神戸弘陵学園の3年生38人が、それぞれの役割を果たしながら、最後の夏を戦い抜いた。
「3年生38人を含む部員93人全員で全国制覇を。」と神戸弘陵学園グラウンドに掲げられたスローガン。これは、決して飾りではなかった。石原康司監督は、誰一人欠けることなく全員の力を結集させ、2年ぶりの優勝旗奪還を果たした。
神戸弘陵学園の選手たちは、ベンチ入りの25人だけでない。スタンドで声を枯らした仲間たちと一緒に勝ち取った優勝だと胸を張った。

初戦から圧倒的な熱量で選手を鼓舞した応援メンバー-Journal-ONE撮影
山戸優菜、仲間と越えた“苦しいことの方が多かった”2年半
山戸優菜は、神戸弘陵学園で過ごした野球部での活動を振り返りながら、静かに言葉を紡いだ。
「ケガが癒えたのは今年の5月に入ってからでした。その頃はメンタル的にもボロボロで、正直、楽しいことより苦しいことの方が多かったです」。
それでも山戸は、神戸弘陵学園の仲間たちが支えてくれたからこそ、再びマウンドに立てたと語る。
「みんながプレーだけでなく、チームとして支えてくれた。だから最後まで頑張れました」。
神戸弘陵学園の主将として、山戸は仲間の思いを背負い、最後の夏を戦い抜いた。

マウンドでも練習でも笑顔の絶えない山戸-Journal-ONE撮影
父の背中を追い、神戸弘陵学園で夢を叶えた福田凛
福田凛は、優勝後のインタビューで、「父には、必ず甲子園で優勝すると約束していたんです。」と、父との約束を語った。
福田の父は、かつて神戸弘陵学園の野球部で甲子園を目指して白球を追いかけていた。しかし、父は甲子園の土を踏むことはできなかった。
その父の後を追い神戸弘陵学園で野球を続けることを選んだ。1年生で甲子園優勝を経験し、2年生では主力選手ながらも甲子園に届かず涙を流した。そして3年生の夏──父が果たせなかった甲子園出場だけではなく、甲子園での優勝を2度も成し遂げた。
「父との約束を果たせて、本当に嬉しいです。」と笑顔を見せた福田。
神戸弘陵学園で紡がれた家族の物語は、甲子園の頂で静かに完結した。

福田は全試合安打で父との約束を果たした-Journal-ONE撮影
神戸弘陵学園が未来へ残したもの、少女たちの憧れ
また、決勝戦のスタンドには、ユニフォーム姿の女子小学生や中学生が多く訪れていた。神戸弘陵学園の選手たちのプレーに目を輝かせ、声援を送る姿があった。
「今までで一番多かったのではないでしょうか。」と、石原康司監督も驚きながら語る。
「センバツの東京ドーム、選手権の甲子園。このクライマックスが定着していることが、選手たちのモチベーションになっています」。
神戸弘陵学園の戦いは、スタンドにいた少女たちの心にも確かな火を灯していた。女子高校野球の未来を支えるのは、こうした憧れの積み重ねだ。

校歌を歌う神戸弘陵学園の選手たちは憧れの存在だ-Journal-ONE撮影
神戸弘陵学園が示した拡大する女子高校野球の名門としての責任
今夏の参加校は史上最大の70校。女子高校野球は、地方を中心に部の創設が進み、群雄割拠の時代に突入している。ベスト4のうち3チームが東北地区という地方の躍進にも象徴されている。
創部12年目となる神戸弘陵学園が初優勝を果たした2016年の参加校は24校。その変化を見てきた石原康司監督は、こう語る。
「チーム数が多くなれば、それだけ連戦も多くなる。チーム数が少ないから優勝できたのでは?と言われないよう、今回優勝できてホッとしています」。
名門・神戸弘陵学園は、結果を出し続けることで女子高校野球の発展を牽引してきた。その姿勢やプレースタイルに憧れ、この試合を観ていた中学生たちが、神戸弘陵学園の門を叩く未来も十分にあり得る。

2年生全員の想いが詰まったお守りを持つ河井-Journal-ONE撮影
神戸弘陵学園93人で掴んだ復活劇のその先
今大会、神戸弘陵学園は濱嶋葵・浅水梨来のバッテリーを初め、好打攻守の河井絢音や西山果穂が2年生。加えて、代打で結果を出した末吉知花など、連覇を目指すタレントが豊富だ。



















