色とりどりの傘が輝く、アンブレラスカイ 2026。Journal-ONE取材版がお届けする、ムーミンバレー完全攻略レポート【第一弾、第二弾、先行公開中!】

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海遊館のバックヤードで行われるジンベエザメの給餌。飼育員が長い柄杓を使い、海くんまたは遊ちゃんへオキアミを与えようとしている。
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と田井さんが笑いながら言った。まだ、全羽が陸の上でまだ夢の余韻を味わうかのように静かに佇んでいたのである。アクリルの向こうには人工雪が静かに降り積もっている。朝、飼育員はここに入って雪かきをするのだが、それはペンギンの排泄物などを丁寧に取り除くためだという。

「めちゃくちゃ寒いです。防寒着を着て、寒い中で雪かきとかの熱い仕事をするんで、汗だくになってまた体が冷えてくるんですよ。ペンギン担当はなかなか過酷な仕事をしないといけないです」

気温0度の世界で汗をかく。その矛盾したような過酷さの中で、ペンギンたちの「自然な朝」は守られている。

「ところで、オウサマペンギンは8月か9月に産卵の予定でして。秋にはヒナが見られるかもしれません」

田井さんはそう続けながら目を細めた。

ふさふさのヒナとの出会い—「フォークランド諸島(マルビナス)」水槽 

海遊館の「フォークランド諸島(マルビナス)」水槽で子育てに励むミナミイワトビペンギン。岩場に組まれた小さな巣の周りで、まだあどけない綿毛をまとったヒナが、親鳥の足元にぴったりと寄り添う光景

岩場で寄り添い、ヒナの鳴き声に応える親ペンギン。©︎海遊館

そして、もうひとつのペンギン展示水槽である「フォークランド諸島(マルビナス)」では、ミナミイワトビペンギンを展示している。岩場に佇んだり、思い思いにペタペタと歩いたり、毛づくろいをしたりする陸上エリア。のぞくと、グレーのふさふさとした毛に包まれたヒナが数羽、親鳥にぴったりと寄り添っていた。

「ピィー! ピィー!」

甲高い声で鳴いている。すると親鳥が応えるように、

「ゴァー! ゴァー!」

腹の底から響くような声だった。その鳴き交わしが、静かな空間にこだまする。


そのとき一羽が、とてとてとこちらへ近づいてきた。

「来てくれましたね」と私が言うと、田井さんはただにっこりとした。

「かわいいから触りたくなる気持ちはわかるんですけど、それはしてはいけないんですよ」と田井さんが静かに付け加えた。その声には、注意というより、生きものへの慈しみがにじんでいた。

なぜ水族館にアカハナグマが?——「パナマ湾」水槽

少し戻って、中米をテーマにしたエリアへと足を向けた。そこにいたのは、アカハナグマだ。アライグマの仲間で、木登りが得意な彼らは、岩場を木々をすいすいと渡り歩く。

「よく、水族館にクマがいるんですか?って聞かれるんですけど」と田井さんが笑った。海遊館は水族館ではありますけど、陸の部分も水中部分もきっちり作っていますので、陸で暮らす動物もご覧いただけるんです」

水族館に来て、アカハナグマに出会う。それは、森の生きものたちの姿からも、海へとつながる自然の営みが見えてくるということ。その意外さの裏に、海遊館が伝えたいメッセージが静かに込められていた。

海遊館の生態系展示エリアで暮らすアカハナグマ。岩場や倒木が配置された森の環境を再現した空間を歩いている。

しましまの尾でバランスをとり、木登りも得意なアカハナグマ。—Journal-ONE撮影

海月銀河——光の中を漂う

円形の水槽と、無限に広がる鏡の宇宙

螺旋の終わりに近づいたころ、ふいに空間が暗くなった。

「海月銀河」と呼ばれるクラゲのエリアだ。円形の水槽がいくつも並び、壁面の水槽では左右と天井はすべてミラーになっている。鏡が空間を無限に引き伸ばし、クラゲたちはどこまでも続く宇宙の中を漂っているように見える。

「クラゲは自力で泳ぐ力が弱く、漂って生活してますんで、四角い水槽やとクラゲが隅に溜まって傷ついてしまうんです。だから円形の水槽で水流が回るようにしています」

なるほど、あの柔らかな体には、角があってはいけないのだ。

海遊館「海月銀河」の円形水槽を漂うクラゲ。柔らかな体を傷つけないよう配慮された展示空間。

あてもなく漂っているように見えるクラゲたち。

その柔らかな命を守るために、海遊館の水槽には角がつくられていない。—Journal-ONE撮影

クラゲの毒と、寿命のこと

「クラゲって、どれも毒があるんですか?」

思わず聞いてしまった。

「全部ではないんですよ。あちらのアカクラゲは毒が強めなので触ったらあきませんけど、こちらのミズクラゲはほぼ無害です」

言われてみれば、同じクラゲでも、赤い放射状の縞模様を持つアカクラゲと、透明で丸みを帯びたミズクラゲとでは、まとう雰囲気がまるで違う。それぞれが自分のリズムで、ゆっくりと傘を開いたり閉じたりしている。

「やっぱりあんまり長生きする生きものじゃないんで、クラゲって。だいたい1年ぐらいしか生きませんからね」

田井さんがしみじみと言った。寿命は約1年。それでも今この瞬間、彼女たちは完璧に美しかった。

しばらく、言葉を忘れて立っていた。

海遊館の「海月銀河」で展示されるアカクラゲ。赤褐色の傘と長く伸びる触手が円形水槽の中をゆったりと漂っている。

寿命はわずか約1年。それでもアカクラゲは、今この瞬間の美しさだけで十分だと言うように、

水の中を静かに漂っていた。—Journal-ONE撮影

海の妖精・クリオネ——北極圏エリアの小さな驚き

「あちらにも、海の妖精がいますよ」

田井さんに連れられて向かったのは、北極圏のエリアだ。小さな展示スペースに、体長わずか1〜3センチほどの透明な生きものが、羽のような部分をパタパタと動かしながら漂っていた。クリオネ——ハダカカメガイとも呼ばれる、巻貝の仲間だ。見た目はまるでクラゲのようだが、成長とともに貝殻を完全に失い、この姿になったという。

■記者プロフィール
編集部-小谷
ナイトランが好きなインドア派。旅と朝カフェ、鮮魚コーナーを愛するJournal-ONE編集部員。メーカーでのアートディレクター・商品企画を経て、気づけばメディア運用側へ。
取材・文:
編集部- 小谷( 日本 )
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