文化とはなんなのか。意味は辞書を引けば出てくるが、スポーツにおいて高く、安定した成績を挙げるなどといった点で、それに明確な定義はどうやらない。だが、少なくとも端から決まった形のあるものではない。様々なことを試み、回りを巻き込みながらそれがやがて一つの方向へ向く強い力となることが、文化の定義の一つと言えるかもしれない。
換言すれば、文化とは「皆」で作り上げていくものだ。桶谷大 HCが名将だとしても、これをすれば勝てるという形を持っているわけでもない。加えて、琉球でうまく働いていたものが川崎でもそうなるとは限らない。
強豪へ戻るためには桶谷大 氏には大鉈を振るってもらうことを期待するか。そうした趣旨の質問を受けた佐藤GMは、文化についての持論を込めつつ次のように話した。
「文化とはこうあるべきだ。そしてそれを目指して毎日、こういうふうにしていきたい。私も昔はそういうふうに思っていました。しかし、今はちょっと考え方が違っています。文化って自然に出来上がっていくものだと思っています。人が変われば文化も変わるし言葉も変わる。いろんなものが変わって、それが毎日、積み重なって文化ができあがる。そう思うので、確実に変わります。それはもう、間違いないです」。

これからのブレイブサンダースを作る第一歩-永塚和志撮影
川崎が守るべき伝統と変化
自身はブレイブサンダースでプレーをし、引退後もコーチを務めた。桶谷大 HCとは年齢こそ近いが、その意味ではまるで異なるキャリアを歩んできたといえる。佐藤氏は川崎という伝統のあるチームには「絶対に失ってはいけない大事なものがある。」と続けた。
ただ、桶谷大 HCには「好きなように、自分が作りたいチームを作ってもらいたい。」と、彼の培ってきた手腕を存分に振るってほしいと佐藤GMは語った。桶谷大 HCが日々、指導を続けていく中で「新しい文化は自然にできあがる。」とも付け加えた。

練習を見守る桶谷大HC‐永塚和志撮影
桶谷大流マネジメントの真価
桶谷大の指導者哲学
世界的にコーチがどこかのチームであらたに指揮官となる際、自身の右腕や腹心等を伴ってやってくるという例は少なくない。Bリーグにおいても近年ではそうした事例が増えてきている。
ただ、桶谷大 氏は身一つで川崎へ移ってきた。琉球での側近的な存在を連れてくることもできたのではないかと思うが、「僕はどっちかというと置き土産をおいていきたいタイプ。」と述べた。続けて、自身を何者かにすることができた琉球に対しての敬意を示した。
シーズン中に強くなるチーム作り
川崎の練習体育館での会見に先立って、日本人選手らのトレーニングの模様も公開された。桶谷大 HCの指導の下、彼らが体を動かしたのはこの日が初めてのことだったという。この後、外国籍選手らも加わって、本来なら9月下旬に開幕するシーズンへ向けてチームとして活動していく。しかし、強化試合やFIBAワールドカップアジア予選のために8月の大半は日本代表にかかりきりとなるという。
桶谷大 HCが川崎で具体的なチームの細かな戦い方を植え付けるのは9月に入ってからになるそうだ。同月下旬のBプレミアの開幕まで間がないようにも思えるが、佐藤GMによれば桶谷大 HCはそれでも問題はないと話したという。
琉球では毎年のようにシーズン中の浮き沈みがあった。今年はだめだなどと思われながら、それでも最後には帳尻を合わせてリーグ決勝にまで歩みを進めている。シーズンの序盤から中盤にかけては選手の組み合わせ等、様々なことを試行錯誤しつつ後半で強いチームになっていくことをイメージしていると桶谷大 HCは話した。練習はあくまで練習でしかない。真剣勝負の試合をこなしながらチーム力を高めていくことがある種、桶谷大 HCの取ってきたスタイルであるようにも思える。

新体制下で選手たちも精力的に練習していた-永塚和志撮影
桶谷大とBプレミア時代の川崎再建
AI活用と3年契約に込めた覚悟
川崎では新たに「AIエンジニア」等を配置する。AIシステムによってチームが求める方向性に合致する選手の情報の現場への提供。加えて、相手のスカウティング等にもこれを用いていくという。こうした最新技術を駆使することで、チームの生産性の向上に寄与していく可能性もある。
Bリーグ初年度の2016-17には準優勝を果たし、その後もポストシーズンの常連だった。また、2021年からは2年連続で天皇杯を制してもいる。しかし、2023-24からは3年連続でプレーオフを逃し、過去2シーズンではいずれも20勝にも届かなかった。2025-26途中にはネノ・ギンズブルグHCを解任するなど、チームは迷走の様相を呈してもいた。

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