KOBE CHIBENと女子高校野球選抜が示した、野球が社会を変える力
9月13日、東京ドームで行われた「SATO presents 高校野球女子選抜 vs イチロー選抜 KOBE CHIBEN」。女子高校野球の強化と普及を目的に2021年から始まり、今年で6回目を迎えたこの特別な一戦は、単なるエキシビションマッチではなかった。
主催者からは2万5千人を超える観衆が集まったと紹介された東京ドーム。加えて、外野席には東海大学高輪台高校、習志野市立習志野高校の吹奏楽部が陣取る。その華やかな演奏も、真剣勝負を一層引き立てた。
イチローさん、松井秀喜さん、松井稼頭央さん。世界を舞台に戦ってきたレジェンドたちが入念な準備を重ね、高校生たちと真正面から向き合う。その姿をひと目見ようと集まった観衆で、球場は国際大会を思わせる熱気に包まれた。
しかし、この日の主役はイチローさんたちだけではなかった。
東京ドームで、新たな物語の主人公が名乗りを上げたのである。

力投するイチロー氏-Journal-ONE撮影
イチロー氏を脱帽させた神戸弘陵学園・福田稟
127球、17奪三振、完封勝利。
スコアボードだけを見れば、この日のイチローさんの投球は圧巻だった。
しかし、試合後に最も強く印象に残った存在を問われると、答えは別の場所にあった。
「参りました。」
高校野球女子選抜を相手に快投を演じたイチローさんが脱帽したのは、神戸弘陵学園高校の福田稟選手だった。
この日、52歳のイチローさんは127球を投げ、17奪三振の完封勝利を飾った。
しかし、福田選手だけは違った。
センター前、ライト前、レフト前。
三方向へ打ち分ける見事な3安打猛打賞。17三振を奪った投手から、一人で3本のヒットを放ったのである。
試合後、イチローさんは福田選手について、
「スターが生まれたなという感じがする。」
と語り、
「打席に入ると空気が変わる選手がいる。本当に嫌な感じだった。」
と評した。
つまり、MLB(米大リーグ)で世界最高峰の投手たちと対峙し続けてきた男が認めた「嫌な打者」だったのである。
それが福田稟選手だった。

イチロー氏から3安打猛打賞の福田稟選手(神戸弘陵学園)-Journal-ONE撮影
イチロー氏も観た「無冠世代」の日本一
だからこそ、この活躍には特別な意味がある。
福田選手が所属する神戸弘陵学園は、女子高校野球界を代表する強豪校だ。
しかし今季の3年生世代は、秋のユース大会、春の全国高等学校女子硬式野球選抜大会などで優勝を逃し続け、「無冠世代」と呼ばれてきた。
それでも、彼女たちは下を向かなかった。
8月1日、阪神甲子園球場で行われた第30回記念全国高等学校女子硬式野球選手権大会決勝。イチローさんも「ネットで試合を観た。」と話した注目の一戦。その舞台で、神戸弘陵学園は学校法人石川高校を破り、2年ぶり5度目の全国制覇を達成した。
福田選手はその全国大会で全試合安打を記録。準決勝終了時点では打率7割5分を超える活躍を見せ、チームの日本一に大きく貢献した。
さらに、甲子園優勝からわずか1か月余り。
今度は東京ドームでイチローさんから3安打を放ち、「スターが生まれた」と言わしめた。
女子野球界にとって、その言葉の重みは計り知れない。

イチロー氏から盗塁も決めた福田選手-Journal-ONE撮影
イチロー氏が見た女子投手の進化
もう一人、レジェンドたちを驚かせた選手がいる。
神戸弘陵学園の主将でありエース、山戸優菜投手だ。
38人の3年生を含む93人の部員たちとともに「無冠世代」のレッテルを覆し、第30回記念全国高等学校女子硬式野球選手権大会優勝へ導いた山戸投手。
この日も切れ味鋭いスライダーを武器に1イニングを無失点に抑える好投を披露した。先頭打者として打席に立ったイチローさんをショートゴロに打ち取るなど、全国王者の主将としての実力を東京ドームの舞台でも示した。
また、試合後のヒーローインタビューに福田選手と共に登壇した山戸投手。元日本人MLB選手たちと並んでいても、甲子園の王者らしい存在感を見せた。
加えて、このインタビューでイチローさんは、
「山戸投手をはじめ、女子野球の投手レベルが上がっている。」

東京ドーム
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都営地下鉄三田線「水道橋駅」A2出口
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都営地下鉄大江戸線「春日駅」6番出口 -
その他駐車場、駐輪場有。休日、祝日、およびイベント開催日は駐車場が大変混雑します。できるだけ公共交通機関をご利用ください。
- 取材・文:
- 編集部-矢澤( 日本 )

福田 稟選手
神戸弘陵高校 女子硬式野球部
背番号:26
出身:兵庫県
経歴:備前サンラッキーズー神戸弘陵高校
始めたきっかけ:1歳上の兄が野球をしていて、その応援に行っていたら自分もこんなプレーをできるようになりたいなと思い始めた。

山戸 優菜
神戸弘陵高校 女子硬式野球部 2026年主将
背番号 21
ポジション 投手
投打 右/左
背番号:21
出身:広島県
経歴:平良小学校ソフトボール育成会-安佐ボーイズー神戸弘陵高校
始めたきっかけ:野球をしていた兄を見に行っていたのがきっかけ。小学生の時はソフトボール。中学生からボーイズに入り硬式野球を始め、神戸弘陵高校で初めての女子チーム。
マインドセット:クラシック音楽を聴きながら、瞑想で仲間や応援してくれてる人を思い出し、やる気スイッチを入れている。

西垣 美来選手
神戸弘陵高校 女子硬式野球部
背番号:24
出身:大阪府
経歴:大阪狭山ボーイズー神戸弘陵高校
始めたきっかけ:小学1年生の時に野球をやっていた兄の影響で始めた。
マインドセット:自分のフォームを動画でチェック。親にもアドバイスをもらいながら、時間があるときは一緒にバッティングセンター行って練習をしたりしている。












