イチロー氏から「新たなヒーローが誕生した」と称された福田稟が三塁打を放って先制。一時は王者らしい試合運びを見せた。しかし、中盤に訪れたわずかな綻びをサンブレイズは見逃さなかった。
結果は悔しい敗戦。それでも最終回まで諦めることなく戦った3年生たちの姿には、夏の日本一を支えた誇りと覚悟が詰まっていた。
さらに、無冠の世代と呼ばれながらも頂点にたどり着いた15人の3年生は、この敗戦の中でさえ神戸弘陵学園らしさを示してみせた。松山で迎えた終幕は決して悲劇ではない。むしろ、それは下級生たちへ託された新たな物語の始まりだった。

試合前に応援団の前で見せる円陣-Journal-ONE撮影
神戸弘陵学園が高校王者として迎えた運命の初戦
OGたちが待ち受けたサンブレイズとの対戦
神戸弘陵学園にとって、この試合は単なるトーナメント初戦ではない。高校日本一の看板を背負い、高校生カテゴリーを飛び越えてクラブチームへ挑む一戦だからだ。
昨年は準優勝、さらに一昨年は全国制覇を果たしている神戸弘陵学園。今夏、逆境を跳ねのけて全国制覇を果たしたチームに、女子野球関係者の期待が高まる中、試合は始まった。
初回、サンブレイズは神戸弘陵学園OGの堀みずほが中前打で出塁。さらに一死一、三塁と先制のチャンスを迎える。
しかし、神戸弘陵学園のエース・山戸優菜は動じない。4番・田中愛莉を遊ゴロ併殺打に仕留め、最大のピンチを無失点で切り抜けた。
この場面はまさに今夏の神戸弘陵学園を象徴していた。苦しい場面でも慌てず、自分たちの野球を貫く。そうした積み重ねが全国制覇につながっていた。

夏の胴上げ投手・山戸がこの日も先発-Journal-ONE撮影
福田稟が再び主役となる一打
するとその裏、神戸弘陵学園がすぐに反撃する。先頭打者として打席に向かったのは福田稟だった。
高校女子野球選抜の一員としてイチロー氏率いるチームとの試合に出場し、3安打を放って大きな注目を集めた存在である。
そして、イチロー氏から「新たなヒーローが誕生した」と称された福田は、この日も期待を裏切らなかった。
鋭く振り抜いた打球は、右翼手の頭上を越える弾丸ライナーの三塁打。この一撃に、球場の空気が一変した。
続く石井望愛の内野ゴロの間に先制点を奪うと、スタンドの神戸弘陵学園応援団から大きな歓声が湧き上がった。
さらに2回には西垣美来が左中間を破る二塁打を放ち出塁。1死三塁の好機を作ると、八田璃海が技ありの右前適時打で追加点を挙げる。続く永田悠風里も中前打でつなぎ、王者らしい攻撃を展開した。
試合の立ち上がりだけを見れば、神戸弘陵学園が主導権を握っていた。

初回の三塁打でヘッドスライディングする福田-Journal-ONE撮影
流れを変えた魔の3回
ミスから生まれた大量失点
しかし、野球の流れは時に残酷だ。
3回表、サンブレイズは失策と四球を絡めて一死満塁の好機を作る。粘り強い投球が身上のキャプテン・山戸優菜。しかし、このピンチで田中、若本に連続四死球を与えてしまう。
神戸弘陵学園ベンチはすぐに動いた。石原康司監督は左腕・金子晴璃南をマウンドへ送る。
ところが流れは止まらない。神戸弘陵学園OGの小川に中前適時打を浴びて同点。さらに四球が重なり、試合は一気にサンブレイズペースへ傾いていった。
失策から始まった悪い流れ。これが、次々と負の連鎖を生む神戸弘陵学園らしくない展開になってしまった。

突然の登板となった3年の金子-Journal-ONE撮影
神戸弘陵学園の新エース・濱嶋葵の経験
その後、石原監督は新チームのエース・濱嶋葵を投入する。
夏の日本一を経験。そして、新チームではすでにユース大会制覇に導いた大黒柱だ。
しかし、この日のマウンドはあまりにも難しかった。勢いづくサンブレイズ打線、満塁というプレッシャー、そして高校日本一チームの看板。


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マドンナスタジアム
- JR松山駅 - 予讃線(4分)- 市坪駅 - 徒歩10分
- 取材・文:
- 編集部-矢澤( 日本 )
















