サッカー協会の役割は競技普及だけではない。地域の未来づくりへの貢献もまた、これからのスポーツ組織に求められる使命なのである。

大榎SFA会長が防災の重要性を説く-Journal-ONE撮影
全国に広がるJFAの防災拠点に加わるエコパ
今回の防災トレーラー設置は画期的な取り組みに見えるかもしれない。しかし、この挑戦はエコパから始まったわけではない。
JFAは日本財団との連携のもと、「ぼうさい拠点整備事業」を全国で進めている。Jビレッジのある福島県をはじめ、北海道や千葉、大阪。加えて、令和8年熊本地震が起こった熊本にも防災トレーラーが設置されている。
被災地では子どもたちの遊びや運動機会が失われるケースが多い。そのため、各地にトレーラーハウスを配置し、移動式の「ぼうさい拠点」として活用できる体制づくりを進めている。
その考え方の中心にあるのは、防災トレーラーそのものではなく「人をつなぐ仕組み」だ。
地域に根付き、平時から活動し、災害発生時には迅速に支援へつながる。エコパは、その全国ネットワークに新たに加わる重要な拠点として位置付けられている。

右からJFAの湯川専務理事、永島会長、茂木副事務総長-Journal-ONE撮影
被災地支援から得た「備える」支援
Journal-ONEが永島さんに「これまでの被災地支援活動を通じて感じた課題は何でしょうか。」と尋ねると、永島さんはこう話した。
「発災直後は水や食料が必要になります。しかし時間が経つにつれて、子どもたちが安心して遊べる場所や地域の皆さんが集まれる場所も重要になります。スポーツには人を笑顔にし、人をつなぐ力があります」。
災害は建物だけでなく、人々の日常も奪う。学校の校庭や公園は避難所や仮設住宅の用地となり、子どもたちは遊び場を失う。そうした状況の中で、ボールを蹴ることや仲間と身体を動かすことが、子どもたちの心を支えることにつながる。
さらに、「今回の防災拠点整備によって何が変わるのでしょうか。」と聞くと、永島さんは次のように続けた。
「これまでは被災後に支援へ向かうことが中心でした。しかし防災拠点が整備されることで、平時から地域と関係性を築きながら、いざという時には迅速な支援につなげることができます」。
防災とは発災後の対応ではない。発災前から始まっている。その考え方を体現したのが、防災拠点という存在なのである。

スポーツと防災の共通点について話す永島会長-Journal-ONE撮影
防災拠点とスポーツが育む生きる力
イベント後半には、「防災とスポーツ」をテーマにしたトークセッションが行われた。
登壇したのは、永島さん、大榎さん。そして、元なでしこジャパン代表の小林弥生さんと半田悦子さんも加わった。
この中では、震災復興の支援のため、現地を訪れた際の体験談はもちろん、スポーツと防災に共通する多くのことについて語り合う。
「サッカーも防災も準備が大切です。試合の日だけ頑張っても勝てませんし、災害も起きてから準備することはできません。毎日の積み重ねが自分や家族を守ることにつながります」。
競技の世界で結果を残してきたアスリートたちの言葉には重みがある。トークに耳を傾けていた参加者のみなさんも、随所に感心した様子で頷いていた。
防災は特別なことではない。日々の積み重ねが未来を守る。その本質はスポーツとよく似ている。
さらに、永島さんは、「友達と声を掛け合うこと、地域の人に挨拶することも防災につながります。困ったときは、周りの人にも相談して命を最優先する判断をして欲しい。」と集まった子供たちに伝えていた。
サッカーも災害も一人では乗り越えらない。困った時に助け合える関係を日頃からつくっておくことが防災に繋がる。準備する力。協力する力。声を掛け合う力。スポーツが育てる力は、そのまま地域防災にもつながっている。

トークショーではアジア大会の話しも-Journal-ONE撮影
防災拠点と地域防災モデル
今回の取り組みについて、Journal-ONEが石垣伸博 静岡県交通基盤部参与に「静岡県として、今回の取組みをどのように評価されていますか。」と尋ねると、石垣参与はこう話した。













