田中こころがFIBA女子ワールドカップでどこまで輝きを放つのか。日本女子バスケットボール界の未来を占う大きな注目ポイントとなる。
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田中こころが見せた韓国戦の劇的逆転シュート
日本女子バスケットボールの新星、田中こころ(ENEOSサンフラワーズ)はそのように語った。
8月中旬。日本女子代表チームは女子韓国代表と翌月に迫るFIBA女子ワールドカップへ向けての強化試合を行った。その中で田中は言葉通りのプレーを見せ、その特別な才能を改めて誇示してみせた。
日本と韓国の試合は2試合にわたって開催された。その中で、田中が会場の有明アリーナを耳をつんざくような歓声を響かせるパフォーマンスを演じたのは2試合目の最終盤だった。

25年6月の台湾との強化試合 3Pシュートを打つ田中こころ‐永塚和志撮影
残り0.2秒で決めた勝利への一投
試合時間は残り10秒。日本が1点を追う場面で、韓国は2本のフリースローを得る。フリースローラインに立ったホン・ユスンは1本目のシュートを決めるも、2本目を失敗。リバウンドを取った馬瓜ステファニー(スペインリーグ・Meins Avenida)からボールを受け取った田中は、コートの左端をドリブルで上がっていく。残り時間が徐々になくなっていく中、彼女が他の者に打たせよう考えるそぶりはなかった。
半円の3Pラインの頂点付近で相手選手と1対1の状態になると、田中は右手にあったボールを自身の背中を通して左手に持ち替えた。それに相手が反応したのを見て取ると今度はクロスオーバーで再度、右手に持ち替えた。そこからさらに右へステップすることで相手との間を作ると、またたく間にシュートを放った。
ボールはリングの中心を見事にまで射抜いた。残り時間は0.2秒だった。日本は技術の詰まった田中による劇的な逆転シュートで78-77の勝利を飾った。

25年6月の台湾との強化試合 ドリブルをする田中こころ‐永塚和志撮影
田中こころに託されたラストショット
決めるべき者が決めたシュートだった、と言っていい。このプレーの直前、日本のコーリー・ゲインズヘッドコーチは田中にこう指示を送っていた。
「最後はパスをするな。君の調子は良いのだから最後のシュートは君が打つんだ。他の選手にボールを渡す必要はない。最後は君が試合を決めるんだ」。
田中は端からまず自らの得点を考える選手ではある。しかし、指揮官からそう伝えられたことで一切の雑念を振り払うことができたのではないか。そして、最後のプレーにつなげることができたのではないか。

日本代表合宿での田中こころ‐永塚和志撮影
田中こころが背負う司令塔としての責任
この試合の途中、負傷によりコートに立てない時間帯があった。もちろんケガは不可抗力ではあったが、それでも田中は「試合の勝ち負けはガードの責任だと思っているので」と使命感の強さを示した。
まだ20歳である。天性の勝ち気と、中心選手として責任を背負う気概を持つ末恐ろしい司令塔が、9月4日からドイツ・ベルリンで開幕するFIBA女子ワールドカップでシニアレベルの世界大会デビューを果たす。
ゲインズHCは今回のワールドカップでの目標をベスト8進出と定めている。チームで2番目に若い田中ではあるものの、彼女の出来が日本代表の成否の鍵を握るとしていい。
その実力は、すでに海外からも注目を集めている。4月末には世界最高峰WNBAのドラフトでゴールデンステート・ヴァルキリーズより3巡目指名を受けた。今年はワールドカップがあるために日本にとどまったが、来季以降、海を渡る可能性は高そうだ。

所属のENEOSでビッグプレーを決め喜ぶ田中こころ‐永塚和志撮影
WNBAドラフト指名で高まる世界の評価
鼻っ柱の強さは競技者としての頼もしさを感じさせる。大舞台でも緊張をしないことが売りで、先述の韓国戦でも接戦の中で時に笑顔を見せていた。
「相手とバチバチやり合えている時間がすごく楽しい。それが自然と顔に出て、笑顔になったと思います」。

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- 取材・文:
- 永塚 和志( 日本 )

田中こころ
2006年生まれ、大阪府出身。ENEOSサンフラワーズ所属のポイントガード。鋭い得点力と勝負強さを武器に、女子日本代表の中心選手として期待される。U18女子アジアカップや女子アジアカップで大会ベスト5に選出され、2025年にはWNBAドラフトでゴールデンステート・ヴァルキリーズから3巡目指名を受けた。クラッチシュートを決め切る精神力と攻撃力を兼ね備え、日本女子バスケットボール界の次代を担うホープとして注目を集めている。












