木谷謙吾コーチはプレーオフ敗戦の悔しさを胸に刻みながらも、「プレーオフでも戦えるチームになった」と伊予銀行ヴェールズの成長を語った。
劇的な展開での幕切れ
JDリーグプレーオフ1stラウンド。サヨナラ本塁打によって夢舞台を去ることになった伊予銀行ヴェールズ。しかし試合後、選手たちを見送った木谷謙吾コーチの表情には悔しさだけでなく、確かな手応えも浮かんでいた。
伊予銀行は2回、本間紀帆のソロ本塁打で先制。対する豊田自動織機シャイニングベガも一発で追いつく。その後、試合は1-1のまま終盤へ進んだ。
そして迎えた7回裏。
1死一、二塁から豊田自動織機の主将・沢柚希がサヨナラ本塁打。伊予銀行の2026シーズンは、この一振りによって幕を閉じた。
試合後、木谷コーチは率直に振り返った。
「勝負は一瞬、一球で仕留めなければ勝てないことを嫌というほど思い知らされた。」
あと一歩届かなかった現実。その言葉にはプレーオフの厳しさが凝縮されていた。

低めを掬い本塁打を放った本間-Journal-ONE撮影
奇跡の3連勝からつかんだプレーオフ切符
今季の伊予銀行は最後までプレーオフ争いの渦中にいた。
全国各地で雨天順延が続いた2026シーズン。順位争いは最終節まで混沌とした状況が続いた。
そんな中で迎えたプレーオフ前週。伊予銀行は3試合すべてに勝利し、劇的な逆転で最後の切符をつかみ取った。
まさに奇跡の3連勝だった。
しかし、その代償として準備期間は極めて短かった。
選手たちは静岡県伊豆市でのリーグ最終戦を終えて松山に戻り、その数日後には群馬県太田市へ移動する強行日程となった。
石村寛監督は疲労回復を優先し、火曜日をオフにする決断を下した。

2度目のプレーオフに臨んだ伊予銀行の選手たち‐Journal-ONE撮影
木谷謙吾コーチが練ったキルフォイル攻略
限られた準備期間の中で、木谷謙吾コーチが最も力を注いだのが豊田自動織機先発のキルフォイル対策だった。
「過去対戦した3回ともに登板していない。ですから、キルフォイル投手が先発に来ると確信して準備をしてきました。」
集められる映像やデータを徹底的に分析。185センチの長身から向かってくる速球と、低めに鋭く落ちる変化球。特に、この変化球への対応策を急ピッチで構築した。
「低めに落ちるボールをいかに見極め、打てるかが勝敗のカギだった。」
そこで、木谷コーチ自身も”仮想キルフォイル”となり、打撃投手も務めながら選手たちと準備を進めたという。

試合前にメモを見ながらミーティングに臨む木谷コーチ‐Journal-ONE撮影
攻略は成功した、だからこそ悔しかった
その成果はすぐに表れた。
2回表、本間紀帆が低めの変化球を捉え、先制ソロ本塁打を放った。
まさに狙い通りだった。
しかし、その後は豊田自動織機バッテリーの前に追加点を奪えない。特に7回表の得点機は勝負の分岐点となった。
この場面を振り返ると、木谷コーチは繰り返しこう語った。
「一本、いや一球を確実に仕留められなければ、大舞台での勝負には勝てないですね。」
攻略は間違っていなかった。だからこそ、その一球をものにできなかった悔しさが大きかった。

石村監督(左)との二人三脚でチームは力を付けた‐ジャーナルワン撮影
「プレーオフでも戦えるチームになった」
それでも、木谷コーチは選手たちの成長に確かな自信を持っている。
「何とか後半戦で選手たちが持ち直してくれて、最終節では皆が結果を出してくれました。」
石村監督と木谷コーチが築いてきた伊予銀行ヴェールズは、年々攻撃力を高めてきた。
そして2026シーズン、チームはついにプレーオフの舞台でも互角に戦える力を示した。
「今年は、プレーオフでも戦えるチームになった。来シーズンは、さらに勝負強さを鍛えて出直します。」
サヨナラ負けという結末は変わらない。しかし、木谷謙吾コーチの目はすでに2027シーズンを見据えていた。
悲願のプレーオフ初勝利へ。その挑戦は、この敗戦の瞬間から再び始まっている。
















