「今は論文も書いていないので…」と苦笑いしながらも、チームビルディングとメンタルトレーニングの資格を持ち、選手の心の強さを育てる指導を徹底している。
阿南監督は「野球で最も大事なのはメンタルです。」と言い切る。
その言葉は精神論ではない。医学的知見に基づいた科学的アプローチとして選手に浸透している。試合前の心理状態の整え方、ミスを引きずらない思考の切り替え。さらには、チーム全体の感情の流れを整える方法など。選手のパフォーマンスを最大化するための具体的なメンタル技術が日常的に共有されている。
「全国から大事なお子さんを預かっている。卒業後の長い人生に役立つメンタルを身につけ、豊かな人生を歩んでほしい。」とい話す阿南監督。その言葉には、競技力の向上だけではない。人生の基盤となる精神力を育てたいという強い思いが込められている。

メンタルトレーニングで成長を遂げる札幌国際大学ナイン-Journal-ONE撮影
国際派・田中勝久ヘッドコーチがもたらす多文化の視点
さらに、田中勝久ヘッドコーチの存在もまた特長的だ。
阿南監督の大学野球部の先輩にあたる田中コーチ。JICA海外協力隊としてウガンダ共和国ナショナルチームを指導した経験を持つ。現在は北海道の独立リーグで活動する、旭川ビースターズでもコーディネーターを務めている。リーグ戦はまだ続いているが、田中コーチは札幌国際大学との二足の草鞋を履く。
ウガンダの教え子たちがNPBやMLBを目指し旭川へ渡る。こうした、かつてない国際的な野球の循環を生み出している存在だ。その田中コーチが、国際経験を持つ指導者ならではの視点でチームに新しい価値観をもたらしている。
田中コーチも「野球で最も大事なのはメンタル。」と語り、選手の心を鍛える指導を徹底している。
多文化環境でのコミュニケーション、個性の違う選手のまとめ方、国際大会で求められる勝ち方など、田中コーチの経験はチームに新しい風を吹き込んでいる。
その結果、「バッティングは一定のレベルまで成長している。」と胸を張る。自慢の強打がチームの武器となり、全国の強豪校から選ばれる大学としてのブランド力を高めている。

旭川ビースターズ(左)と札幌国際大学でベンチに入る田中コーチ-Journal-ONE撮影
札幌国際大学 ベスト4を懸けた準々決勝へ
試合巧者・平成国際大学との対戦が示すもの
北海道内の選手はもちろん、東北地区の強豪校や日本一の神戸弘陵学園からも選ばれる理由。それは、競技を続けられる環境が整っていること、メンタルを軸にした指導哲学が浸透していることだ。
加えて、国際経験を持つ指導者の多角的な視点がチームを成長させる。
札幌国際大学は、単なる大学野球部ではなく、女子野球の未来を支える北の拠点として確かな存在感を放っている。
ベスト4の椅子を懸けた準々決勝の相手は、試合巧者の平成国際大学だ。好投手が揃う相手に、自慢の強打でどう立ち向かうのか。
阿南監督と田中ヘッドコーチ、二人のメンタルを軸にした采配が勝負の鍵を握る。雨が上がったその先で、札幌国際大学がどんな野球を見せるのか。女子野球の未来を語るうえで、見逃すことのできない戦いになる。














