慶應義塾大学が5年ぶり決勝へ
慶應義塾大学(東京六大学野球連盟)が、第75回全日本大学野球選手権決勝に進出した。
準決勝第1試合に登場した慶應義塾大学の相手は、東北福祉大学(仙台六大学野球連盟)。昨年王者との対戦は、大会屈指の好カードとして注目が集まっていた。加えて、両校とも強力な投手陣を擁する。そのため、試合前から“投げ合いの接戦”という見方が広がっていた。
そして実際に試合が始まると、その予想どおり両投手が互いに譲らない緊迫した展開となった。結果として、慶應義塾大学が昨年王者を下し、5大会ぶりの決勝進出を決めたのである。
その背景には、やはり渡辺和大(4年・高松商高)の存在が大きかった。
まずは、リーグ戦から間が空いた難しい調整期間を経て臨んだ2回戦。渡辺は6回無失点の快投を披露し、チームに勢いを与えた。その結果、準々決勝では日本体育大学(首都大学野球連盟)を相手に打線が爆発。11得点6回コールド勝ち。エースを温存しながら準決勝へ進む理想的な流れをつくった。
つまり、慶應義塾大学は投打がかみ合い、さらにチーム全体のコンディションも整った状態で準決勝に臨むことができた。この積み重ねが、昨年王者との大一番を制する大きな要因となったのである。

三振を奪い雄叫びをあげる渡辺-Journal-ONE撮影
両校の投手起用と序盤の攻防
慶應義塾大学の先発は、前述どおり3日前に好投した渡辺和大(4年・高松商高)だった。
一方で、東北福祉大学の主戦は最速155km/hのドラフト候補・猪俣駿太(4年・明秀学園日立高)。しかし、この試合の先発は連投のエースではなかった。1年生左腕・舩曵壮汰(1年・高川学園高)に初先発を託すという大胆な采配を選択した。
その期待に応えた舩曵。140km/h前後の直球と100km/h台のカーブなどを織り交ぜた巧みな投球を見せる。この舩曵の投球が、慶應義塾大学打線のタイミングを外し続けた。
そのため、序盤は両投手が互いに譲らず、まさに投手戦の様相を呈した。

東北福祉大学の先発・舩曵-Journal-ONE撮影
慶應義塾大学・渡辺和大の奪三振ショー
まず、慶應義塾大学・渡辺の投球は、まさに圧巻だった。まず初回、MAX146km/hの直球と鋭い変化球で三振を2つ奪う。つづけて、2回から4回にかけては驚異の8連続奪三振と快投した。
つまり、東北福祉大学の打者は渡辺の球にまったくタイミングが合わなかった。特に変化球に対し、バットが空を切る場面が続いた。
さらに、堀井哲也監督が「今季一番のコントロール」と評したように、この日の渡辺はストライクゾーンの四隅を正確に突き続けた。加えて、捕手との綿密な打ち合わせに基づく配球も冴え、東北福祉大学の強力打線を完全に封じ込めたのである。

試合後に先発・渡辺を労う堀井監督-Journal-ONE撮影
東北福祉大・舩曵の緩急と投手戦の均衡
一方で、舩曵も素晴らしい投球を続けていた。
140km/h前後の直球と、チェンジアップ、さらには100km/h台のカーブを織り交ぜる。こうして、慶應義塾大学打線のタイミングを巧みに外した。加えて、ストライクゾーンの上下を広く使う投球で、打者に的を絞らせなかった。
その結果、慶應義塾大学も舩曵の緩急に完全に翻弄され、打者一巡無安打という結果に。つまり、エース・猪俣を温存せざるを得ない東北福祉大学にとって、舩曵の投球が理想的な立ち上がりを作った。
試合の均衡を保つ大きな要因となった舩曵の好投。しかし、巧打・慶應義塾大学打線の適応も早かった。
4回に、2番・林純司(3年・報徳学園高)、3番・小原大和(4年・花巻東高)がコンパクトに野手の間を抜き得点圏に走者を進める。続く、4番・今津慶介(4年・旭川東高)のセンターのフェンス最上段に当たる大飛球を放つ。結果、当たりが良すぎで単打となったが、無死満塁とチャンスを広げた。
この絶体絶命のピンチで、東北福祉大学は舩曵をあきらめ、西川雄大(4年・横浜隼人高)をマウンドへ。その西川は、大ピンチにも闘志溢れる投球で立ち向かい、得点を与えずに2死までこぎ着ける。
2死満塁となり、東北福祉大学の継投策成功かと思われた。しかし、直後にワイルドピッチとなり三塁走者が生還。結果として、この継投采配が試合のターニングポイントとなり、慶應義塾大学が試合を有利に進めるきっかけとなった。













