クラブ選手権は、女子野球がどこまで進化し、どのような競技層の広がりを見せているのかを鮮明に描き出す舞台となった。
台風の影響で開催が危ぶまれた第21回全日本女子硬式クラブ野球選手権大会準決勝。しかし、関係者の尽力によって時間を調整しながら無事に実施。2試合ともコールドゲームという劇的な展開を迎えた。
勝ち上がったのは前年度王者のZENKO BEAMS。そして、4年ぶり二度目の優勝を狙う阪神タイガースWomenだ。クラブ選手権の頂上決戦には侍ジャパン女子日本代表の戦術と代表選手の存在が不可欠。加えて、女子高校野球全国制覇を果たした神戸弘陵学園。そのOGたちの躍動が大会の価値を押し上げている。

NPBで唯一決勝に残った阪神-Journal-ONE撮影
クラブ選手権 連覇へ|ZENKO BEAMSの世界基準の戦い方
クラブ選手権 で示した泰美勝―坂口英里の代表バッテリーの精度
ZENKO BEAMSの左腕・泰美勝と捕手・坂口英里。彼女たちは、侍ジャパン女子日本代表でもバッテリーを組む。そして、クラブ選手権の準決勝でも、代表バッテリーが完璧な投球を披露。その結果、サンブレイズ打線を無失点に封じ込めた。
泰は直球と変化球の緩急を巧みに操り、強打者を的確に抑え込む安定感を示した。坂口は侍ジャパン女子日本代表に選出された卓越したリードと強肩を武器に、要所を締める配球で試合を支配した。
一方、攻撃面ではチーム全体に、出塁に対する高い意欲があった。さらに、犠打や進塁打で徹底的に次の塁へ進める意識も浸透。そして、それを実行できるだけの高いパフォーマンスを上位から下位まで全員が共有し、隙のない野球で得点を積み重ねた。
こうして、攻守が高い精度で噛み合ったZENKO BEAMSは、全試合をコールド勝ち。代表バッテリーを中心に、クラブ選手権でも世界基準の存在感を示した。

クラブ選手権 全試合コールド勝ちのBEAMS-Journal-ONE撮影
クラブ選手権 で体現した中島監督の“相手に野球をさせない”采配
中島梨紗監督は侍ジャパン女子日本代表を率いる立場として、世界大会で磨いた戦術をクラブ選手権でも再現した。
初回から走者を進め、得点機で着実に加点する徹底した采配は、相手に守備の選択肢を与えない圧力となった。終始進塁打を重ねる采配は、5回に中軸の坂口に犠打を指示するなど、得点への執念を貫いた。
サンブレイズの堅守を崩し続けた背景には、試合の流れを引き寄せる中島監督の徹底した戦術管理にある。クラブ選手権の頂上決戦でも、世界基準の采配が試合の流れを左右することは間違いない。

勝利後選手たちを称える中島監督-Journal-ONE撮影
阪神タイガースWomenがクラブ選手権で示した神戸弘陵OGの躍動
クラブ選手権 神戸弘陵OGが投打で支える
一方、阪神タイガースWomenはクラブ選手権の準決勝で19安打を放ち、先発全員安打という圧倒的な攻撃力を示した。
その中心には女子高校野球全国制覇を果たした神戸弘陵学園OGの存在があった。三番・田垣朔來羽は初回の先制機を作り、3安打の猛打賞で打線の勢いを象徴した。今大会好調の矢島莉々果も猛打賞を記録し、打線のつながりを強化した。
投手陣では樫谷そらと阿部さくらの左腕リレーが、エイジェックの強力打線を要所で封じる。特に、侍ジャパン女子日本代表の主砲・和田七海、長距離砲の生井美桜、巧打者の高橋奈央ら右打者を抑えた投球は、試合の流れを決定づけた。
高校王者・神戸弘陵学園で鍛えられた選手たちが、クラブ選手権の舞台でも躍動する結果となっている。

準決勝猛打賞の田垣(左)と先発の樫谷-Journal-ONE撮影
侍ジャパン女子日本代表が形成する阪神の攻撃の核
加えて、阪神タイガースWomenは、神戸弘陵OGの勢いだけでなく、侍ジャパン女子日本代表の打撃陣も好調だ。
星川あかり、高橋愛、白石美優が要所で結果を出すことで、代表級の破壊力を備えている。19安打を放った準決勝の攻撃力。これは、状況判断とつなぐ意識が高い代表選手の存在によって支えられていた。
クラブ選手権の決勝でも、ZENKO BEAMSの代表バッテリーに対して、星川らがどのように対応し、打線の勢いを維持できるかが焦点となる。阪神は、代表の力と神戸弘陵OGの勝負強さを融合させた独自の攻撃力で頂点を狙う。














