アジア競技大会で初めて正式競技として採用された「パデル」。大会3日目となる9月30日、コート上の戦いは一段と熱を帯びる。男女ダブルスは2回戦が行われ、勝ち上がればいよいよベスト8。1回戦を勝ち抜いたペアと、シード権を持つ実力者たちがぶつかり、会場となった名古屋市東スポーツセンターでは準々決勝進出をかけた熱戦が繰り広げられた。
そんな中、日本勢はここまで力強い戦いを見せている。前日の29日には、男子の富田 一輝選手・畠山 成冴選手ペア、女子の佐藤 千文選手・小澤 琴巳選手ペアがそろって勝利し、ひと足早くベスト8入り。そして30日は、その流れをつなぐように男子の安藤 輝明選手・中村 進之介選手ペアと、女子の徳本 佳恵選手・塚本 早紀選手ペアが2回戦に挑んだ。
初戦でフルセットの激闘を制した安藤・中村ペア、そして大会3日目に初戦を迎えた徳本・塚本ペアは、ともにストレートで勝利。前日に準々決勝進出を決めた2ペアと合わせ、日本代表は出場した全4ペアがベスト8に名を連ねた。アジア大会初代メダリストの座をかけた戦いが、いよいよ佳境へ。日本勢が躍動した大会3日目の熱戦を振り返る。
場外からのスーパーショットも炸裂! “てるしん”ペアが準々決勝進出

大会3日目、センターコート第4試合に登場したのは、初戦で2時間を超える激闘を制した“てるしん”こと安藤 輝明選手・中村 慎之助選手ペア。対するは、インドネシアのバレンティヌス・ングラ選手・アルマンド・ソエマルノ選手ペアだ。
試合を前に、会場となる東スポーツセンターには多くの観客が詰めかけた。大会3日目を迎え、アジア大会で初めて正式競技として実施されるパデルへの注目が、日に日に高まっていることがうかがえる。
第1セット、幸先よく先手を取ったのは“てるしん”ペア。立ち上がりから強烈なスマッシュを決めるなど、2人の持ち味を生かした攻撃的なプレーでポイントを重ね、序盤から4-1と大きく抜け出した。そのまま5-2とするも、インドネシアペアも粘りを見せて5-3。最後のゲームもデュースにもつれたが、ここでも落ち着きを崩さず6-3。観客から大きな声援が送られる中、29分で第1セットを先取した。
続く第2セットでは、中村選手が会場を沸かせる。第2ゲーム、相手のショットを追ってコートの外へ飛び出すと、場外から強烈な一打を相手コートへ叩き込むスーパープレー。さらにロングラリーも制し、1-1と追いついた。
そこからは互いに譲らない攻防が続く。それでも、“てるしん”ペアは慌てない。3-2と抜け出すと、そのまま4-2へ。終盤にはインドネシアペアの粘りに5-4まで迫られたものの、最後はデュースの接戦をものにして6-4。ストレート勝ちで準々決勝への切符をつかんだ。
これで日本男子は、富田 一輝選手・畠山 成冴選手ペアとともに、出場した2ペアがそろってベスト8進出。メダルを懸けた戦いは、いよいよ準々決勝へと続く。
激闘を越えて得た確かな手応え、勝利をパデルの広がりにつなげたい

試合後、まず2人が口にしたのは、初戦の激闘を経験したからこそ生まれた落ち着きだった。中村選手は「初戦を戦って2戦目ということもあり、落ち着いてスタートできた」と振り返る。特にこの日は、自分たちのサービスゲームでしっかりと攻撃のギアを上げ、相手に流れを渡さなかったことが大きかったという。「サービスゲームでしっかり出力を上げて、簡単に取ることで余裕を持たせられた。自分たちのやりたいことはできた」と、初戦の反省を生かした試合運びに手応えをにじませた。
そして、この日の2人を後押ししたのが、センターコートを囲んだ観客からの大きな声援だ。安藤選手は「一昨日よりも僕らに注目してもらう機会があってうれしかった」と話し、「日本人が多いホームだからこそ、観客を味方につけて、いい流れを作ってもらいながらプレーできた」と笑顔を見せた。
ポイントを奪うたびに声を上げ、観客を沸かせた中村選手も、「声を出して盛り上げるのは僕の持ち味」と話す。せっかくの日本開催だからこそ、観客にも一緒になって戦ってもらい、ホームの力を生かしたいという。準々決勝でも、会場を巻き込みながら戦うつもりだ。
さらに中村選手は、アジア大会という大舞台でパデルが行われること自体にも大きな意味を感じている。「こうやって大きな大会でパデルが開催されるのは、日本国内のパデルにとって大きなチャンス」と話し、自分たちが勝ち進むことで競技を知り、「やってみたい」と思う人が増えることにも期待を寄せた。目の前の勝敗やメダルだけでなく、今後の日本でのパデル普及につながる大会にしたいという思いも、2人の戦いを後押ししている。
次はいよいよ準々決勝。安藤選手は、対戦する可能性のある相手とは過去にも対戦経験があり、その強さも理解しているという。「自分たちのパフォーマンスを上げていくことと、作戦を前もって決めることがすごく大事」と、相手を見据えた戦術を練って次戦に備える。
待望の初戦で見せた貫禄、塚本・徳本ペアが堂々の勝利














