。守備でもリズムを作れず、2回に3点、3回にも3点を失う展開になった。そして、あっという間に12-0と大きくリードを許してしまう。

諦めない姿勢で奪い取った待望の1点

このままでは大会規定により4回10点差でコールドゲームとなってしまう窮地。打者2巡目に入った4回裏、明治大学が意地を見せる。
 
尚美学園の投手交代の隙を見逃さず、1番・柴田選手と2番・野口 聖奈選手の連続安打でチャンスメイク。
1死後、4番・加藤 結子選手が放った二ゴロが相手内野陣の失策と悪送球を誘うと、2塁走者の柴田選手が瞬時の判断で本塁へ生還。待望の1点を奪い取った。

加藤 結子選手の内野ゴロが相手のミスを誘い、得点に成功-ジャーナルワン撮影

 
しかし反撃はここまでとなり、12-1で試合終了を迎えた。それでも下を向く選手は誰一人いなかった。勝利することはできなかったものの、限られた練習環境の中で全国の強豪に挑み続ける選手たち。それでも間違いなく一歩ずつ、その足取りを確かなものにしている。

選手を支える温かい温もりと、未来への花咲く蕾

今回、和歌山の地に駆けつけ、選手たちを温かく支え続けたのが「明治大学父母会」の皆さまだ。
 
大会前から温かいメッセージで選手たちを鼓舞し、試合当日はスタンドから熱い視線を送り続けた。その存在は、厳しい戦いに挑む選手たちにとって何より心強い追い風となったはずだ。親世代の温かい眼差しもまた、彼女たちの成長を力強く後押ししている。
 
そして2026年1月に柴田選手と上村 愛桜衣選手が行った、和歌山大学 硬式野球部との交流。同部初の女子部員である西上 天菜さんと共に、「和大メソッド」を体験し、技術向上に取り組んだ。そのきっかけから、31日の初戦には和歌山大学の大原 弘監督、OBの中西 陽コーチも会場に駆け、エールを送っていたのだ。そんな和歌山大学も彼女たちを応援する強い味方。
 
今回は明治大学のモットーである「おかげさま」を感じられる2日間となった。
 
2試合を通して浮き彫りとなった守備のミスなど、今後の課題は残された。しかし、それ以上にチームの絆は深まり、全国で戦うための着実な一歩を踏み出した明治大学。積み重ねてきた努力の蕾は、近い将来、必ずや大きな大輪の花を咲かせるはずだ。

笑顔で大会を終えた明治大学の選手たち-ジャーナルワン撮影

 
これからもJournal-ONE』は明治大学女子硬式野球クラブの挑戦と成長を見守っていく。それと同時に、進化を続ける女子野球の魅力をより多くの方へ届けられるように、選手たちの頑張りを伝え続けていきたい。
アクセス
御坊市民球場
  • 東海道新幹線 新大阪駅‐JR特急「くろしお」 御坊駅‐タクシー 約15分
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