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26年6月19日 FIBAワールドカップ・アジア地区予選Window3へ向けての合宿 桶谷大HCと会話する比江島慎-永塚和志撮影
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比江島慎の復帰は、日本代表にどこか温度のある空気をもたらした。その存在が持つ重みと物語は、今回の合宿でも静かに、しかし確かに広がっていく。


比江島慎の“ひっそり復帰”がもたらした空気

「ひっそりと復帰したかったんですけど。」

当の本人はそう語ったが、彼が戻ったことでチームにはどこか明るく、和やかな空気が降り注がれる。

FIBAワールドカップ2027・アジア地区予選 Window3」が迫る中で強化を進めてきた男子日本代表。6月18日より東京のナショナルトレーニングセンターで第2次の合宿に入った。

同合宿の開始に合わせて日本協会は7名の追加招集選手を発表した。その中には比江島慎(宇都宮ブレックス)の名前があった。

ワールドカップとオリンピックをそれぞれ2度ずつ経験している35歳の比江島。2024年11月に行われたFIBAアジアカップ予選をもって日本代表から身を引くことを示唆する発言をしていた。しかしその後、復帰の意思を示唆していたという。

6月から9月にかけて行われるワールドカップ予選と名古屋でのアジア競技大会を見据え、日本バスケットボール協会は5月初頭に53名の代表候補リストを公表していたが、比江島もそこに名を連ねていた。

そして今回、比江島は同代表の練習拠点である東京・ナショナルトレーニングセンターのコートに再び足を踏み入れることとなった。「ひっそりと」というのは、一度は代表引退をほのめかしていたことに対しての気恥ずかしさがあったからだろう。

24年パリ五輪出場メンバーによる会見での比江島慎-永塚和志撮影

24年パリ五輪出場メンバーによる会見での比江島慎-永塚和志撮影

若手が語る比江島慎の特別さと存在感

比江島慎の“いじられ力”と距離感

「ファンの皆さんからすればうれしいかもしれないですけど、僕ら下の(年齢の者)からすれば(最終ロスターに)選ばれる人数(枠)が1つ減ってしまうので、ちょっと邪魔だなと思いますけど」。

やはり追加招集で合宿参加となった高島紳司は、宇都宮ブレックスでのチームメートの日本代表活動復帰についてこのように話した。来シーズンより長崎ヴェルカから琉球ゴールデンキングスへ移籍する川真田紘也も、比江島を「顔に年齢を感じた」と感想を述べた。高島の言葉も川真田のそれも、もちろん冗談だった。

高島は25歳で川真田は28歳、と比江島とは明らかな年齢差がある。少なくともプロスポーツにおいてこの差は大きい。ずっと年下の者からこうした軽口が向けられても許されるのは、比江島くらいしかいない。NBAに挑戦中でやはり比江島とともにワールドカップやオリンピックを戦った25歳の河村勇輝も、自身が代表でもっとも年下の部類で「いじられる存在」かを問われると、比江島がすでに一番年上の域にありながら他の選手たちからそういう扱いを受けていたと笑っていた。

“放っておけない”理由と人気の源泉

そうしたところも、比江島を他の選手と一線を画した独特な存在にしてきたと言える。もじもじとした話しぶりは、一言で言えば「放っておけない」。

だがしかし、比江島が比江島であるのは当然、それだけが理由ではない。より正確には、バスケットボールコート上で見せる天才的なプレーぶりと、コートを離れた時のアンニュイさの対比が彼に絶大な人気をもたらしてきた。

アジア地区予選Window3へ向けての合宿での比江島と川真田-永塚和志撮影

アジア地区予選Window3へ向けての合宿での比江島と川真田-永塚和志撮影

日本代表が求めた比江島慎──桶谷HCの評価

SGで“1番・2番を争う”理由

そして今回、2月に日本代表のHCに就任した桶谷大氏が比江島の招集に踏み切ったのは、シューティングガードの彼が今でも「あのポジションでは1番、2番を争」う選手だからだ。そんな選手を「放っておけなかった」ということだ。

「日本で一番良い素材を合宿に連れてくるっていうのが重要だった。そういった意味で誰がどう見ても比江島はあのポジションでは1番、2番を争います。年だからとかいろいろあるとは思います。一方で、若手が育ってきているというのはあるんですけど。それでもやっぱり、このWindow3には欠かせない選手だと思っているので。それで招集をさせてもらいました」。

合宿開始直後のメディアへの公開練習時、桶谷HCは比江島の追加についてこのように話した。

2年前に比江島が代表から退く意向を示した理由の一つは、若手への機会を増やしてあげたいといった気持ちがあったからだ。ただ彼は、その時点でこうも話していた。「今はさらさら負けるつもりはない」と。

桶谷大HCと会話する比江島慎-永塚和志撮影

桶谷大HCと会話する比江島慎-永塚和志撮影

■記者プロフィール
永塚 和志
フリーランススポーツライター。Bリーグ、男女日本代表を主にカバーし、FIBA W杯や米NCAAトーナメントを取材。他競技ではWBCやNFLスーパーボウル等の国際大会の取材経験もある。著書に「''近代フットボールの父'' チャック・ミルズが紡いだ糸」(ベースボール・マガジン社)があり、東京五輪で日本女子バスケ代表を銀メダルに導いたトム・ホーバスHC著「ウイニングメンタリティー コーチングとは信じること」、川崎ブレイブサンダース・篠山竜青選手 著「日々、努力。」(ともにベースボール・マガジン社)等の取材構成にも関わっている。

「X」アカウント https://x.com/kaznagatsuka
アクセス
味の素ナショナルトレーニングセンター
  • 東海道新幹線 東京駅 - 上野東京ライン(17分)- 赤羽駅 - 国際興業バス(7分)- HPSC陸上門バス停留所 - 徒歩3分
Journal-ONE記者の永塚和志氏
取材・文:
永塚 和志( 日本 )
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