運命の準決勝
夏の暑さに負けず白熱した戦いを見せる 第30回記念全国高等学校女子硬式野球選手権大会。ついに大会も終盤となり、26日に決勝トーナメント準決勝が行われた。兵庫県丹波市のつかさスタジアムいちじま球場では神戸弘陵学園が、クラーク記念国際(以下、クラーク国際仙台)と対決。クラーク国際仙台は、準々決勝で春選抜大会王者の佐久長聖に対して5-2で勝利。ベスト4の中で最も勢いのあるチームだ。
一方、神戸弘陵学園は準々決勝で先制を許し攻撃に苦しむ試合展開。相手のミスもあり逆転に成功したが、気が引き締まる試合となっていた。
そして休養日を1日挟んで迎えた準決勝。この日の先発マウンドを任されたのは主将・山戸優菜だった。しっかりと気持ちを切り替え臨んだ彼女。この日見せてくれた投球は一言で言うと「神がかっていた」のだ。そんな試合をJournal-ONEで振り返っていく。

苦戦を強いられた神戸弘陵学園が準決勝に駒を進めた-神戸弘陵学園提供
揺らぎのない安定した投球
先攻のクラーク国際仙台は1回表に1番・本郷桃奈が右前安打でさっそく出塁するも、山戸の打たせて取る投球術を前にこの回は併殺。
さらに2回も、無死から一塁手・西垣美来の失策と、四球で走者を出した。それでも落ち着いていた山戸は変化球を入れた配球で凡打に抑える。そしてここからがすごかった。なんと、3回から7回までの5イニングを全て3者凡退で終わらせるという圧巻の投球。

仲間の想いを胸に。主将がエースとしてマウンドに上がるー神戸弘陵学園提供
それでも途中、死球や失策で走者を出す場面はあった。しかしどちらの場面も遊撃手・福田稟からの併殺で締めるという好守に助けられ完封。後ろを守る福田は「山戸が投げるときは本当に安心するんです。リズムがいいので守りやすいですし、今日は頑張れと声をかけ続けていました」とエースを支え続けた。
そんな山戸がこの試合に許した安打の数は序盤の僅か2本。打たれる気配が全くない、華麗な投球はまさに「神がかっていた」のだ。

福田に吸い寄せられるように併殺を3つも奪った神戸弘陵学園-神戸弘陵学園提供
調子のいい打撃陣が活躍
一方、神戸弘陵学園の攻撃。準々決勝では打線に苦しむ場面もあったが、この日は少ないチャンスをしっかりと掴みきることができていた。
初回は出た走者が牽制でアウトになり得点ならず。しかし、このミスを引きずらなかった。
直後の2回裏、1死から7番・西山果穂が四球で出塁すると、続く8番・田中小鳥がしたバントをクラーク国際仙台が野選。走者の足が勝り一、二塁とチャンスを広げた。犠打で進塁させた後、ここで1番・福田の右前適時打が飛び出し2点を先制。

攻守で活躍が光った福田。ここでもチームを引っ張り、先制打を放つー神戸弘陵学園提供
二塁走者の田中は間一髪でセーフとなったがその好走塁と、好判断がこの2点目を生んだ。「調子がいいので、欲を出さずに間を抜く打球を打とうと意識しました。打てる気はしていたので、あとは良いボールを絞って振るだでしたね」と打った福田自身もこの場面を振り返る。
西垣・末吉の強打者が続く
そして直後の相手攻撃を三者凡退で抑え切ると、神戸弘陵学園が完全に試合の主導権を握った。5回を迎えた時点では開始から1時間が経っていないというハイペースな展開。そんな中、神戸弘陵学園が5回裏に再び得点をして、クラーク国際仙台を突き放す。
9番・永田悠風里の左前安打からチャンスを作ると、クラーク国際仙台の投手交代を挟んで、3番・西垣が攻めた。立ち上がりの甘い球を見逃さなかった西垣。右越えの適時3塁打となり3-0と、リードを広げると「得意な右投手だったので、初球から振っていこうと思いました」と笑顔で話した。

今大会、調子が良い西垣も追い打ちをかけるように得点-神戸弘陵学園提供
打って守りきる神戸弘陵学園の野球
この一打でクラーク国際仙台は再び投手を交代。それでも、神戸弘陵学園の勢いは止まらなかった。
6回裏、1死から7番・河井絢音が右前安打で出塁。飛球で2死になると、ここで石原康司監督が動き、代打・末吉知花を告げた。「3年生の為にも、何も考えずに来た球を打つということを意識して、絶対に打ってやろうと思いました」と試合後に話した末吉。調子がいい末吉はこの場面でも右線横を抜ける二塁打を放つと、走者が一気に生還し4点目。今大会、10割という勝負強さを見せた末吉を石原監督も「スタメンで使おうか迷うくらい、いい活躍をしてくれている」と褒めた。



















