1970年の巨大な未来像が残る万博公園の目の前で、スケールの大きさに頼らず、最小単位の生命の美しさをすくい取ろうとしたこの挑戦。2015年の開業から10年の歳月を重ねた現在のいま、ニフレルが「生きているミュージアム」としてこの地にしっかりと根を下ろしている理由は、まさにこのシンプルな言葉に込められた思想の強度に他ならない。
玄関口の予感――重なる扉の向こうへ

真夏の日差しを遮る深い庇。その先に、ニフレルのエントランスが静かに待っていた。—Journal-ONE撮影
眩しい日差しを背に受けながら、私はエントランスの涼やかな影の中へと滑り込み、本日案内を務めてくださる西前さんへ到着の連絡を入れた。
携帯電話を耳から離した瞬間、胸の奥で小さな高鳴りが波打つ。事前の連絡で明かされたサプライズ――今日は西前さんだけでなく、なんとニフレルを束ねる館長自らが、全館のガイドとして同行してくださるというのだ。
シンプルな一言から始まったこの革新的な空間を支え、生きものたちと人間の接点を模索し続けてきた当事者から、直接言葉を聞くことができる贅沢。
ガラスの向こう、明るいエキスポシティの喧騒を背に、どのような人物が姿を現すのだろうか。純白の壁面に切り取られたエントランスの影の中で、私は心地よい緊張感と大きな期待に胸を膨らませながら、二人の到来を静かに待った。
やがて始まった対話は、「感性にふれる」とは何かという問いへと私を連れて行くことになる。
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