アジア大会ロスターが示す“上を伺う”競争心
ロスターに入る彼らのすべてがハーパーや小川のような考えを示したわけではない。中には粛々とアジア大会への強化を進めていくことに専心するという者もいる。
ただ総じて言えるのは、選手たちは常に「上を伺っている」ということだ。そのことは何もA代表に入る、入らないということだけを指しているわけではない。高みを目指して技量を磨いていくということは競争者としての純なる思いだ。そして、例えばA代表に入ったとすればそれはそうした努力の成果であるととらえることもできるのだ。
桶谷HCはアジア大会への予行となる佐賀大会を「育成ではなく強化」であると、語気を強めて語った。
その2つにはどのような違いがあるのか。同HCはこのロスターには「A代表に入ってくるレベルの選手が多い」と話した。経験を積ませることが主眼であらば、そのようなもの言いにはなるまい。あくまで日本のバスケットボールを強くするため――。アジア大会を戦う日本代表の強化もそのプロセスの一部であるということだ。

取材を受ける山﨑一渉-永塚和志撮影
アジア大会からA代表への“人参”─若手が燃える理由
A代表は今月末のワールドカップアジア予選Window4でサウジアラビアとカタールと対戦。その際、桶谷HCは今後の合宿や佐賀大会の出来いかんではアジア大会の面子からA代表のメンバーに選ばれる可能性を「十分あります」と話す。これは、選手たちの眼前に人参をぶら下げるものだ。
それに対してハーパーが「絶対に狙っていきたい」と口にする。同じく、狩野も「もちろん入りたい。やっぱり争いたい」と意気込んだ。
近々でA代表に帯同しながら登録外となった小川、高島、狩野のついて桶谷氏は「彼らが一番、ハングリー。試合に出られずに『なにくそ』という気持ちもあると思っています。」と話した。
もっともそのことは3人に限った話ではなく、とりわけ若手の選手たちも同様に「ハングリー」であるはずだと、桶谷HCは語っている。
もちろん、「ハングリー」さを成長の淵源としなければA代表入りをすることは難しい。

8月9−10日の佐賀での強化試合では吉本泰輔氏が指揮を執る-永塚和志撮影
佐賀大会を巡る賛否と、若手が背負う“証明”の重み
佐賀大会の宣伝ビジュアルには当初、渡邊雄太(千葉ジェッツ)や齋藤拓実(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)、富永啓生(レバンガ北海道)といった面子が起用されていた。しかし、後に同大会にはアジア大会向けのロスターが臨むことが発表された。これにより、SNS等で不満や賛否の声などで溢れた。
桶谷HCもこの件のこともあって選手たちが「自分らでできる(戦える)と証明したいと思っている。」はずだと代弁。そうした力もコート上でのパフォーマンスに昇華させてほしいと話した。
佐賀大会ではA代表ではアシスタントコーチを務め、NBAでの指導歴も長い吉本泰輔氏が指揮を執る。「勝ち負け以上に選手をしっかり見ていきたい。」という桶谷氏はベンチの椅子といういつもとは一歩引いた場所から試合を眺めることになる。

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