
7月のイタリア戦で初キャップのPR大塚(関西学院大学4年)-斉藤健仁撮影
ラグビー日本代表の次なる課題
ジョーンズHCは、「(アタックコーチに)グレン・ジャクソンがチームへ加わり、非常に良い影響を与えてくれている。アタックについて、多くのアイデアをもたらしてくれた。その結果、現在は複数のアタックオプションを持てるようになった。そこは非常に満足している。」と語った。
「ただ、フィジー代表戦でも見られたように、相手陣22m内へ入ってから、いかに得点へ結びつけるかが重要。トップ8と、それ以外のチームとの差は、22m内へ入った時に得点できるかどうか。日本代表もその部分で良い試合はあったが、フィジー代表戦はベストではなかった。もっと正確にプレーし、得点につなげなければならない。今後も継続して取り組んでいく課題。」と手応えを感じつつも課題を口にした。
若手の台頭で厚みを増したスコッド
また、FW、BK(バックス)に関わらず、ベテランから若手まで、選手層が厚くなった。これがこの夏、一番のポジティブな点だろう。ジョーンズHCが来年のワールドカップに向けて、今年中にスコッドの80%ほどを固める方針を示していた。その通りにコアメンバーはだいたい揃ってきており、チームの一体感は増している。
ケガ人続出でも競争力を維持
「この夏を通して、スコッドの層を大きく厚くすることができた。FWだけを見ても、複数のキープレーヤーが負傷などで不在だった。PR(プロップ)紙森陽太、為房慶次朗、HO江良颯(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、LO(ロック)ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)はパシフィックネーションズカップに出場せず。FL(フランカー)タイラー・ポール(スピアーズ)や、NO8(ナンバーエイト)ファカタヴァ アマト(リコーブラックラムズ東京)もスコッドに参加できなかった。そうした状況の中でも、選手層を厚くし、各ポジションの競争を激しくすることができた。」とジョーンズHC。

7・8月はキャプテンを務めたディアンズ主将-斉藤健仁撮影
伊藤龍之介と大塚壮二郎が示した可能性
特に、若手育成の『JAPAN TALENT SQUADプログラム』の合宿や、U23日本代表から昇格を果たした大学生2人は顕著な活躍を見せた。
SO(スタンドオフ)伊藤龍之介(明治大学4年)は8試合連続で先発出場。その結果、8月8日のオーストラリア代表戦では、得意のランでトライを奪った。また、PR大塚壮二郎(関西学院大学4年)も8試合連続出場。こちらも、フランス代表相手にトライを挙げた。
「今回のシリーズを通してわかったのは、日本には十分な才能がいるということ。一方で、その才能を育てる機会が足りていない。SO伊藤がその典型。彼は世界の同世代の優れた10番たちと互角に渡り合える選手。そこに疑いの余地はない。」と指摘。
ただ、「彼の才能を伸ばすためには、高いレベルのラグビーを継続的に経験できる環境が必要。PR大塚も同じ。まだ大学生だが、世界の強豪チームを相手にスクラムを組み、十分に対応できることを示した。日本には素晴らしい才能がある。その才能を、より早くトップレベルへ引き上げる方法を見つけなければならない。それが、今後12カ月における私の課題。それ以降については私の担当ではないが、日本ラグビー協会にとっては間違いなく重要な課題。」(ジョーンズHC)。

8月のオーストラリア戦で出色の出来を見せたSO伊藤(明治大学4年)‐斉藤健仁撮影
齋藤直人が示した新たなリーダーシップ
また、ジョーンズHCは、9月のテストマッチシリーズで初めてチームのキャプテンを務めたSH齋藤を手放しで褒めた。なお、齋藤は8月まで副キャプテンを務めていたが、LOディアンズが不在ということでキャプテンを務めた。
世界を知る司令塔への評価
「齋藤には非常に感心している。トゥールーズ(フランス)から戻ってきて、以前とは違う視点で物事を見ることができるようになった。ラグビーを、より広い視野で捉えている。チームに非常に良いものを加えてくれた。ディアンズが不在の中で、キャプテンの役割を引き受け、素晴らしい仕事をしてくれた。チームが今後さらに進化していく上で、これは非常にポジティブな前進。」と称賛した。
昨季、ディアンズは『スーパーラグビー・パシフィック』で。一方の齋藤は、フランスリーグ『TOP14』でそれぞれ優勝を経験した。世界トップレベルで勝利を知る2人。彼らは、中軸として日本代表をプレーで引っ張ることはもちろんのこと、今後もリーダーシップを発揮し続けてくれるはずだ。今後は2人が共同キャプテンを務める形があるかもしれない。

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