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京都駅前広場から望む京都タワーとチームラボ京都の告知看板。取材を終えて東京へ向かう前の京都の風景
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京駿河屋の水羊羹。なめらかな口当たりと上品な甘さが特徴の京都の老舗和菓子

二駅先に、朱色の異界がある

伏見稲荷大社


京駿河屋の水羊羹。なめらかな口当たりと上品な甘さが特徴の京都の老舗和菓子


もし伏見稲荷大社を訪れたことがないのなら、この機会にひと足延ばしてほしい。京都駅からJR奈良線でわずか二駅、稲荷駅を降りればもう目の前だ。

 

マナーに救われた参道で

日が傾き始めるころ、千本鳥居は朱色に金色を帯びて輝きを増していく。参道を行き交う人の数は、決して少なくない。その中には海外からの観光客の姿も多く見られた。写真を撮る合間には道を譲り合い、鳥居に手をかけることもなく、静かに歩を進めていく。その様子に、こちらのほうが背筋を正される思いだった。


伏見稲荷大社の千本鳥居。朱色の鳥居が連なる参道を参拝者が譲り合いながら歩く


 

灯が入る頃

日没を過ぎれば、灯籠に火が入り、参道は昼間とはまったく異なる表情を見せ始める。国籍を問わず多くの人がこの場所に惹きつけられる理由が、その瞬間、体感として腑に落ちた。帰りは、灯籠の明かりに導かれるまま、稲荷駅からJR奈良線でひと息に京都駅へと戻った。

京都駅からわずか二駅。日本に暮らしているなら、一度はこの朱色の異界をくぐってみたいと思わせる場所だった。


伏見稲荷大社の大鳥居。朱色の鳥居と参道が夕暮れの光に包まれる京都らしい風景


 

新幹線ホームへの入口で、旅の最後の一口

下鴨 宝泉


京都駅新幹線乗り場近くにある下鴨宝泉 ASTY京都店の店舗外観

エスカレーターの脇に息づく静けさ

新幹線ホームへ上がるエスカレーターのすぐ脇に、「下鴨 宝泉」はそっと店を構えている。下鴨に本店を構える和菓子屋で、向かって右手には土産用の物販、左手には喫茶スペースが広がる。


下鴨宝泉 ASTY京都店の喫茶スペース。床の間と生け花が配された落ち着いた和の空間


案内された席の脇には一輪の生け花が静かに飾られ、床の間を思わせるしつらえがあった。新幹線改札のすぐそばという慌ただしい場所に、こんな安らぎが息づいているとは思わなかった。腰を下ろすとほどなく店員がやってきて、メニューの中には提供に時間のかかるものもあるがよいかと確認された。こちらの新幹線の発車時刻を見越したうえでの、さりげない気遣いだった。


下鴨宝泉 ASTY京都店の喫茶スペース。落ち着いた照明と和のしつらえが広がる店内

冷たさの奥に潜む、小豆の存在感

歩き通しで火照った体のまま席につくと、まず運ばれてきたのは、よく冷えた香ばしいお茶。喉を鳴らして飲み干したい衝動をどうにか堪え、注文した「京しぐれ」の到着を待つ。


下鴨宝泉の「京くれ」。透き通る寒天と丹波大納言小豆が美しい涼菓


一口含むと、透き通った寒天の塊はあっけないほど呆気なく、ホロリと舌の上でほどけていく。歯茎の奥にまで、寒天特有のひんやりとした感触が沁みわたるほどの冷たさだった。味わい自体は実にあっさりとしたもので、主張らしい主張はない。けれど、その中に散らされた丹波大納言小豆の一粒一粒が、確かな甘みを蓄えている。つるりとした寒天の食感の合間に、時折その粒を噛み潰す瞬間があり、そこでふわりと甘みが滲み出す。脇役として添えられているだけの小豆が、実のところこの一皿の要になっているのだ。

冷えたお茶との相性も申し分ない。さっぱりとした後味は、出張の疲れを労うにはこの上ない一皿だった。

 

コラム:合わせて行きたい

東寺餅

今回は時間の都合で立ち寄れなかったが、チームラボ京都から徒歩15分ほど、世界遺産・東寺の東門前には大正元年創業の老舗「東寺餅」がある。

看板商品の東寺餅は、メレンゲを加えた求肥のふんわりと軽い口当たりが持ち味。よもぎ大福は滋賀県産の羽二重餅米と北海道産の小豆を使い、あぶると香ばしさが増すという。東寺参拝とあわせて、次回の楽しみにとっておきたい。

スケッチファクトリーのグッズも、駿河屋の一切れも、伏見稲荷の朱色の鳥居も、宝泉の一皿も——形も温度もまるで違うけれど、どれもが旅の記憶を日常へ持ち帰るための、小さな儀式だったのかもしれない。次に京都を訪れる際には、まず東寺餅を買いに東寺の門前へ向かってみたい。

■記者プロフィール
編集部-小谷
ナイトランが好きなインドア派。旅と朝カフェ、鮮魚コーナーを愛するJournal-ONE編集部員。メーカーでのアートディレクター・商品企画を経て、気づけばメディア運用側へ。
取材・文:
編集部- 小谷( 日本 )
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