こうした取り組みは一時的なものではなく、着実に輪を広げている。直近の7月23日に開催された勉強会にも約60名が参加し、熱意ある交流が交わされたばかりだ。単なる支援者にとどまらず、人々をつなぐコミュニティを育て続けていく人でもあることが、この精力的な活動からも伝わってくる。
子どもたちへ
芝生に伸ばした、小さな手
Journal-ONEでは、地域の子どもたちのソフトボールチームの活動なども、日々熱心に取材を重ねている記者がいる。汗を流し、仲間と支え合いながら成長していく子どもたちの姿を追い続けるその記事には、編集部として何度目を通しても胸が熱くなるものがある。日本の未来を育む子どもたちのスポーツを、こうして応援し続けることも、Journal-ONEの大切な役目のひとつだ。
The Paddock Cafeの公式アカウントを見ると、店の前の芝生で、子どもたちがポニーや馬と触れ合うイベントの写真が何枚も投稿されていた。おぼつかない足取りの子どもが、馬の鼻先にそっと手を伸ばす。その隣では、親たちが目を細めている。The Paddock Cafeが見つめる先にも、同じように子どもたちの成長を見守るまなざしがあるように感じた。

月に一度、特別な1日
The Paddock Cafeでは、月に一度ほどのペースで「馬ふれあいイベント」が開かれている。乗馬体験、えさやり、記念撮影、ポニーやサラブレッドとのふれあい、騎手の練習に使う木馬体験まで用意された、盛りだくさんの1日だ。普段なかなか近くで会うことのできない馬たちと、同じ空間で過ごせる特別な時間——ただ見るだけでなく、実際に触れ、えさをやることで、馬のやさしさや温もりを感じてもらう。子どもはもちろん、大人にも毎回好評だという。

“馬生”という言葉
「競馬を引退した馬たちにも、それぞれの”馬生”がある」。イベント告知に添えられたこの言葉は、林さんがずっと大切にしてきた考え方そのものなのだろう。こうしたふれあいを通して、まず馬という存在を知ってもらう——それは「引退馬の支援の第一歩」なのだという。
これからも、この場所で

広場から広がる馬との出会い
「これから先も、いろんなイベントをやっていきたい」と林さんは言う。目の前の広場に馬がやってきた、あの日のように。
実際、7月26日の夕方にも馬イベントが予定されているほか、8月29日(土)には夜店が並ぶ夏祭り風のイベントも計画されている。さらに秋(10〜11月頃)には、出店数を増やし馬関連雑貨の販売や体験型企画を拡充する構想もあり、蹄鉄を打ち替える装蹄師によるライブ実演も検討中だという。
馬の魅力を伝え続けるために
最近は、クリストフ・ルメール騎手や和田竜二元騎手(現・調教師)、松山弘平騎手といった、現役の名だたる競馬関係者たちもこの場所に足を運び、活動を後押ししてくれるようになった。
開業から9ヶ月。毎日新聞など、メディアから声がかかるようになったいまも、林さんはこう綴っている。「壁にもたくさんぶち当たりながら、時々ノックアウトされそうな時もありますが、挑戦にエラーはつきもの。まずは馬を知らない人に馬の魅力を知っていただくこと、馬のファンを増やすことがパドックカフェの役割だと考えており、何を言われても継続していこうと思っております」。
取材を終えて

偶然の巡り合わせで叶った、わずかな時間の取材だった。それでも、語っていただいた内容は、この短い時間には収まりきらないほど充実していた。
これから先、林さんが何を仕掛けてくるのだろう——そんな空想が、ふと頭をよぎる。目が離せないというのは、我ながらやっかいな性分だと思う。
短い時間の取材だったが、語られた言葉の端々から、ひとつの確信めいたものが残った。林さんの思いや姿勢に引き寄せられるようにして、仲間が、そしてお客さんが、これからも少しずつ集まってくるに違いない。その輪は、きっと広がっていく。
馬の目を、宿した人
そういえば、と話を聞きながら思い出す。取材を終える頃、ふと妙な感覚に囚われていた。人懐こく、どこまでも澄んだあの瞳。それは、長年厩舎で見つめ続けてきた馬たちの目そのものではないか。競走馬と生きた歳月が、いつしか人の眼差しにまで、静かに影を落としていたのかもしれない。
京都の余白に、もうひとつの場所を
チームラボ京都を訪れる予定があるなら、ぜひここにも足を延ばしてほしい。いや、それだけではない。京都旅行の合間に、ゆったりと流れるこの時間と、おいしいスイーツを味わいに来てほしい。そしてもし馬のことを覚えていたら、店内に並ぶ馬グッズや、広場にやってくる馬たちの姿を、少しだけ想像してみてほしい。
インフォメーション(施設情報)

木のぬくもりと青緑のタイルが印象的な店内。大きな窓からは公園の風景を楽しめる。—Journal-ONE撮影
– 住所:京都府京都市南区東九条南岩本町21(南岩本公園内)













