「地域防災は行政だけで完結するものではありません。企業や学校、地域団体、そしてスポーツ団体との連携があってこそ強い地域防災力が生まれます」。
防災は行政任せでは成立しない。地域そのものが力を持つ必要がある。その意味で、スポーツが果たす役割への期待は大きい。
さらに、「今後エコパにはどのような役割を期待していますか。」と聞くと、石垣参与はこう続けた。
「エコパは県内外から多くの人が集まる場所です。平時から人が集まるからこそ、防災拠点としても大きな可能性があります。今回の取組みが地域全体の防災意識向上につながることを期待しています」。
地域の象徴的な場所だからこそ、防災拠点としての価値も高まる。エコパには、その可能性があるのだ。

官民連携での防災対策に笑顔を見せる石塚参与-Journal-ONE撮影
子どもたちの笑顔が未来の防災拠点を育てる
会場ではミニサッカー体験や、ジュビロ磐田のジュニアチアリーダーズJubiesのパフォーマンスで会場は大いに盛り上がった。
一見すると防災とは関係のない光景に見える。しかし、そこにはJFAが長年の被災地支援を通じて見出した答えがある。
災害は人々の暮らしを奪うだけでなく、子どもたちの日常も奪う。
友達と遊ぶ時間。思い切り走る場所。笑顔になれる瞬間。そうした日常を取り戻すこともまた復興の一部なのだ。
子どもたちが安心して遊べる場所を守ること。地域の人々が顔を合わせ、交流できる場をつくること。それこそが、防災拠点が担うもう一つの大切な役割なのである。

防災トレーラーの前でJubiesのパフォーマンス-Journal-ONE撮影
改めて気付いた防災の大切さ
「皆さんの表情を間近に見ながらパフォーマンスができて、本当に楽しかったです。学校では防災訓練をしていますが、こういった防災トレーラーがあることは知りませんでした。」と話したのは、Jubiesの山根美琴さん。
普段は、多くの観客が集まるジュビロ磐田の試合でパフォーマンスを披露するJubies。もちろん、他でも様々なイベントや会場で、観客を笑顔にしている。
メイン講師である八木みなみさんも、「サッカーと防災に関するイベントは初めてです。」と振り返る。それでも、「パフォーマンスをする中で、防災について考える良い機会となりました。」と貴重な経験に笑顔を見せた。
プロサッカー界で活躍したレジェンドたちと、そのプロサッカーを目指す子供たち。さらに、サッカーを応援する子供たち。世界的なスポーツの試合が行われるエコパで、防災の大切さについて改めて考える1日となった。

防災イベントを楽しんだ山根さん(右)と八木講師-Journal-ONE撮影
スポーツ施設が示す日本の未来
スポーツ施設は今、大きな転換期を迎えている。
試合を開催する場所から、地域を支える社会インフラへ。競技を楽しむ場所から、防災や教育、地域交流を支える場所へ。その価値は確実に広がり始めている。
エコパに加わった新たな防災拠点は、その未来を示している。
防災拠点。それは災害が起きた時だけ役立つ施設ではない。平時から学び、交流し、人と人とのつながりを育む場所である。
サッカーが守るのはゴールだけではない。子どもたちの未来であり、地域の安心であり、人々の命そのものだ。異常気象や巨大地震と向き合わなければならない時代だからこそ、この防災拠点から始まる挑戦は大きな意味を持つ。
全国各地で進むJFAの防災・復興支援活動。そのネットワークに加わったエコパから、スポーツが持つ新たな社会的価値が発信されようとしている。

女子サッカーのレジェンドたちもエコパでの試合に期待を寄せる-Journal-ONE撮影
世界の人たちと高めたい防災意識
いよいよ9月19日から始まる、第 20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)。今回、防災トレーラーが設置された目の前に建つエコパスタジアムでは、女子サッカーが行われる。
3連覇を狙うなでしこジャパンはもちろん、アジアの各国から集まるトップアスリートとファンたち。世界中から集まるスポーツの祭典でも、この防災トレーラーが話題のひとつになることは間違いない。













