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チームラボ バイオヴォルテックス 京都《Infinite Crystal World》 無限に広がる光の粒子と鏡面空間が織りなす没入型アート作品
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光の詩、曲がりくねる路地

光の回廊

奥にある未知の体験へ向かって、光の回廊を歩いていく。

見上げれば、気が遠くなるほど無数の筒が天井から吊り下げられている。ぶつからないように、自然とゆっくりとした歩調になり、路地の向こう側へそっと進んでいくことになる。この少し慎重になる歩行のテンポが、日常の忙しない頭を静めるのにちょうどいい。


teamLab Biovortex KYOTO(チームラボバイオヴォルテクス京都)」内で展示されているチームラボのアート作品《Infinite Crystal World》。無数光が空間全体に幾重にも吊り下げられ、ピンクや緑など色彩が刻々と変化しながら四方へと流れるように瞬くなか、光で彩られた路地のような通路を鑑賞者がゆっくりと進む圧倒的な没入感と無限の奥行きを持つ作品空間


 あちこちで瞬くピンクや緑の光は、時に激しい雨のように、時にそよ風のように線を伝って流れ落ちる。光の動きを追いかけながら通路の奥へ奥へと進むうち、自分が光を観ているのか、それとも光の側が自分を迎え入れているのか分からなくなってくる。

気がつけば、この圧倒的な小宇宙の一部として、自分自身が完全に溶け込んでしまっている。その一体感がたまらなく心地よく、私たちはただただ、この光の路地を歩き続けてしまうのだ。


チームラボバイオヴォルテクス京都で展示されているチームラボのアート作品《Infinite Crystal World》。無数の光のが立体的に配置された空間の中央を鑑賞者が歩み進み、無数の光の点が連続して光の彫刻を創り出す幻想的な作品空間

 

幾何学的な光の渦


チームラボバイオヴォルテクス京都で展示されている作品《Infinite Crystal World》。床面と壁面の鏡に無数の光の点が反射して広がり、光の彫刻が奥行きをもって立体的に無限へ続くインタラクティブな作品空間


路地を抜けた先で私たちを待っていたのは、四方を光に囲まれた、大きな立方体の吹き溜まりだった。

 一歩足を踏み入れた瞬間、あまりの光景に足が止まる。それは、刻々と姿を変える光の渦に、自ら進んで巻き込まれに行くような体験だ。赤から青へ、鮮やかな七色から透き通るような透明へ。速度とリズムを不規則に変えながらキラキラとまたたく光の粒子は、片時も同じ姿を留めてはくれない。そこは万華鏡的な光の渦だった。

これほど激しい変化のなかに置かれると、不思議と考えることをやめてしまう。日常生活で動かし続けていた論理のスイッチを、強制的にオフにされる快感。

なるほど、二人がここ《Infinite Crystal World》を「現実離れした美しさ」と語ったわけだ。その評価の真意が、押し寄せる光のきらめきによって、私たちの『身体』へとしなやかに染み込んでいく。

 

光の余韻をまとい、さらに奥へ

チームラボによるデジタルアート作品《花と人、コントロールできないけれども共に生きる》。天井、床、壁の全方位に鏡面が配された空間で、赤を基調とした無数の花々が誕生と死滅を繰り返しながら連続的に映し出される


すぐ近くの部屋では、鮮やかな色の花々が咲き乱れる《花と人、コントロールできないけれども共に生きる》や、足元から光が流れていく作品《流れははるか遠くに》に迎えられる。


チームラボバイオヴォルテクス京都で展示されているチームラボのアート作品《流れははるか遠くに》。天井から床面まで鏡面で構成された空間に、光が連続して流れ、川のような風景の中を、鑑賞者らが奥へと進む幻想的な作品空間


そしてその先では、空・土・海・木・水などを筆で書いたような文字が、水墨画調の景色の中を下から降りてくる《世界はこんなにもやさしくうつくしい》——モノトーンの世界が、いつしか水墨画の世界へと染まっていく。


チームラボバイオヴォルテクス京都内で展示されている、書家・紫舟氏との共作によるチームラボのアート作品《世界はこんなにもやさしく、うつくしい》。壁面や床面に書が降り注ぎ、鑑賞者が文字に触れることでその文字が持つ世界(金の粒子や風の流れなど)が空間全体へと広がっていくインタラクティブな作品空間。

酔うような没入

花びらの奔流


チームラボバイオヴォルテクス京都内で展示されているチームラボのアート作品《痕跡》。暗闇の中に格子状の光の空間が広がり、高密度に立ち現れる花々や蔓の線画が空間内で目まぐるしく回転・交錯する中で、中心に立つ鑑賞者が渦巻く光の残像と一体化していく。


《痕跡》という一室では、入り口で「酔いやすい方もいる」と注意を受けた。少し大げさな、と思いながら足を踏み入れた途端、その理由を文字通り『身体』で理解することになる。

長い枝に追従するかのような花と、散り広がる花びらが、すさまじい速さで周囲を回転していく。平衡感覚が揺さぶられる様な感覚に、数分とその場に留まっていられない程だった。目の前に広がるのは、うねるように伸びる長い枝と、すさまじい速さで回転していく花びらの奔流だ。まるで、万華鏡の内側に放り込まれて、誰かに力いっぱい回されているかのような錯覚に陥る。 ただ静かに立っているだけなのに、自分の足元がどちらを向いているのか分からなくなる不思議な浮遊感。

あまりの没入感に、数分と留まっていられないほど五感が揺さぶられるのだが、その眩暈すらどこか愛おしく感じてしまうから不思議な体験だ。


teamLab Biovortex KYOTO(チームラボバイオヴォルテクス京都)」内で展示されているチームラボのアート作品《痕跡》。暗闇の空間全体に太くうねる木の枝と紫やピンクの鮮やかな花々が幾重にも交錯し、高速で回転・散開する花びらの奔流が視界を覆い尽くすなか、佇む鑑賞者の視覚と平衡感覚を揺さぶるダイナミックで圧倒的な没入型の作品空間。

 

液体の中を歩く


teamLab Biovortex KYOTO(チームラボバイオヴォルテクス京都)」内で展示されているチームラボのアート作品《生と回帰の無常の抽象 - 痕跡》。オレンジ色から金色に揺らめく絵の具のような密度の高い液体が足元一面に満たされ、長靴を履いた鑑賞者がその中を踏みしめて渡ることで渦や波紋状の光と物質の流動が連動して広がる、身体的感覚を揺さぶる没入型のアート空間。


続く《生と回帰の無常の抽象 – 痕跡》では、透明な壁で区切られた空間の下で、絵の具に混ぜるメディウムを思わせる、とろりとした液体が渦を巻いていた。ここでは長靴に履き替え、渦巻く液体の中を実際に歩いて渡る。一歩ごとに足元が沈み込むような感触があり、絵の具の中を歩いているのか、それとも生命の始原そのものを踏みしめているのか、不思議な混乱を覚えた。


チームラボバイオヴォルテクス京都内で展示されているチームラボのアート作品《生と回帰の無常の抽象 - 痕跡》。長靴を履いた鑑賞者が液体の中をゆっくりと歩み、その液体の表情の変化に没入するような幻想的な作品空間

一筆書きの光

色を変える光


eamLab Biovortex KYOTO(チームラボバイオヴォルテクス京都)」内で展示されているチームラボのアート作品《呼応するランプの森:One Stroke – a Year in the Mountains》。床や壁面が鏡面加工された空間内に、黒いソケットとスモーク加工された透明ガラスで構成された無数のランプが天井から不規則に吊り下げられ、鑑賞者の存在に呼応してブルーやパープル、グリーンへと色彩を変えながら重層的に光が無限反射する幻想的な作品空間。


ランプがいくつも吊り下げられた部屋に入る。床も壁も鏡面に覆われ、無数の光が四方八方に反射する。ランプは黒いソケットに透明なガラス、下方だけにうっすらとスモークがかかっている。人が近づくと点灯し、人が増えるとブルーからピンクへと色を変えていく。

《呼応するランプの森:One Stroke – a Year in the Mountains》——見つめているうちに、光の色は青からだんだん赤へと移ろう。そうしているうちに、ランプはもうランプではなく、宙に浮かぶ無数のメタリックな玉になっていくように感じられた。


チームラボバイオヴォルテクス京都で展示されているチームラボのアート作品《呼応するランプの森:One Stroke - a Year in the Mountains》。幾何学的に無数に吊るされたガラスのランプシェードが鏡面の床や壁面に映り込み、鑑賞者が近づくことでランプの光が連続して隣へと連鎖・変色していく幻想的な空間

 

もうひとつの宇宙、もうひとつの太陽

雨が降る小宇宙


チームラボバイオヴォルテクス京都3階の展示空間。暗闇の中に苔のなだらかな丘陵が広がり、そこから力強く突き出る巨大な角柱(メガリス)群に赤い花々が描かれ、上空から降り注ぐ七色の光の雨が水面に波紋を描き出している。


暗闇の3階へ上がると、足元には生き生きとした苔のなだらかな丘陵が広がっている。まるで、知る人ぞ知る美しい日本庭園を、夜にひとり占めしているかのような静けさだ。その波打つ緑のただなかに、まがりくねった小道がのびている。 一歩進むごとに、苔の丘から力強く突き出る角柱が、描かれる赤い花々をまとって姿を現す。


チームラボ京都に広がる苔の丘。赤い光が苔の繊細な質感を浮かび上がらせる幻想的な景観。


ただ歩いているだけなのに、まるで自分がこの不思議な世界のバランスを少しずつ紐解いていくような、心地よい冒険心が湧いてくるのだ。

■記者プロフィール
編集部-小谷
ナイトランが好きなインドア派。旅と朝カフェ、鮮魚コーナーを愛するJournal-ONE編集部員。メーカーでのアートディレクター・商品企画を経て、気づけばメディア運用側へ。
取材・文:
編集部- 小谷( 日本 )
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