試合後、富田選手は腰にアクシデントがあったことを明かしながらも、「やりようによっては勝てる試合だった」と振り返った。第2セットでは相手の速い展開に付き合わず、テンポを外すプレーやショートを織り交ぜるなど戦い方を修正。畠山選手も「今、自分たちができることにフォーカスしてプレーできた」と、タイブレークまで持ち込んだ戦いに手応えをにじませた。
そして、2人を後押ししたのがスタンドからの大声援だった。畠山選手は「いつも以上の力は出せた」と話し、富田選手も「観客席からの声援は耳に届いていて、鼓舞された」と感謝。多くの観客の前でプレーできたことを「非常に光栄」と語った。
初代メダルには届かなかった。それでも富田選手は、今大会で準々決勝まで勝ち上がったことにアジアの中での成長を実感。畠山選手も、選手として結果を追い求めながら、パデルをより多くの人に知ってもらう活動を続けたいと語った。あと一歩まで迫った悔しさと確かな手応えを胸に、2人の挑戦はこれからも続いていく。
42分の快勝でベスト4へ、塚本・徳本ペアの視線は頂点に

第3試合に登場したのは、第2シードの塚本 早紀選手・徳本 佳恵選手ペア。ここまで日本勢2ペアが相次いで準々決勝で敗れる中、サウジアラビアのアリージュ・ファレ選手・アラヌード・ヤマニ選手ペアとベスト4進出をかけて対戦した。
第1セット、塚本・徳本ペアは立ち上がりから落ち着いたプレーを見せる。塚本選手がコースを突くショットや力強い一打で相手を揺さぶり、着実にゲームを重ねていった。第6ゲームではこの日初めて相手にゲームポイントを握られたものの、慌てることなくデュースへ。最後まで冷静にプレーし、6-0で第1セットを先取した。
第2セットに入っても2人のリズムは変わらない。第3ゲームではミスが重なり先行を許したが、ここでも落ち着いて逆転。徳本選手が力強いショットでチャンスを作れば、塚本選手もコースを突く巧みなショットでポイントにつなげる。最後まで相手に流れを渡すことなく、第2セットも6-0。わずか42分で試合を終え、日本勢として最初のベスト4進出を決めた。
試合後、徳本選手は「こういうプレーをしようね、と話していたことが体現できた」と手応えを口にした。相手を少しずつ追い込み、チャンスを作って確実に決める。2人が積み重ねてきた形をコート上で発揮できたことが、安定した試合運びにつながった。
プレー中に絶えず声を掛け合うのも2人のスタイルだ。相手のポジションを伝えるだけでなく、好プレーが出れば互いに励まし合う。長くペアを組んできた2人らしい呼吸も、この日のコートでは随所に見られた。
そして視線は、すでに準決勝へ向いている。次戦の相手は、インドネシアのノベラ・プトリア/ベアトリス・グムリャ。塚本選手は、これまで2人で積み重ねてきたものをしっかり発揮して決勝へ進みたいと意気込む。徳本選手も「目標は金メダル一本」と改めて言葉にした。
危なげなくベスト4への切符を手にした塚本・徳本ペア。それでも2人に気の緩みはない。初代女王の座を目指す戦いは、いよいよ準決勝へと進む。
「正直、僅差だった」“てるしん”ペア、勝負どころで一歩及ばず

日本勢最後の登場となったのは、安藤 輝明選手・中村 進之介選手の“てるしん”ペア。初戦では2時間を超えるフルセットの激闘を制し、2回戦はストレートで突破。勢いに乗る2人が、日本男子勢初のベスト4入りをかけて、イランのハミ・ゴレスタン選手・アリヤ・ロガニ選手ペアと対戦した。
第1セットは、序盤から激しいラリーとスマッシュが飛び交う一進一退の攻防となった。中村選手が相手のスマッシュをネット際へ巧みに落とし、ボールを場外へ弾き出すビッグプレーで会場を沸かせるなど、互いに譲らない展開が続く。しかし終盤、イランペアが勝負どころをものにし、日本ペアは4-6で第1セットを落とした。
後がない第2セットも、序盤はイランペアが先行する。それでも日本ペアは、中村選手の強烈なスマッシュや好リターンをきっかけに反撃。粘り強いラリーからポイントを重ねて追いつくと、安藤選手がコースを突くショットで相手のミスを誘い、ついに逆転に成功する。
そこからは再び互いに譲らない展開へ。安藤選手がコート外から鮮やかなリターンを決めれば、中村選手もコート外へたたき出す豪快なスマッシュで応戦する。日本ペアが一歩前に出ればイランペアもすぐさま追いつき、ベスト4をかけた攻防は終盤まで続いた。
再び追う展開となった日本ペアは、あとがない場面でも最後まで食らいついた。ロングラリーの末に中村選手が強烈なスマッシュをたたき込み、この日一番の雄叫びを上げると、スタンドからも大きな歓声が沸き起こる。それでも最後はあと一歩届かず。第2セットを5-7で落とし、準々決勝で大会を終えた。
「正直、僅差だったと思います」。試合後、中村選手が振り返ったのは、勝負どころでのわずかな差だった。積極的に仕掛けた結果のミスもあった中で、「アグレッシブなプレーを出し切る、決め切る」ことを今後の課題に挙げる。一方で、大会へ向けて2人で取り組んできたことや、それぞれの持ち味は3試合を通して発揮できたと手応えも口にした。













