ワールドカップは「世界を相手に自分がどれだけできるのか、チャレンジする大会」だと、大阪府出身の田中は言う。その表情や口調には、大会が「楽しみだ」という高揚が感じられた。日本には今夏、WNBAラスベガス・エイシーズに加わったガードの山本麻衣もいる。田中と山本という得点力の高いガード2人がいかに融合するか。その点においても大会での日本の出来を左右しそうなだけに、興味深い。

日本代表合宿でシュートを打つ田中こころ‐永塚和志撮影
田中こころと日本代表のワールドカップへの挑戦
2021年の東京オリンピックで銀メダルと獲得した日本。しかし、ワールドカップでは好成績を挙げることができていない。前2大会ではいずれも9位に終わっている。日本代表の「スタンダード」を高めることの肝要さを説いてきたゲインズHC。そのチームがまずここでベスト8を目指すとしたのは至極、道理にかなった目標だと言える。
今大会は前回から参加国が4つ増え、計16チームによって行われる。
世界ランク10位の日本は予選フェーズ(A組)の初戦でマリ(同18位、9月4日の日本時間午後6時半開始)と対戦する。その後は、ドイツ(同11位、同6日午前1時)とスペイン(同6位、同8日午前0時50分)と戦う。
予選ラウンドで16チームは4チームずつの4組に分かれる。ここでトップ通過のチームは決勝フェーズの準々決勝へ進出。一方で、2位、3位のチームは準々決勝進出決定ラウンドへ駒を進める。

25年6月の台湾との強化試合 パスをする田中こころ‐永塚和志撮影
ベスト8進出へ待ち受ける強豪との戦い
ベスト8への到達を目指す日本。組を1位で抜けた時点でそれを達成できるわけだが、実現は容易ではない。
A組で最も高い壁は組織力と選手の個の高さを兼備するスペインだ。今回のチームには今年のWNBAドラフトでシアトル・ストームから指名を受けた20歳のアワ・ファームも加わる。スペインは前回大会への出場を逃しているが、2010年から3大会連続で表彰台に上っている。
主催国・ドイツとの試合も険しいものとなりそうだ。ドイツはパリオリンピックでの日本戦で33得点したサトゥ・サバリー(WNBAダラス・ウイングス)と妹のニャラ・サバリー(WNBAニューヨーク・リバティ)が脅威となる。
初戦のマリにもWNBAの選手がいてフィジカルさで押してくるだろう。日本としてはここで良い勝ち方をしたい。そして、ドイツ、スペインとの試合へ向けて勢いに乗っていきたいところだ。

25年6月の台湾との強化試合でベンチに下がる田中こころ‐永塚和志撮影
世界が注目する田中こころの可能性
田中は2024年の女子U18女子アジアカップで、大会のベスト5に選出。加えて、昨年の女子アジアカップでもベスト5に選出された。こうして、国際的に脚光を集めてきたが、WNBAドラフトでの指名によってその光はさらに強くなった。その結果として、今回のワールドカップでも相手から研究され、対策される可能性が強くなることを意味する。
それでも、田中はあくまで自然体の様子だ。シニアレベルでの初の世界大会の臨むにあたっても彼女は「緊張はしないのかな」と頼もしい。
「WNBAのドラフトで指名をしていただいて、気持ち的に自信がつきました。その分、注目をされているなというところはあります。それでも、変に不安になったりとかはありません。ワールドカップでは『あの子がWNBAから指名されたんだな。』とわかるくらい。しっかりとプレーで見せられるように頑張りたいと思っています」。
日本女子バスケットボール界のホープ。田中こころの肝っ玉の強さがドイツの地でどこまで発揮されるか。それは見る者の関心事だが、田中自身の心も踊っているはずだ。














